読書レビュー『非弁護人』
はじめに
こんにちは、Takaです。
今回は『非弁護人』を紹介します。
たまにこういったリーガル・ミステリーが読みたくなる時期があります。以前紹介した中山七里の<御子柴>シリーズと同様に、少しアウトローな弁護士モノは、私にとってかなりツボに入るようです。
概要
タイトル|非弁護人
作者 |月村了衛
出版社 |徳間書店
発売日 |2024/3/8
感想
元特捜検事・宗光 彬は無実の罪で法曹界を追放されます。その後、弁護士資格のないまま法律案件を闇で請け負う『非弁行為』を行うことから、『非弁護人』と呼ばれるようになります。ある日、パキスタン人の少年から「クラスメートを探してほしい」と依頼され、その調査を進めているうちに大量の失踪者の存在が明らかになり、この大規模犯罪に立ち向かうという話です。
本作の魅力は、登場キャラクターの個性にだと思います。
まず主人公の非弁護人・宗光 彬は、裏の仕事が基本となるため、アウトローな雰囲気がいっぱいです。ただ完全に裏に染まり切れていない、どこか危なっかしいところが魅力ですね。
また非弁護人では裁判に出れないため、弁護士が必要となります。それは共に特捜検事を追われた弁護士・篠田 啓太郎。検事を追われたこと、そして宗光が非弁行為を行っていることに怒りを持っており、言い合いばかりしているものの、お互いにその実力は認め合っており、本作では裁判パートを担っています。
また非弁護人という特性上、ヤクザの存在が必要になります。暴力描写がほとんどないので、そういったものが苦手な人でも問題なく読むことが出来ます。少し暴力をチラつかせる商売人という役回りで、この巨大組織を活用して、犯人を追い詰めます。
またここで登場するヤクザも魅力的であり、登場時は大物感があったのに後半は小物感満載になってしまった関西のヤクザの楯岡や、後から登場して大物感を出す関東のヤクザの久住など、まだまだキャラの深堀りが出来そうな雰囲気を感じています。
これだけ魅力的なキャラクターがいるのであれば、是非続編も期待したいですね。特に過去の事件の黒幕も残っているので、書こうと思えば書けると思います。作者の気分次第のところもあるでしょうかが、是非期待して待ちたいと思います。
おわりに
今回は『非弁護人』を紹介しました。
私にとって、ミステリーとリーガル・ミステリーの差は、犯人を指摘して終わるだけではなく、法廷で有罪に持っていけるという条件を満たしてこそ、リーガル・ミステリーだと思っています。本作は一般的なリーガル・ミステリーと異なり、弁護士資格を持っていませんので、やっていることは探偵とほぼ同じです。しかし犯人を法廷で裁くことを最終目標としている点においては、やっぱりリーガル・ミステリーだと感じました。