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Canyonバイク購入時のユーザ体験

ロードバイク購入に至る経緯

今から8年程前、2014年に購入したロードバイクがついに修復不可能になってしまった。スイスメーカのBMCが、今でいうエンデュランスロードの先駆けとして「granfondo」シリーズとして発売されていて、そのシリーズの中から「GF01」という型番モデルを選択した。太いダウンチューブとチェーンステーが衝撃吸収性を高めてくれるおかげで、乗り心地は当時のバイクの中ではかなり乗り心地に優れたバイクだったと思う。

BMC GF01

フレーム設計の優秀さに加えて変速も電動だったし、ホイールも結構高級なものを履かせていたので、乗り心地以外にも楽に遠くに行ける要素がたくさんあり、大きな変更を加えることなく8年間かけて数万kmの距離を走ってきた。が、やはり長年乗り続けているとフレームにクラックが入ったり、異音がしたりと、騙し騙し乗り続けるのは危険な気がして、最近は乗ることも少なくなってしまった。

このまま家の中に飾っておいても無駄なので、思い切って廃車にし、乗り換えを検討することにした。

次の自転車何にする?

GF01がかなりお気に入りで、買い替えの検討はしてこなかったので、最近のロードバイクの市場動向は全く無頓着。ざっと各社のWebサイトを見てみたけど、どのメーカーもかなりの値上げになっていて驚くばかり。GF01の価格はあまり覚えていないけど、50万円もしなかったはず。

カーボンフレームにULTEGRA Di2とリムハイトの高いホイールのバイクを購入しようと見積ると余裕の100万円超。ビックリです。

とは言え、最近は子供と自転車に乗って遊びに行ったり買い物に行ったりする時間の方が圧倒的に増えたし、昔のようにムキになって山に登ったりレースやイベントにでることもないので、スペック重視なバイクを買う必要もないかなとも感じていたところ。

子供と公園やサイクリングロードを走るのにレーパン履いて乗るものちょっと違うな、というのもあって、ロードバイクの購入は諦めることにした。夏はショーツとTシャツ、サンダルで海まで行って、そのまま泳げるという楽しみ方をしたい。

自転車が売っていない問題

某メーカー直販のストアに行ってクロスバイクでも適当に見繕ってもらおうかと思ったが、そんな認識は甘すぎることを思い知らされる。それっぽいバイクは店頭在庫が全くない、いや厳密に言えば在庫はあるけど、サイズや色が選べなかったり、価格で妥協しなきゃいけなかったりと、用途に合っていて、かつ気に入ったものを選べる状態にないといったところ。

例の病気や戦争の影響でサプライチェーンがズタボロになったり、自転車需要が急激に増加したり、ということは聞いてはいたけど、ここまでひどい状況というのは想定外。当日持ち帰りは無理だとしても2,3日待てば入ってくるでしょう、程度にしか考えていなかった。
スタッフの方から町の自転車店で欲しいものに近いものを見つけたら即買いした方がいいですよ、というアドバイスを受け一旦帰宅。自転車買うのってこんなに大変だったっけ?

ネット通販

暑い中自転車店を回って、毎回自転車購入の目的と経緯を説明して、在庫と納期確認するという地獄のような作業はやりたくないのでネットでポチポチして買えないのかな?と検索してみると大手の自転車メーカーはどこも国内での直販はやってない様子。自転車業界の商習慣なのか、そういう文化がないのか。

で、ようやく探し当てたのがCanyonという直販専門のバイクメーカー。Canyonは他メーカーとは異なって代理店や販売店を通さず、直販のみとなっているみたい。
パソコンを買うときのように、Webサイトから色や型、仕様から好みのバイクを見つけて、サイズを指定するだけで、在庫の有無もリアルタイムにわかる。

