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文献まとめ 医原性サルコペニアについて② ~予防~

お疲れ様です。たかです。

みなさんの「すき」や「いいね」がとてもやる気アップになってます。

皆さんの為、自分の力量アップの為、コツコツ続けていこうと思います。

本日も

『医原性サルコペニア』 百崎 良 
 CLINICAL REHABILITATION Vol.29 No.12 2020.11 1231-1235

を基にまとめていければと思います。

1本の文献をまとめるのに、詳細まで伝えたいと思うと少し長めになってしまうのですが、そこはご容赦ください。

それではよろしくお願いします。【】部は引用。

医原性サルコペニアの予防[早期離床]

【いったん生じた筋委縮、筋力低下の回復には、臥床あるいは不動であった期間の2~3倍が必要と考えられている】

【その為、筋委縮の予防が重要であり、最低でも週3回、1日1回、3~5分間、最大筋力の30~50%で筋収縮をすることで筋委縮や筋力低下を予防することが出来るとされている】

いったん筋委縮や筋力低下が起きると回復には長い時間が必要ですね。

これは病院で働いている方にとってはイメージが湧くのではないでしょうか。

自分はSTの為、全身の運動面での詳細なパフォーマンスの低下等は気づきにくいですが、嚥下や発声に関しては感じることもあります。

自分も昔風邪などで2日間寝込んだらしばらく動きにくかったような気がします。

高齢者ならなおさらですね。

そこで予防のための運動ですが、具体的な数値が挙げられており、大変参考になりました。

サルコペニアの予防には最大出力で行う必要はないのですね。この程度であれば、リハが無い場合でもちょっとした活動の中で意識していただく、またちょっとした運動を促すことで予防していけると思います。

ただ逆に、病院や施設のスタッフが何も意識せずにいたら達成できない量ですよね。

その為やはりこれらを知りアクションしていくことが大事ですね!

早期離床、日常生活の中での離床促しが重要であることが多く書かれており、介助者がすべて手伝うのではなく、自身で動ける部分は動いていただくなども必要となりますね。

医原性サルコペニアの予防[適切な栄養管理]

まず、早期離床と合わせ、適切な栄養管理も重要と言われます。

医原性サルコペニアの原因の一つに不適切な栄養管理とあるように、必要以上の禁食などがサルコペニアを誘発するということです。

嚥下の訓練は食べることがめちゃくちゃ重要です。その食べる機会を失ってしまうのはやはり嚥下関連筋群の筋力低下を引き起こしやすくなりますよね。

【適切な栄養摂取、特に1.0g/IBW/day以上のたんぱく質摂取がサルコペニアの発症予防に有効である】

※IBW=ideal body weight(標準体重、健康のための理想的な体重)

【サルコペニアを有する患者への必須アミノ酸を中心とする栄養介入は、筋力維持・改善効果があり推奨される】

自分は筋トレを習慣として行っているのですが、この1.0g/IBW/day以上のたんぱく質というのは意識しないと結構少なくなってしまうと感じています。例えばIBW⇒60Kgの方だったら一日60gです。

僕の勤務する病院の食事は献立メニューにたんぱく質の量が書かれており、全量食べられればクリアしています(病院だから当たり前ですね、管理栄養士さんごめんなさい)。

ただ、全量食べられない方が多いということです。場合によっては「半量が続いています」なんてことも。

こうなると、総蛋白量が足りなくなりますね。日頃から栄養士さんとは話し合いながら補助栄養をどうするか、なになら食べてもらえるか、時間によって違うのか、疲労か、そもそも食べる能力はあるか(嚥下の能力、耐久性等)などを話しています。

日常で行っていることですがサルコペニア予防の意識としても頭に入れておく必要がありますね。

また絶食中の場合は口腔内汚染にも注意しないといけません。

誤嚥性肺炎予防が第一ですが、その元となる嚥下関連筋群の機能低下を起こさないようにという視点もしたいですね。

そうなると普段の口腔ケアもとても大事ですね。

医原性サルコペニアの予防[侵襲、悪液質]


【急性期入院患者の多くは感染症、外傷、手術等急性侵襲を伴う病態を有しており、その侵襲がサルコペニアの発症を助長させる】

【悪液質となる慢性疾患(慢性心不全、慢性呼吸不全、慢性腎不全、悪性腫瘍、膠原病等)の共存にも注意が必要である】

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画像:「リハビリテーション栄養のコンセプトと実践プロセス」 前田啓介
   リハ栄養フォーラム 2020 資料より引用


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画像:「リハ栄養とサルコペニアのUpdates」 若林秀隆
   リハ栄養フォーラム 2020 資料より引用

侵襲や悪液質もサルコペニアの要因となることは良く知られていると思います。

特に急性期では侵襲があるか、基礎疾患はどうかということをまずは頭に入れての介入が大事ですね。

実際に治療には医師が当たると思いますが、現在患者さんがどのような全身状態なのか、改善傾向にあるか、など毎日の観察や情報聴取で把握しておく必要がありますね。

ここでは特に医師や看護師さんとの連携が重要になりますかね。

医原性サルコペニアの予防[薬剤]

【不適切な薬剤使用も入院後のサルコペニアの増悪を引き起こす】

【抗コリン薬は食欲低下、嚥下機能低下、消化管運動機能低下などによりサルコペニアを助長しやすいため、常に減量・中止を検討すべき薬剤である】

疾患管理のために薬剤はかかせませんが、もちろん薬剤服用には副作用がつきものであり、それが二次的にサルコペニアの原因となることがありますね。

文献ではとてもその機序が分かりやすく書かれていました。

言語聴覚士の僕が出来ることは、

①まず今どんな薬が出ているのかを把握
②その薬の副作用を調べて実際の食事中の様子や食事量、全身のパフォーマンスにそれが影響していないかを評価する
③影響がありそうだと判断が出来れば医師や看護師に情報を伝達し相談する

ことでしょうか。

時間に追われ難しいこともありますが、ここは特に丁寧にやらなければいけないと感じました。


ポリファーマシーという言葉がありますが、それも合わせて考えていかないといけないですね。

ポリファーマシーとは?
⇒複数の薬剤を摂取することで害が出ることがあるという考えから 
 ⇒「害のある多剤服用」を指して言われます。

ポリファーマシーは実際にいくつ以上服用していたらそうだという決まりはありません。

このようなことを常に念頭にいれ、積極的に医師に意見を伝えていきたいですね。

おわりに

はい、今日はここまでで終わります。

予防にはたくさん項目がありますが、どれもイメージしやすいものかと思います。

これらは一人で全て評価しようとすると大変だし、もしかしたら抜けも出るかもしれないので担当者それぞれが情報を出し合い共有することで、予防につなげていけるものかと思います。

これだけ見るべき項目があるということは逆に、これらをすべて丁寧にみていけばこれまでより防げる可能性も多くあるということかと思います。

患者さんのために初動を早くし、先手先手で動きたいものですね!!

ここまで読んでくださった方ありがとうございます。

もう少しこの文献をまとめたいのでまた、読んでいただければと思います!

それでは失礼します!!

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