![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/59378302/rectangle_large_type_2_0ddeba5d586fc1e52cdba7f727f95b7d.jpg?width=1200)
#534 思い出のレコード「Salt Water Taffy / Finders Keepers」
90年代後半、大学生だった私は学校にも行かずレコード屋ばかりを巡る日々が続いていた。今日は当時最も探したレコードについて書こうと思う。
勉強漬けだった浪人生活から晴れて大学生となり、なんちゃってDJサークルに入った私はいわゆる「渋谷系」のルーツ的な曲や「フリーソウル」「レアグルーヴ」などのわかりやすくおしゃれな音楽を好んで聴くようになっていた、
そして、当時よく通っていたフリッパーズファンが集うようなパーティーでフロアアンセムとしてかかっていた曲がソルトウォータータフィーの「Finders Keepers」である。
ソフトロックの大定番曲として語られるこの曲。収録アルバムは今でこそ再発もされているし、サブスクでも手軽に聴けるので良い時代になったなあとは思うが、90年代半ばの東京ではどのレコード屋さんでもまず見かけることがないレコードだった。それだけみんなが探していたし、万一見かけたとしても「でーん」壁に面だしされていて、お値段なんと5桁以上。とても大学生には手の出る値段では無かった。
自分がこのレコードを知ったのは入学当初、サークルの先輩から「これ知ってる?」と言われたのがきっかけだった。カジヒデキさんがソロになる前のバンド「ブリッジ」の元ネタになった曲が収録されていると教わった。
「渋谷系」「ソフトロック」がキーワードとなっていた私は、当時バイブル的に読んでいた「ソフトロックA to Z」も貪るように読み込んでいたので、その中で高評価されているアルバムはどれも喉から手が出るほど欲しかった。
ご多分に漏れず、この「ソルトウォータータフィー」のアルバムもバイブル中ではカラーで紹介されていて、高評価。なので、90年代半ばの渋谷系元ネタハンター世代は全員が探していた、けど全く見つからないレコードだった。このアルバムと小西康陽さんが推していたロジャニコの1stは、当時はまだ再発もされていなくて需給バランスが崩れていたのだ。
その後、2000年代に入るとこのアルバムはあっさりとアナログで再発されて、今度は供給過多に陥ってどこでも手に入るようになってしまった。あまりにも簡単にレコード屋さんでも手に入るようになってしまって、なんだか拍子抜け。しかも手に入れてしまってからはほとんど聴いていない。もう明らかに自分内ブームが過ぎ去ってしまった後だったのだ。
いわゆるソフトロックというジャンルの中でもこの「ソルトウォーター〜」をはじめとしてキラキラとした曲調は「バブルガム・ポップ」と呼ばれるジャンルに細分化される。そのバブルガム・ポップがドリーミーでキラキラ過ぎて、なんだかウザく感じてしまう年頃になってしまったのだ(伝わるかな?)。特にブッダレコードというレーベルがバブルガムポップの総本山でブッダ全般を全く聴かないようになってしまった。。
昨夜、たまたま20年ぶりくらいにそのブッダからリリースされていたバブルガム・ポップの名盤「イノセンス」のアルバムを聴いた時、「けっこう好きかも」と思い「聴かず嫌いだったな」と反省した。そして、ソルトウォータータフィーのレコードを探し求めてしいた90年代当時を思い返す夜となったわけである。