自転車店での在庫確認とあれやこれやのコミュニケーションにうんざりしていた時だったので、これ幸いと在庫のあるものを選んでポチっとしてみた。

さすがに初めて買うので100万円近いロードバイクではなく、日本ではあまり見かけないコミューターバイクというカテゴリから「Commuter 5」というバイクを選んだ。

Canyon Commuter 5

サイトでは通勤や街乗り用途っぽいことが書いてあるが、子供と遊んだり、運動のためにその辺をグルグルできたりすればいいという目的にはピッタリなのではないか。

買い方は非常に簡単で、Amazonで買うのと大差ない。迷うのはフレームサイズだけど、コミューターバイクはフレームサイズが、S,M,L,XLとかなり大雑把なのであまり悩まずMのフレームサイズを選択した。身長と股下サイズを入れると推奨サイズを提案してくれるので、提案されたものをそのまま選んでもいいかもしれない。

あとはクレジットカード番号と配送先などの個人情報を入れるだけ。今回購入した費用は全体で以下の通り。

本体 129,000円
送料 21,500円
消費税 7,600円
合計 158,100円

本体と送料はクレジットカードで、消費税は配達してくれたヤマト運輸に現金で支払った。この辺は一般的な海外通販と同じ。

購入手続きから自宅までの配送は想定より早かった。火曜日の夜に購入手続きが完了して翌月曜日には届いていたので実質6日間か。配送はドイツから上海を経由して成田空港に届くまでがUPSが担当し、国内配送はヤマト運輸が担当している。

消費税の支払いと配送跡で汚れた巨大段ボールを見るまでは海外から購入したことすら意識しないで良さそう。組付けは面倒かなと思っていたけど、以下の動画の通りであっけなく組みあがる。

大雑把にいうと輪行するときの手順と変わらない。自転車組むのが初めての人でもIKEAの家具が組み立てられればOKのレベル。こんな感じで工具もすべて同梱されているので、あらかじめ用意しておくべき工具もない。

工具とか付属品

作業時間は30分もあれば十分だと思う。一番時間がかかったのが梱包されてきた段ボールと梱包材の処理か。海外から飛んでくるので仕方がないとは思うけど過剰なくらいの梱包材に包まれているので、剝がしていくのと段ボールを捨てるのが大変。

注意すべき点は特にないけど、あえて言えば各パーツを締める際のトルクが決まっていて、同梱されているトルクレンチなので締めていくのだけど、この作業だけより精度の高いトルクレンチがあれば作業が捗るかな、といった程度。

できあがり

組みあがった全体像がこれ。各部の調整はほとんど不要。ブレーキの引きしろだけちょろっと調整したかな。

Canyon Commuter 5

全体の重量はカタログ値で11.38kg、実測で11.0kgなので、今まで乗っていたロードバイクよりは3kg位重く、一般的なクロスバイクと同程度か。持った瞬間軽いね!とはならない。というか軽さを求めるバイクではないので、ここは寛容に。

フレームとフォーク

フレームはアルミ。落ち着いたフレームカラーが影響しているかもしれないけど、剛性感たっぷりで、やわな感じはしない。思ったより大きく見えるのはホイールベースが1.054mmと長く、トップチューブとダウンチューブが太いからか。
溶接部分はTrekのアルミロードバイクの美しさにはかなわないけど、きれいに処理されていると思う。

溶接

フォークはカーボン製。これも割と太目な印象。ある程度の衝撃吸収性はあるのかもしれない。

フォーク

ダボ穴はフォークとリアのフレームに開いているのでキャリアやフェンダーの装着もできそう。

ダボ穴

上位グレードにはハブダイナモ、フロントライト、フェンダーが標準搭載されているので、そっちを選びたかったけど、在庫と予算の関係で諦めてしまった。しばらく乗ってみて必要に応じて後付けしてみるつもり。

