読書89 『晴れたらいいね』
藤岡陽子著
高橋紗穂は24歳の看護師。
患者の雪野サエは脳梗塞で意識のないまま寝たきりの95歳である。紗穂はサエに腕をつかまれたため、担当医師を呼ぼうとしたところ、激しい揺れが襲い、気を失ってしまう。
気がつくと紗穂は、1944年8月のフィリピンのマニラにタイムスリップし、陸軍病院で従軍看護婦として働いていた、雪野サエの体になっていた。
時代は違っても看護業務に違いはない。1945年の8月15日に戦争が終わることは知っている。とにかく生きて日本に帰らなければ・・・。(公開されているあらすじから)
看護師資格を持つ作者の藤岡さんが、日本赤十字社で見付けた資料から構想した作品と記載がありました。
【戦地で傷病兵の看護にたった看護婦は、日本赤十字の看護婦に限っても述べ3万数千人、そのほとんどが10代から20代の女性だった。(日刊ゲンダイデジタルから)】
印象に残ったところは、伍長から手榴弾を渡されたときに、紗穂が「私は自決なんて絶対にしません。生きて日本に帰るんです。誰がはじめたのだってわからない。誰のためなのかもわからない、こんな戦争なんかで死にたくないんです」と言い放ったところです。あんなに厳しかった婦長が、この言葉に胸を打たれたと後で話したところも。
過酷な話が続きますが、紗穂の明るさと、いつも憎まれ口をきいている同じ班の看護婦の民子とのやりとりには、少しだけホッとしました。
藤岡さんの本は、本当に大変な厳しい内容の中にも、主人公が前向きであったり、それでいて大切なことが含まれているように感じています。
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