読書194 『汚れた手でそこを拭かない』
芦沢央著
・ただ、運が悪かっただけ
余命宣告を受けた私。せめて、夫が苦しみを抱えているなら、それを引き取れないだろうか。
・埋め合わせ
小学校の教師。うっかり失敗をしてしまった。すぐに教頭に報告するべきだったのだが、できなかった。
・忘却
隣人宛の封書が間違えて郵便受けに入っていた。宛名を確認しないで開けてしまったところ、電気代の「送電停止」の通知だった。
妻が隣人に返すつもりだったが、忘れてしまったよう。
・お蔵入り
映画の公開前に、主演俳優へのある疑惑が。
まだ、表面には出ていない。映画の公開中止になることだけは何としても避けなければ。
・ミモザ
料理本がベストセラーになっている。
9年前につきあっていた男が突然、サイン会に現れた。
「言えばよかったのに」「やめておけばよかったのに」「あのときこうしていれば」
こんなことにはならなかった。
「埋め合わせ」「お蔵入り」は、じわじわと追い込まれていく様子が、恐怖でしかありません。
「ミモザ」は、普段の様子からは、全くわからない、人の裏側に触れていきます。
「忘却」は、かなりゾッとしました。そしてラストの後味の悪さったら😓
「ただ、運が悪かっただけ」は、夫の抱えていた苦しみに、何ともやるせない気持ちが残りました。
芦沢さんは『悪いものが、来ませんように』を読んでから、二作目になります。
展開が独特で先が見えず、最後に嫌な気持ちになります。でも、気になるところが多すぎて、引き込まれていくので、魅力的な作家さんだと思いました。
何冊かはタイトルも独特です。「何だろ?」って、つい思ってしまう😓
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