見出し画像

読書する女

分厚い本を読んでいた金髪女が
顔を上げたとたん、視線が合った。
飾り窓の中から秋波を送られたか。

ドイツの思索家ベンヤミンの至言が、
頭に浮かんだ…
「本と娼婦は、ベッドに連れこむことができる」

ハンブルグ  レーパーバーン         1996

ハンブルクのレーパーバーンは
「世界で最も罪深き1マイル」といわれ、
昔からの大歓楽街。

すぐに「飾り窓」を連想する向きもあろうが、
健全なバー、ライブハウスやストリップ劇場が
軒をつらね、ナイトクラブめぐりの観光バスまである。

だが、しつこい客引きが表通りにたむろし、
鼻の下を長くしそうものなら
ボラれることもあるとか。

ハンブルグ       レーパーバーン                   1996  

ヘルベルト通りの「飾り窓」の入口に、
独語と英語で
「女性と未成年入るべからず」とある。
もちろん、写真撮影は、ご法度。

日本の遊郭は消えて久しいが、
飾り窓は、ハンブルク州の公認だ。
入口ちかくに警察署がある。

昔から港々に女ありと言うが、
もともとは船乗りと軍人向け。

ハンブルグ     レーパーバーン 裏小路                1996

窓のなかの女は照明のせいか、
若く見え美人もいて陰湿な感じはない。

昔は貧しかったポルトガル・スペインなどの
出稼ぎ組が大半。

このところは東欧・ロシアからも
流れこんでいる、
とは現地人の話である。

冷やかし組が通りをぞろぞろ、
まさにウインドー・ショッピング。

公然と売春施設が存在すること自体、
日本では考えられない。

ハンブルグ  ブラームス・キューブ   幼年~老年まで巨匠の顔が4面に刻まれている 1996

この大きな港町は、懐がふかい

巨匠ブラームスを生み、
ビートルズが世に出るまえ
この街のクラブで
たこ部屋のごとき
下積み時代を過ごしている。

2017年、新しい名物が誕生した。
「エルプフィルハーモニー」
エルベ河沿いの
古い赤レンガ倉庫のうえに建てられた、
世界最高のコンサートホール
といわれる。
ここでブラームスを聴きたい。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集