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「濡れ衣を着せたことに加えて、発砲許可だ。ただごとじゃない――」
■感想文『笑う警官』/著者・佐々木譲さん
北海道警察内部で起きた事件から、蚊帳の外に追いやられた所轄の人間たちが、力を合わせて事件を解決へ導くミステリーです。全体的によく練られているし、伏線の張り方や回収の仕方も緻密です。エンターテイメントの要素も盛り込まれていて、楽しめる読書が味わえました。映画を楽しむ感覚に近い作品、という印象です。
個人的な感想を付け加えると、エンターテイメントとして盛り込まれた要素は、実はそう単純な話でないことが、巻末を読むことで理解できるので、読み終えてからすっと腑に落ちる感じが心地よかったです。巻末に何があるのか。
本書の解説があります。
評論家の西上心太さんが解説を寄せているんですが、そこに本書の内容と密接に関わる話が書かれています。私は予備知識なしに本書を読みました。映画になったことだけしかしらず、内容については先入観なしで読んだのですが、今回はそれも良かったようです。なので、今回はその解説の内容も控えます。
補足。特に序盤から中盤にかけては、人物の言動が、とても細かく描写されています。この影響だろ思うんですが、本を開いてから目の前に物語の世界観が広がるスピードがとても速いです。おそらく、5分や10分の短い読書を強いられるような環境(例えば電車で立ち読み、乗換などの移動の合間)でも、十分に楽しめる読書ではないでしょうか。
佐々木さんの本を初めて読みましたが、他の作品も読んでみたいと思えた一冊です。
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