マナー

 7月に新紙幣が発行され一万円札の肖像は渋沢栄一、五千円札は津田梅子、千円札は北里柴三郎となりました。発行され2カ月ですが、新紙幣が結婚式のご祝儀に適さないという話が挙がっており、アンケートでは30%が「渋沢栄一の新紙幣をご祝儀に使用することはマナー違反だと感じる」と回答しているそうです。

 発端は「女遊びが激しく不貞を連想されるため、結婚式のご祝儀には結婚するまで女性関係がなく結婚後も愛人を持たなかった福沢諭吉の旧紙幣を使うのがマナー」というネットへの投稿だということでした。個人的には「○○するのがマナーです。」みたいな物言いをあまり好ましく思っていないので、自分では使ったことがありませんし、先述した文言通りの投稿であれば、ちょっと反発したくなってしまいます。

 しかしながら、私自身が「マナー」という言葉を曖昧にとらえていました。「マナー」って、特に決まりではないものの、そうした方が相手にとって良い慣習というイメージでした。発行されて2カ月の新紙幣に、いきなり「マナー違反」を突きつけるのは、慣習というものとはちょっと違うのではないかと思います。しかしながら、「マナー」の意味は「礼儀」で、人間関係や社会的な秩序を保つために、相手に対して自分が取るべき態度や配慮を言うそうです。ですから、私の捉え方が間違っていたようです。

 とはいえ、福沢諭吉の紙幣は発行されなくなるわけですし、そうなるとお祝いでマナーとされている新札が使えなくなってしまいます。では、津田梅子2枚にすればよいかもしれませんが、そうなるとどうしても枚数が偶数になってしまいます。5千円プラスすれば奇数になるから、それが良いのかと思いましたが、そもそも例えば3万5千円なんていうご祝儀金額も聞いたことがありません。しかし、これはちょっと調べてみるとマナー違反とかではないようです。でも、生涯独身の津田梅子が結婚のご祝儀に適しているかというと微妙だし、北里柴三郎も女性関係は派手だったと聞きます。

 そんな感じですから、公の功績に目を向けるべきでしょうね。偉人のプライベートをほじくり返して、とやかくいうところこそがマナー違反な気がします。周囲の方を不快にさせない努力は引き続き惜しまず、自らに対しては多少配慮が貰えなくても気にしないでいたいものです。

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