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箱館ハイカラ號

のどかにガタンゴトンと乗客をのせた
ハイカラ號が
基坂下をかけぬけていった

明治時代の路面電車を復元した
「箱館ハイカラ號」

1910(明治43)年製
千葉・成田で運行していたが
1918年に函館にやってきた

一時は除雪に使われていたが
レトロに復元され
30年ほどまえに客車となった
赤と白のクラシックなデザインが
人気だ

箱館ハイカラ號   後方には旧函館区公会堂                                                2022

昔の写真が手もとにある
幕末、開港とともに開いた運上所を
明治になって税関と改めた

その初代税関のまえを
移動する小型の鉄道
馬が曳いている

これは、馬車鉄道だ
1897(明治30)年開業

馬車鉄道     奥に初代税関                               函館市中央図書館蔵

もう一枚ある
基坂上から撮った写真
パンタグラフがある電車
運転手が見える

この電車はハイカラ號そのもの
昔の車体を復元したのが
今のハイカラ號だ

基坂下の 電車  奥に二代目税関        右・日銀 左・相馬本社   大正中ごろ~昭和              函館市中央図書館蔵

写真奥に見える洋風木造の
二代目税関は
昭和40年代にこわされ
別のところに移り
あと地は海上自衛隊の基地となった

日銀も移転し
そのあとに

アイヌ民族の一級の資料を展示している
北方民族資料館が入った

さらに
相馬のルネッサンス風本社は
1916(大正5)年に完成し
いまなお現役である

相馬本社 基坂下                        2022

函館山のふもと
基坂界隈は時代が変われども
開港場がもつ異国情緒の香りが
今もただよっている

このあたりを歩きまわると
うつつ(現)に一世紀前が重なりあって
函館の奥深さを感じる


*2022.12.25  nippon.comに投稿したコラムを編集

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