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踊る縄文人

30年まえ、函館の市街地から30分
津軽海峡をのぞむ「戸井貝塚」から
縄文の骨角器が発掘された

釣り針、貝を加工した腕輪などの装飾品
海に漕ぎだした小舟をかたどった舟形の土製品も出土
四千年まえの縄文時代後期の生活が目に浮かぶ

そのなかで、エゾ鹿の角から作られ、体に沢山の穴が開けられた
人型の角偶(かくぐう)が、損傷もなく完全な形で世に現れた

この角偶を一目見たとたん、縄文人がモダンジャズを踊っている!  
ピアノを弾いているのは、オスカー・ピーターソン?

角偶  エゾ鹿の角製 大きさ5cmほど 有形文化財           市立函館博物館蔵

ー縄文の世 戸井の対岸、津軽海峡をはさんだ下北半島の方角から、今日も朝日がのぼり一日が始まった
波もおだやか
皆で力をあわせ舟をだし
釣り糸をたらすとたちまちにして釣れる
サケの入れ食いだ
時には、マグロが浜に押しよせこん
棒でたたいて仕留めることも

事実、明治と大正のころ
マグロの大群が戸井の浜に押し寄せ
なぎさ近くまで突っこんだこともある

対岸は下北半島   縄文の世、人の行き来があった 昔から変わらぬ営み      
                                                        戸井の浜 より 下北半島・大間を望む  わずか18キロ


 
ー陽がかげりはじめ、浜辺の一段と高い平らな空地に集まり
今日の恵みを太陽に感謝しようと車座になった
エゾ鹿の皮を張った太鼓をたたき円陣をくんで踊りに踊る
生きるだけの毎日から解放され
自然とともにゆとりある暮らしであった
 
角偶は、体を左にかたむけつま先をたて
 太鼓にあわせて脚でリズムをとっている

 まさに、オスカー・ピーターソンの名演奏「A列車で行こう」


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