見出し画像

「学校つらいなら休ませるべき」を知らないわけではない親たち・子どもたち

8月30日の東京新聞のトップは、「学校つらい?休ませるべき?保護者だって不安」という大きな吹き出しとともに、子どもたちの不登校のことについて触れた記事だった。トップ記事なのになぜか東京新聞のWeb版に掲載されてないので、また掲載されたらこちらにも記載します。(いまだに新聞のWeb版掲載のルールがよくわからない。。)

記事では、「学校休んだ方がいいよチェックリスト」というラインアプリの紹介をしていた。去年こちらのLINEアプリができたときの記事はありました。

「義務教育」の「義務」は、子どもの義務ではない


最近やっと誤解が解けてきたのは、「義務教育」というのは、子どもたちではなく保護者に対する義務であって、子どもには教育を受ける権利はありますが、学校に通う義務はありません。特別な理由なく、子どもを学校に行かせないというのは義務違反であるという、親側に課したものなのです。

さらに、2016年に制定された教育機会確保法では、不登校の子どもへの支援について以下のような配慮事項が定められています。これによって、不登校になることも子どもの権利であると保障されました。

  • 不登校の子どもやその保護者を追い詰めないこと

  • 児童生徒の意思を十分に尊重すること

  • 不登校を問題行動と受け取られないよう配慮すること

  • 児童生徒の状況に応じた支援を行うこと

そして、これらは少しずつ認知度を高めてきており、子ども支援団体をしているから偏りはあると思いますが、10年前くらいに比べて「不登校は甘え・甘やかしだ」とか、「不登校になるなんて(子どもも親もけしからん)」的な風潮や声は確実に減ってきているように感じます。間違っていけないのは、減ってはきているものの、まだまだたくさんそういったことで追い詰める人はいることはもちろん、忘れてはいけません。この法律の変更すら知らない人は世の中にたくさんいます。

学校行かないで、じゃあどうするのよ


一方で、不登校が権利として定まったのは、本当に一歩目に過ぎないと感じるのは、最近増えている声としては「じゃあ、どうしたらいいのよ。家に放置しておけとでもいうの?それはネグレクトじゃないの?」という保護者側の声。また、学校に行けていない子どもたちからの、「自分はどこを目指すのか。何になれるのか。何にもなれないのではないか。じゃあ生きる価値はないのか。」といった声。

以下の記事でも書いたのですが、不登校は年々増えていて、最近は毎年最高数を更新し続けています。もはや、これは個々人の問題ではなく、今の学校システムが社会や子どもたちの現状にマッチしていないという叫びであることは間違いありません。

スマホ・ゲームと不登校の関係。悪者か、悪者じゃないか。

一方で、ゲームやらスマホやら、子どもたちにとっては強すぎる刺激を与え続けるものがあり、学校に行くよりも脳を刺激してくれるものがある中で、学校にいかないという選択をしているケースも少なくないように感じています。学校が明確に嫌なことよりも、こっちの方が親を悩ませているのではないかとも思います。「このままいかせないともっとゲームやスマホづけにならないか」とか、もしくは今そこまで使ってなくても、「学校に行かせないことによって、それを使うことを増やしてしまうのではないか。」という悩み。

思春期学会等の報告で、不登校の原因の一つに昼夜逆転ということが度々言われるようになりました。ゲームやスマホと不登校の問題はもはや切り離せなくなってきており、子どもや保護者を大きく悩ませている種であることは間違いありません。

私の中で、スマホ・ゲームはそのもの自体が悪いものとは思っていませんが、お酒とたばこに近い存在だと思っています。刺激が強く、快楽物質等が出るので、まだ成長段階の子どもたちには、それを適切にコントロール力が備わっておらず、子ども自身にその使い方をゆだねるのは危険なものだというのが、私の現段階での考えです。「大人だって使うし、社会に出たら使うから早くから使うのは何が問題なのか」に対する私なりの答えです。お酒とたばこにも発達段階等を踏まえて、適切な年齢が設定されていますが、スマホ、ゲームも同じだと思っています。最近の研究では、1日2時間までとされているのが通説かと思います。

・1日2時間を超えていないか
・昼夜逆転、もしくは睡眠不足の原因になっていないか
この二つを振り返り、適切な量に戻していくことが、まず第一段階のように感じます。これは学校に行く、いかないにかかわらず、子どもの心身の成長・発達において大切なことだと考えていまフtす。

不登校の原因探しはとても危険!

その上でも学校に行きたがらない場合は、学校が本当につらい要素があるのだと思います。学校というシステムと子どもの相性なのか、今の学校の何かと子どもの相性なのか、一時的な人間関係によるものなのか、原因によって解決策や、必要な時間は異なるように思います。

ただし、原因探しをすることは危険性も伴うと専門家は言います。原因探しは、犯人捜しのようになる可能性があり、子どもや保護者を追い詰めてしまうことになりかねません。すでに原因が見えているのであれば、それにマッチした代替手段を練ることは大切ですが、よくわからない原因を探そうとし続けることは危険なようです。

どれくらい休むと気持ちが楽になりそうか、何からだったらはじめられそうか、親としては何ができるのか、それについて子どもと対話していくことが大事なのかもしれません。ただし、思春期は親と子どもが冷静に話すのはとても難しい年代でもあります。ましてや親が更年期だったりすると、思春期のホルモンの変化と、親のホルモンの変化で、ホルモン大戦争で大喧嘩に勃発しかねません。親と子どもが一緒にカウンセリングだったり、専門的な第三者に相談に行って、対話していけるとより理想的だと思います。

不登校が恥ずかしいことでも、問題行動でもないことを知るのは、そのアクションをとるための、本当に第一ステップなんだと思います。ただ、第一ステップ以降が、本当に大変というか、忍耐とか、冷静さをキープしなければいけないし、子どもにとっても大人にとっても修行に近い感覚があります。生活が苦しい、仕事が忙しいと、さらにその難易度や修行度は増していきます。なので、余計に厳しい修行している人たちを、周りは追い詰めないでほしいものです。

学校の代替手段の少なさ。東京都が始めた月2万円のフリースクール授業料補助


そして学校の代わりとなる代替手段が本当に少ないのも大きな問題です。家に子どもがずっといたら、親は気になるに決まっています。家と学校以外の安全な場所だったり、教育を受けられる場所をもっと整えなければ、結局「学校に行きなさい」になってしまいます。最近のフリースクールはとても高くなってきたので、お金的な事情で選択できないということも増えてきています。

東京都では、2024年よりフリースクールに通う家庭に2万円の補助が出るようになりました。オンライン授業はNGだったりと、いくつか課題はありそうですが、増え続ける不登校児と、フリースクールの料金の高さに対して、対応せざるを得ない状況になってきたのだと思います。

実はフリースクールの定義は、まだ定まっていません。学校の授業の単位になるところもあれば、ならないところもあり、フリースクールの制度自体もまだ不安定な状況です。東京都はまだ先進的で、全国的にフリースクールの補助はかなり珍しいはずです。

スマホ・ゲームの存在に対して、学校や、子どもの周りにいる大人がそれに冷静に対応できるような精神的にも経済的にも余裕がない中で、どのように子どもたちの叫びを受け止めて、権利を保障していくか。

実は「不登校は権利です」では済まされない、修行のような道が待っていることを、ぜひたくさんの方に知っていただき、子どもや保護者の支え、力になっていただきたいと思います。

私も頑張ります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?