![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151224105/rectangle_large_type_2_2e0b24ad0feb9cc7464670b6966bf6e3.jpeg?width=1200)
近況——偶然について。
連載形式の「冬の心」(有料マガジン)のページを立ち上げましたが、週に一度欠かさず連載するのはかなりしんどく、長い連載になりそうなので、単調さを避けるためにと身辺雑記のようなものをときどき混ぜていこうかと思っている次第です。
有料ページを設けたのは、いささかでも収入の足しになどとおめでたいことを考えたからではありません。いわば退路を断つというのに近いかもしれません。無料で人の顔色をうかがいつつ(?)書くというようなことを続けているとだんだん力が削られていくような気がします。持続するには力がいる。毎回毎回、瞬発力なり集中力なりをかき集めて、えいや、と書く。力が出ないこともあれば、書くことの意味を疑うこともあります。そのたびに意味はわからなくても続けることが大事と自分に言い聞かせる。退路を断つという潔い決断と比べるとかなりトーンダウンしてしまいますが。
ところで、ここ一カ月で翻訳以外の仕事の依頼が三つほど重なるように舞い込んできました。まずは、帯広市と札内川を挟んで隣接する幕別町百年記念ホールが主宰する生涯学習講座や帯広市民大学講座での講師など、急にバタバタと依頼が入ってきたのです。市民大学講座のほうは毎年やってることなので驚きはしませんでしたが、幕別町のほうは初めての依頼ではないものの、数年音沙汰がなく、こちらとしては幕別町民のご期待には添えなかったのだろうと思ってました。
百年記念ホールの担当者からのメールには、パリで開催されるオリンピックのこと、それからこの note の記事を読んでいることなどが記されていました。そうかオリンピックか、そういうことでもないと、パリやフランスは日本人にとってはまだ遠いのか、というような感慨をいだきました。
会場のスクリーンにパリの地図を映し出して、翻訳の仕事を通じて知ったパリの市民生活のことなど、お話ししようかと思っています(今週、24日土曜10:00開講)。
帯広市民大学講座でも同様のテーマで話をしようかと思っていたところ、今度は東京の日仏学院(Institut français de Tokyo)からメールが来ました。発信人はフランス大使館の文化アタッシェで、日仏学院の書籍担当をなさっている方です。メールの主旨は今年の秋に翻訳者養成プログラムへの参加依頼。
仔細を説明していると長くなるので端折りますが、問題は日程です。向こうが打診している11月6日が、なんと帯広の市民大学講座の開講日と重なっているのです。二カ月以上先の予定がピンポイントでかち合うなんて前代未聞のことです。これから日程調整をしていかなくてはなりません。
この note でのページ開設と、地元や東京からの講演・講義の依頼には直接結びつくものはいっさいありません(幕別町の企画担当者の場合は、かつて自宅で私塾のようなものをやっていたときの受講生の一人でした)。
様々なことが一時期に集中してしまうのは、ただの偶然です。でも、こちらの気合いようなものが偶然を引き寄せているような気もします。
去年の今ごろ、この note というプラットフォームに、自分のページを立ち上げようかと考えていた時点では、『7』という大長編小説を抱えているなかで、はたして同時並行でそんなことができるだろうかと疑心暗鬼でした。でも、一区切りついてからというようなことを考えていると、いつまで経っても始まらない。とにかく一歩踏み出そう。一部有料化に踏み出したのも同じ理由です。なんの成算もありません。講義や講演にしても、何の儲けにもなりません。
さっき偶然ということを言いました。
人に生かしてもらっていると言い換えてもいいのかもしれません。
それで泰然自若としているかというと、そうではなく、いつもあくせく、心配と不安を道連れに生きている。たぶん死ぬまで。