長法被
あ、長法被
走り梅雨が過ぎた
あの姿を目にすると
なぜか心が踊る
山が走らなかったことは
今度だけではないのに
みんな気にも留めない
済んだこととして
葬り去ろうというのか
火の雨はいつ降ってきても
おかしくはないというのに
山の舁き手は年々
いなくなるというのに
長法被を羽織り
弔いに向かうといっても
悼みの対象はいったい
どこにあるというのか
美しく油断している
たったそれだけのことが
どれほど尊いかについて
せめて今日は考えよう
また明日を迎えるのならば
※この作品は石垣りん先生の「挨拶」という詩と、1988年に公開された有原誠治監督の「火の雨が降る」というアニメ映画から着想を得て、一部引用させていただき書きました。
明日は福岡大空襲から77年目の6月19日です。
歴史はいとも簡単に改ざんされます。
この詩が、多くの人が過去に起こった出来事に関心を持ち、自ら調べるきっかけになれば幸いです。
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