愚鈍の世界
庭先であんまり哭くから
首輪の鍵を解いてやった
案の定噛み付いてきた
野良の暮らしが長かったし
出自も知れない憐れな犬なのだから
やむを得まい、それにしても五月蠅い
生まれてこの方野良なのだから
己の親を怨むという概念すらない
愚鈍で阿呆で飯を喰らうばかりの
出自も知れない憐れな犬なのだから
私の掌から外へ出る術も知らない
愚鈍の世界で生きている者は
愛玩の対象にすらならない
そんな憐れな犬を眺めて
侘しさに包まれながら
夜を過ごしている
庭先であんまり哭くから
首輪の鍵を解いてやった
案の定噛み付いてきた
野良の暮らしが長かったし
出自も知れない憐れな犬なのだから
やむを得まい、それにしても五月蠅い
生まれてこの方野良なのだから
己の親を怨むという概念すらない
愚鈍で阿呆で飯を喰らうばかりの
出自も知れない憐れな犬なのだから
私の掌から外へ出る術も知らない
愚鈍の世界で生きている者は
愛玩の対象にすらならない
そんな憐れな犬を眺めて
侘しさに包まれながら
夜を過ごしている