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読書213 『リラの花咲くけものみち』

   藤岡陽子著

聡里が母を亡くしたのは、小学校四年生の聡里の誕生日のことだった。そして、六年生のときに父は再婚した。
義母は家具もインテリアもすべて買い替えると「私、犬アレルギーがあるみたい」と言い出す。パールは、母の友人の犬が産んだ中から譲ってもらった、聡里にとってはかけがえのない大切な犬だ。学校に行っている間に、パールが捨てられるかもしれない恐怖心から、聡里は家から出られなくなった。

聡里が学校にも行けなくなって、三年半後の聡里の誕生日。母方の祖母が訪れ、聡里の変わりように悲鳴をあげた。
外出中の家族が帰るのを待って、祖母は父に「聡里は連れて行きますから」と言い、その日からパールも一緒に、祖母の家で暮らすことになった。

聡里はやがて、北海道で獣医師を目指すことになります。
おばあちゃんと一緒に、大学の寮を訪れるところから物語は始まるのですが、おばあちゃんがもう、お菓子を配ってあいさつしたり、その様子を浮かべては涙が止まらなくなります。
私は、完全におばあちゃんにやられてしまい、その後は何をしても涙腺が緩んだ状態。

50ページちょっと前くらいから、聡里の北海道での生活の話になります。

獣医師は、動物の命を救う仕事と思っていましたが、時には残酷な決断をしないといけないこともあることを知り、参加した臨床実習で目の当たりにしたところで、聡里は「私には無理だ」と挫折を感じます。

理想と現実の間で葛藤しながら、聡里をはじめ学生たちが、どのように命と向き合っていくのか。痛いくらいに切実に描かれていきます。

藤岡さんの作品は、読むたびに好きになるのですが、この作品もまた、心に響くすばらしい作品でした。強いて言えば、聡里の父親に不満😓

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