キックスタンドも後付けできる。

スタンド取り付け穴

街乗り中心に考えているけど、スタンド必要?今までロードバイクにはスタンドを付けるという発想はなかったけど、このバイクではあった方が便利そう。ボトル用の穴はダウンチューブとシートチューブにそれぞれあけられている。Sサイズはどうなのかわからないけど、Mサイズ以上なら2本分取り付けられるはず。ダウンチューブの下には穴はないので、グラベルロードのように3本の取り付けは無理っぽい。

ハンドル周り

ハンドルはアルミのステム一体型。

ハンドル回り

かっこよくていいけど、ポジション調整はスペーサー以外では不可なのが気になるところ。ハンドル幅が630mmと長いのは、ヨーロッパの人の体形や道路事情に合わせたものか。日本国内をこのハンドル幅で歩道走行すると道交法違反になりそうなのと、街中での取り回しも難しそうなので、左右で30mmくらいカットしちゃう。

シフターはグリップシフト。

シフター

ママチャリっぽさがでちゃうのと長時間乗ったら手首が疲れそう。しばらく乗ってみて違和感が続くようであれば、トリガーシフトに交換したい。

ブレーキレバーはSHIMANOのBL-MT200が装着されていた。

ブレーキレバー

MTB用なのか金属製で剛性もそれなりにありそう。油圧のディスクブレーキ車に乗るのは初めてなので、ここは乗ってからのお楽しみ。

ケーブル類はフレームに内蔵されていて割とすっきりしている。

内蔵ケーブル

ハンドルをカットしたらもう少しケーブルマネジメントにも力をいれてみたい。

ハンドルグリップはErgonのGA30というものが取り付けられていた。

グリップ

これもMTB用なのか、割と肉厚なので、小さな振動程度ならうまいこと吸収してくれそう。

ベルも標準で小さなのが取り付けられていたので、このまま使う。

ベルタイヤ周り

タイヤ周り

ここはこのバイクの大きな特徴のひとつ。
タイヤはドイツSchwalbe社の G-One Allroundという40mmの極太タイヤ。名前の通りオールラウンドで使えるとのこと。

タイヤとリム

オールラウンドの定義って難しいけど、舗装路未舗装路問わず使えるってことか。さすがに登山道を入っていく感じではなさそう。
タイヤサイズは650B、適正空気圧は3.0-5.0barなので、ロードバイク用の700Cは使えない。
リムはAlexrims GX26Pってなっているけどちょっと情報が少なくてよくわからないリム。メーカサイトにもあまり詳細情報はないけど、重量は515gとのことなので、重くはないけど軽量でもないといった印象。このバイクにカーボンのホイールを履かせたりする予定はないけど、壊れた時に同じ仕様のものが簡単に手に入るかというのは不安が残るところ。リムハイトが30mmと少し高めなので、横風の影響は受けるのかも。

フロントのハブはSHIMANOのHB-TX505で、これもMTB用なのかな。

初めて見たけど、SHIMANOなので、普通に走るには全く問題ないでしょう。きっと。

ホイールは、フロントはクイックで入れられるけど、リアは15mmのレンチがないと入れられない。頻繁にタイヤやチューブを変えたり、輪行したりする予定もないのでこれはこれでいいのか。

駆動系

駆動系も特徴的。

一応メーカーもここは売りにしているよう。以下引用。

チェーンなし。トラブルもなし。信頼のShimano Nexus 8スピード内装ギアハブに高耐久のGatesカーボンベルトを組み合わせた静かで耐摩耗性の高いドライブトレイン。内装ハブによりギアが風雨から守られるだけでなく、注油不要で全天候型のベルトドライブはバイクや衣服を汚すことがなく、グリースの染みとも無縁です。

Canyon.com

ひとつずつ見ていくと、
金属チェーンは無くベルトドライブシステム。


ベルト

軽くて伸びず、丈夫で汚れないという金属チェーンの弱点をすべて克服している。ただその特性上スプロケットを利用した変速はできないので、内装ギアでしか使えない。手で触ってみると確かに丈夫そうで、簡単に切断したり、伸びきってしまったりといったことはなさそうな感触。これも初めて使うので、どんな漕ぎ心地になるか楽しみ。

