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わび寂びライカ EU

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わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅。出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした泥縄そのものであった。 そんな初心者が、プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮っ…
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#ノンフィクションが好き

わび寂びライカ

わがカメラ事始めは、30年ほどまえのイタリアの旅 出発まぎわに「写真の撮り方入門」を手にした 泥縄そのものであった そんな初心者が プロ仕様のピントも露出も手動のニコンF3で撮って ピンボケだらけのネガの山を築いた アッシジの路地裏 あ、同じカメラを持っている! と お互い思わず駆けよった相手がドイツの女子学生であった ベテラン風情の彼女は プロ風にニコンを「ナイコン」と発音して ライカより良い「キャメラ」、と その後、イタリアの失敗写真から抜けだそうと F3のシャッ

クレオパトラ 鼻は高からず マリー・アントワネット 浪費夫人 革命に死す ヴィクトリア女王 マイホーム型もまた楽し モーツァルト夫人 天才に愛された悪妻 イサベラ 新大陸に賭けた名ギャンブラー エリザベス一世 家康なみの我慢と権謀 永井砲がさく裂 名のある女王を解剖 痛快愉快

世界最高の戦争写真家と呼ばれた ロバート・キャパ スペイン内戦  弾を受け「崩れ落ちる兵士」 この写真がキャパの出世作 第二次世界大戦  ノルマンディー上陸作戦 海に浸かりながら進軍する兵士ともども 狂ったようにシャッターを切った フィルムが海にぬれ カメラに装填できなかった

2000年 仏ボルドー  貴腐ワインのシャトーフィロ 貴族の主が 自らグラスをならべワインをふるまう 絵を指して妹の絵を描いたのは 藤田嗣治、と 地下の暗く冷たいセラー 古ぼけた木箱のなかに1890、1911年… びっくりな年代もの 家族の祝い事にコルクを抜く ああ!!

運命の石

ダブリンの北西30キロにある小高いタラの丘 羊のフンをふまぬよう、そろそろ登って行く あたりはなだらかな牧草地で 羊の群れが草を食んでいる アイルランドに渡ったケルト族は 部族ごとに分かれ小国が争っていたが 王のなかの王ともいうべきタラの王をえらび その王のもとにゆるやかな連合をつくった タラの王は 宗教的な役割が色こくシンボル的存在であった 大陸からキリスト教が伝わり全土に広がるにつれ タラは影をうすめ 10世紀ごろ、タラの王座は消える が、この丘は アイリッシュ

聖母被昇天

1995年  ヴェネツィア サンタ・マリア・フラーリ教会 この教会の祭壇をかざる「聖母被昇天」 ヴェネツィア派絵画の 巨匠ティツィアーノの最高傑作だ 聖母マリアの眼差しは天国に向けられ 見る者の視線をも方向づける。 金色の光のなかで 神は身をかたむけ天に召される マリアを待ちうけている 下では空になった墓から マリアを見あげて パウロ、ヨハネらの使徒が おどろき動揺している バロック的でダイナミックな構図 全体をつつむ暖かい色彩 神々しい金色のかがやき 赤い衣をまと

コペンハーゲンの「解放区」

足を踏み入れたとたん、息をのみ立ちすくんだ スプレーで描いた前 衛的な絵や落書きで 壁一面がおおわれた廃屋群のど真中 ヒッピー風や 子連れの黒人親子もそこかしこ 人々の表情は、わりと穏やかで知的な 顔も見えるが ニヒルな雰囲気があたりに漂っている コペンハーゲンの町外れ、運河に囲まれた一角に クリスチャニアと呼 ばれる「解放区」がある 一九七〇年代、軍隊の兵舎や倉庫だった空き家を 浮浪者、元犯罪者、ヒッピーの若者、ヨーロッパ流れ者が いつ の間にか無断占拠してしまった