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読書159 『うるさいこの音の全部』

   高瀬隼子著

***22時過ぎ。大学の友だち4人で集まっている、わたしが住む学生マンションのベランダから、中華料理店が見える。
お腹が空いたがお金がない私たちは、中華料理店の息子さんに「かっこいいとかさぁ、適当に言ってれば、ただにしてくれるでしょ」と言っては大笑いしている。結局、わたしたちはその中華料理店へ出かけていった***

「何てやつらだ!」と、思うくらいに、このあと、ひどい話になっていくのだが、それは長井朝陽が書いている小説の話。

長井朝陽は学生のときにアルバイトをしていたゲームセンターに、そのまま就職をした。
その傍ら『早見夕日』というペンネームで、小説を書いている。職場の上司には伝えていたが、書籍化されて新人賞まで取ったことで、たちまち職場の皆に広まってしまう。
実家の周りの人たちも、朝陽が早見夕日だということを知っている。私生活を公開していないのに、なぜ?

と、いうところから始まって、朝陽が有名になるにしたがって、職場では広報に異動させられそうになったり。
華やかで絶対に近よれなかった地元の同級生が、早見夕日が朝陽と知って、SNSで紹介しているのを見つけて、🩷を押そうか迷っていたら、コメント欄に「どんな子だっけ?」などと書かれているのを見つけてしまったり。
さらには芥川賞まで受賞してしまうが・・・。

朝陽のモヤモヤの脳内を、文章にして語られるお話です。

同時に、小説の方もゾッとする展開になっていきます。

何とも不思議な小説だなぁと思いながら、読んでいました。
でも、朝陽の感じることはすごくわかるし、いちいち斬新です。ひょっしたら、自分の気持ちを表現してみたら、こんな風かもしれません。

このような形態の小説に、出会ったことはなく、発想がとってもおもしろくて、新鮮でした。

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