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未来を創る子どもたちがキラキラと目を輝かせるような教育を。小林誠司さんの高い志|映画上映会企画者インタビュー

『Most Likely To Succeed』を6月7月に立て続けに3回も上映企画されている「Brightening The Future」の小林誠司さんにお話を聞かせていただきました。個人の活動でここまでできるんだ!という驚きからインタビューをお願いして、その原動力や目指すところをお伺いしました。

教育に関わる仕事で社会に貢献したい

-まずは自己紹介としてこれまでのキャリアなど教えていただけますか?

電気メーカーにエンジニアとして入社。その後、放送機器、ゲーム機、医療機器のための画像処理や画像認識の技術開発に従事し、2005年からはマネジャーとしてチームを牽引してきました。5年以上前から、「教育」に関わる仕事で社会に貢献したいと思っていて、そのためには自分にも実績が必要だと思い、2018年4月、志願して人事に異動しました。現在は人材育成、キャリア支援、働き方改革などを担当しています。

日本人は世界で競っていけなくなるのではないか

-教育に関わり社会に貢献したいと思われた理由を教えてください

開発現場でマネージャーをするなかで日本の若者の将来について強い懸念を持つようになりました。日本で優秀と言われる学校を出て大手企業に入社した若者も、頭は良いんだろうけど実社会ではあまり伸びていかないのではないか、自分で問いを立てて探求するようなことができないのではないか、という危惧です。例えば10年後、今の中学生が大人になったとき、日本人は世界で競っていけなくなるのではないかと思いました。

きっかけは「みんなの学校」木村泰子先生との出会い

-今のように映画上映会などを始めたきっかけというのは?

教育改革や社会起業家育成などで著名な熊平美香さんに、とある研修を通じて知り合い、2016年に「未来教育会議」のイベントに参加しました。「未来教育会議」とはマルチステークホルダーで社会や教育を考えるプロジェクトです。そこで、映画「みんなの学校」が話題になった木村泰子さんの講演を聞き、強い衝撃を受けました。たまたま翌日「みんなの学校」上映会があり、妻を連れて観に行き、これはすごいと思いました。
勤める会社で社内上映会と講演を行い、300人以上が集まってくれ、8割の参加者が「とても良かった!」と評価してくれました。そこから始まっています。

ー『みんなの学校』のどんなところに衝撃を?

教育というより、リーダーシップですね。「すべての子どもの学習権を保障する」という理念をもつ大空小学校には、職員室にも多くの大人がいて、地域の人々や保護者、ベテラン教員から新任の若い先生も。職員室の大人たちは真剣勝負で、苦悩や葛藤があり、そこからの学び合いや、冗談を言い合う人間関係もあります。そんな活発な職員室が、大空小学校のようなフルインクルーシブな教育を支えていることがわかります。

PBLドンピシャな映画『Most Likely To Succeed』

ー『Most Likely To Succeed』を上映しようと思ったのはなぜですか?

私が教育に関わるなかで一番やってみたいことはProject Based Learningですが、High Tech Highで行われていることはまさにドンピシャだと思いました。社会で行われている仕事の多くがプロジェクトであり、アウトプットをしっかり出すことが求められています。それなのに学校では、仕事の仕方はほぼ何も教わっていません。なぜ知識を詰め込むだけなのか疑問です。PBLへの転換が必須だと思っていて、この映画はその意義をよく表していると思います。

色々な人と出会えたことが財産

ー活動してきて良かったのはどんなところですか?

個人的な思いから始めましたが、色々な人が賛同して手伝ってくれたり、参加してくれた人とたくさん出会えたりすることですね。自分と同じように課題を感じている人、すでに活動している人たちと連携することができたことは間違いなく財産です

例えば、教員をやりながら大学院で研究をされている方と知り合いました。問題意識があっても身近に共感してくれる人がいなくて無力感を感じる、という話をされていました。他の教員からも同じ意見をよく聞きます。でも、一度イベントに参加した先生が、他のイベントに仲間を連れてきてくれたりして、案外、新しい実践やチャレンジをしている先生が多くいらっしゃるというのが今の実感です。

ー他にはどんなつながりがありますか?

NPO法人YouMe Nepal(ゆめネパール)代表のシャラド ・ライ(Sharad Rai) さんとつながることができました。彼はネパール出身で東京大学博士課程に在学中で、NPOを経営しています。彼は国を変えるために教育を変える、という高い志をもって本気で取り組んでいて、すごく刺激を受けます。私も日本だけでなくアジアの教育にも関われたらと思っています。

未来を創り出す子どもたちがキラキラと目を輝かせながら学んでほしい

ーこれからしていきたいことを教えてください。

教育と社会がつながる世界を創り出していきたいのですが、理想論を語るだけでなく実践したいと思っています。まずはキャリア教育コーディネーターについて学んでいます。キャリア教育コーディネーターは、PBLなどを行うにあたり、学校が地域社会や企業とつながり、有意義な授業を展開するためのコーディネートをする人材です。資格取得のプロセスで、実際の学校に出向いてニーズを把握し、プログラムを開発して実施する、ということを行うので、まずはそれをぜひやりたいと思っています。
なぜかといえば、学校の外部で色々と理想を語ることができても、学校の現場で日々起きていることはわかりません。それを理解しないと、本当に意味のあるイノベーションは起きないと考えています。

Brightening The Futureという名前もそうですが、未来を創り出す子どもたちがキラキラと目を輝かせながら学ぶような学校、教育を実現したいと思っています。勉強が難しくてつまらない、そう感じてしまう前に、何か課題を探求するのが楽しい、心から面白い、と興味を持ってもらえるようにしていきたいと思っています。

インタビューを終えて

先端技術とグローバルな人材の活躍を見ながら日本の教育に危惧をもったという小林さん。映画上映会はひとまず目の前のステップでありながら、その結果、様々な出会いのなかで10年後20年後に向けたイノベーションを加速させるような対話とうねりを創出していることがわかりました。これからもぜひ率先して対話と実践を促進させていただきたいと思いました。ありがとうございました。(木村泰子さん講演時の写真はご提供いただきました)

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