日本思想の源流

 小田村寅二郎著「日本思想の源流 ―歴代天皇を中心にー」を読みました。著者は日本の保守派の学者で、確か江崎道朗氏の著書で取り上げられていたので、検索して本書に行きついたのだと思います。本書自体は絶版のようで、中古で4000円近くするのですが、Kindle Unlimitedにありました。

 冒頭、「そこに生命ありと感ぜられる一切の大自然の森羅万象に対し、またこの世に生きとし生けるものに対して、心底からの感謝の念」とあり、「この“心情”を度外視しては日本思想を語るわけにはいかない。」とありました。こうしたところが基本の基なのでしょうが、私も含めた現代人は反省するしかなさそうですね。日本思想をあるがままにとらえ、思想を生んできた人々の“心情に立って”同じように考えてみるべきで、そうした努力が、祖先と現代人とが「同一言語・同一民族」であることから、古典の筆者が現代人に語り掛けてくれるとありました。「多様性を認めろ!」とおしかりを受けそうな文言でもありますが、島国で長年「同一言語・同一民族」であった事実は変えようにありませんし、それが古典を理解するのによいというのも事実でしかないでしょう。

 そしてこの後、古典として、和歌が登場します。古事記の和歌や歴代天皇の和歌など盛りだくさんで登場しますが、ほぼほぼ理解できない内容でした。万葉集や明治天皇についてのお話などを聞いて、和歌を理解できるようになりたいと思ってはおりましたが、しっかりと解説がついていないとどうにもなりません。歴代天皇の読んだ和歌の数も調べて掲載されていましたが、生涯に千を超える和歌を詠んだ方が何人もいらっしゃいました。多い方では2番目が霊元天皇が約六千、3番目が後柏原天皇で三七一五でしたが、ダントツ1番が明治天皇で九三〇三二でした。桁も違えば、十で割ってもまだ明治天皇が1番ですから凄まじいです。明治天皇については別途掘り下げていきたいと思います。

 和歌の中には頻繁に「しきしまのみち」という節が使われておりましたが、これは歴代天皇がお心にお感じになられたことを指して、「言の葉の道」、「言の葉のまことの道」と仰せられ、また「日本人たるものの踏みゆくべき道」とお考えになられて、「しきしまのみち」と詠んでこられたとありました。とりあえず、「しきしまのみち」は頭に入れておきたいと思います。

 少し長くなりましたので、明日に続きます。

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