クランク長は170mmが採用されている。

よく言われる身長*0.1なのでフレームサイズに対しては適正と思われる。メーカーはよくわからない。歯数は55Tのシングル仕様。リアの歯数は24Tとなっている。

ペダルはフラットペダルが付属していた。

ペダル

左と右を誤って取り付けないようシールが貼り付けられている。ビンディングにしたいけどぐっと堪えてフラットペダルで。

リアのギアは内装8段のShimano Nexus 8となっていて、どういうギア比になるのか全く分からない。

NEXUS 8

ギア比を計算するのもややこしいので、とりあえず走って様子を見ることにする。とはいえこの辺のパーツを変更するのも大変そうなので、しばらくはノーマルのままで乗ってみるつもり。数年たって変えるのであれば、少し上位機種である11段変速にしてみるのも面白そう。

ロードバイクやクロスバイクは外装変速がスタンダードだけど、内装もそれなりにメリットはあるかなと考えている。見た目はスッキリするし、後輪を外してスプロケットばらして掃除するような必要もない。基本は放置で大丈夫という理解。普通に使っていれば、本体に水やほこりが入ることもなさそうなので、メンテナンスはかなり楽なはず。

ブレーキは前後ともにSHIMANO MT-200の油圧ディスクブレーキキャリパー。ローターサイズは160mm。多分どちらもMTB用。

ブレーキ

使うのは初めてなので、調整方法をちゃんと理化していないけど、部屋の中でホイールを回してブレーキをかけてみたところ、ローターとキャリパーが干渉する様子もないのでこれで乗ってみる。

サドル

サドルはメーカー不詳のものがついてきた。

サドル

サドルのパッド部分とベース部分が届いた時点で剝がれていたので、品質が良いものではなさそう。


サドル不具合

100kmくらい乗ってみて合わなければ他のサドルに変更するかも。

サポート

自転車に限らず海外通販で不安なのはやっぱり購入後のサポート。今回もサドルに不具合っぽい現象が見られたので問い合わせフォームから連絡してみたけど、あまりレスポンスは良くなかった。初回問い合わせから3日後に一次レスポンス、こちらが回答してさらにレスポンスがあるまで3日掛かるというスケジュール感で進む。

サポートを受ける方法は電話とチャットとWebの問い合わせフォームがあって、チャットは営業時間でも受け付け不可な状態が多い。仕方ないので、電話をしても問い合わせフォームから問い合わせろと言われるので、最初から問い合わせフォームに事象を詳細に記載するのが一番早いと思われる。

Canyon内部のサポートフローがどうなっているのかわからないけど、AmazonとかAppleのサポートみたいな高速レスポンスを求めると辛いかも。基本は自己解決するしかないと思っていた方がよさそう。この辺は手厚いサポートを求めるなら、信頼できる自転車店で購入するなどある程度割り切るしかない。

全体の感想

自転車メーカーやパーツメーカがどう考えているのかまではわからないけど、近い将来Di2の無線化などがより進めば、ワイヤー引っ張り回して微妙な調整をするような作業もなくなるはず。

海外、国内問わず通販で買って適当に組付けて、スマートフォンのアプリで自動調整して終わり、みたいな世界になると、わざわざ高いお金を出したり、長い時間を掛けて自転車店で購入したりという体験もなくなっていくと思う。専用工具が必要な作業や、面倒くさい作業だけ自転車店に作業代行してもらうというのが、自然な流れになりそうな感触はある。

ロードバイクをある程度乗っていて、自転車の通販に抵抗がなければ、購入から到着、組み上げ上げまでの体験としては上々だと思う。特に今回購入したバイクはほとんど調整するようなパーツもないので、あまり深く考えずに購入しても大きな問題はなさそうではある。

次回は実際に乗った感想などを書いていきたい。

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