夜概念朝概念

昼間を取り返す。


まるでその言葉の通りに夜は寝られない。いや正確にいえば寝られるのかもしれないがそれには気づく暇も与えないようネットサーフィンにふける。夜は静かで自分以外はこの世から消えたのではないかという錯覚すら与えてくれる。夜の自分の前では誰もがひれ伏せているような気さえする。昼間ですら夜にならないかと考えるほど夜が好きだ。

道を歩く。昼間では刃物や銃弾のように感じる視線がまるでない。何かやらなければいけない作業が残っているわけでもない。誰かと会話がだらだらと続いてしまって寝られないわけでもない。そんな日もあったなと感じるほど自分の青い日々はいつの間にか消えた。

腹が鳴る。だが何も食べない。この空腹を我慢する行為だけが唯一自分が頑張っていることなのかもしれない。新聞を配達するバイクの音が夜の静寂の世界を切り裂く。そして日が昇り鳥が鳴いたのを最後に自然と瞼が重くなる。切り倒された大木の様にベッドに横になり起きたらまた時計は昼の十二時。あぁ、また朝だ…

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