【外食】事業所(ショップ)訪問
店舗を構え、お店を開けてご来店されるお客様を待つだけ…
普通に考えたらそうなのでしょうけど。
リージョナルプロモーション(売場起点の狭域型購買促進)の「3P戦略」の一つ、来店促進策(Pull戦略)として、外食ではこういうこともできましたよ、という内容。
はじめは試行錯誤が多かったですが、要領が理解できてくると、精度も上がりました。
業務指示
当時(2005年くらいか?)から、所謂「指示」としてある一定数は事業所(ショップ)訪問は行うよう言われていた。
…しかし、「5W1H」の具体性に乏しい部分があり、実際行っているのか、いないのか、内容等は、『神のみぞ知る』ところであった。(トレース要素も未熟)
トークスクリプト
訪問をして、自店の良さを伝えてご来店を促す(宴会を獲得する)
だけで、訪問営業のように何かを売るわけではないのである程度敷居は低い。
しかし、模範がどのようなものかわからない、経験に乏しい、アポなしで伺うのだから、邪険に扱われないか不安にもなる。
(中にはアポを取って伺う方もいたようですが、形式を意識して行動するのは時間の制約が伴うので、大口の得意先とかでしたら話はわかりますが・・・フランクさを基調として行動しました。)
さらに・・・どこからどう回ろうか?
どう切り出して話しようか?
何をどう伝えようか?
こんなこと考えていると、足取りは重たくなるし、伺う気や、目的意識も削がれていく…
嗚呼…何か良い方法、ないかな・・・・・
そして閃く
はい。閃きました。
契機は日々ご来店されているお客様。
…はて、どちらからいらしているのだろう???
いつもご足労いただいているのだから、たまにはこちらからご挨拶に伺っても良いのでは?と思いました。
訪問するところをまずは『既存顧客』とすることで、経験不足を補い、不安を取り除くことも兼ねよう、と。
CRM(Customer Relationship Management)にも通じる部分らしいのですが・・・後々リテールマーケティング検定や経営学検定を勉強する際に知りました・・・
その時は、『新規顧客獲得』「既存顧客の来店頻度向上」としか考えていませんでした。
5W2H
①いつ回る?
店舗のシフト、仕込み状況を鑑み、週1~3回(金、土、祝を除く)、13時~16時くらいの時間帯に行うようにしました。
②どこを回る?
取り出したるは店内でいただいた数々の名刺。名刺にはもちろん『住所」が記載されてますよね?周辺地域の地図、番地を確認の上、近くで回れそうなリストを箇条書きで作成しました。
基本、店舗から徒歩圏内でしたが・・・時に自家用車を引っ張り出して、車で回ったことも何回かあります。そうなると、もう、『会いに行く』感じですよね…
③だれと回る?
基本、一人で行動していました。計画は立てども、訪問の状況で何をしなければならないか変化したり、訪問途中に気が付いて行動が変わったりすることもありましたので・・・
例えば、付近の大きめな公園で催事があった際に狙って伺ったら、当日20名を超える宴会獲得ができ、食材集め、人集め、仕込みに奔走することとなったり。
例えば、水曜日にカーディーラーの店舗がお休みなことに気が付き、業種によっては、月、火、水に店休を取る業態があることをさらに知り、『店休前日=週末』のような意味合いで、狙い目な事を知り得たり。
例えば、伺った先で、「店長、今日行くから、秋刀魚の刺身準備しといて」と言われて、急遽食材の買い出しに奔走したり。
後に都心の店舗を任された際ですが、若手を付き添わせ、経験を積ませたり、任せたりもしました。
④何をもっていく?
・メニューの御案内
・宴会の御案内
・割引券(1名様から使用できるものを4名分)※有効期限をつける。※4名テーブルに4名様でご来店して欲しいという隠喩。
・飴ちゃん(1個だけ)※『何か入っているぞ!?』と思わせ、開封率を上げるため
飴ちゃんについては、当時、本かWebサイトでDMの開封率を上げる方法として記載されていた記事を読み、それを愚直に行っていました。
⑤何故回る?
『既存顧客』へ向けて
【目的】来店頻度向上、割引券を同封することで、ご来店時の注文数増
顔も名前も会社もわかること、ご来店されて名刺をすでにいただいている強みから、来店動機を促しやすく、『結果』に繋がりやすい。
『新規顧客』へ向けて
【目的】「まずは知ってもらうこと」
名前はある程度知られているお店ではあったが、
『どこにあるのか知らない』(認知度が低い)
『そもそもご来店の候補に上がらない』(知らないから)
となっていた。
その上、『飛び込みの営業』と思われ、煙たがられやすい。
来店動機、ご来店へはすぐに結びつくことは少ない。
⑥どのように回る?
経験が少なかったときは、ひたすら名刺のリストからピックアップし、来店頻度向上を意識してました。
ある程度慣れてくると、トークスクリプトも後からある程度はついてくるもので、はじめは、オフィスの多い通りの『既存顧客』を目掛け、そこからは周辺のオフィス、ショップを観察しながら訪問するようにしました。
⑦どれだけ回る?
周辺地域だと、せいぜい10~20件/日程度だったでしょうか・・・?
1件に長くて5~10分程度要しました。
移動は徒歩のため小回りは利きますが、意外に時間が取られていた印象。
自家用車で移動した際は、せいぜい多くても7~8件/日程度だったでしょうかね・・・?
1度、一日かけて回るといったいどのくらいの数になるのか、行ったこともありましたが・・・80件程度の記憶があります。数は上がりましたが、ご来店へ繋がる率が低かった記憶があるので、闇雲に『数』だけを追っても仕方がないのかも知れません・・・
行ってみて
『既存顧客』『新規顧客』明暗が分かれる。
『既存顧客』
継続的な関係を構築でき、CRMへと繋がる。
また、他の販促ともリンクできたことで、行動成果へ繋がることが多かった。
(週1回、メールでニューズレターの送付。独自のポイントカードシステムから、来店回数、来店頻度、購買金額等を確認し、DM送付等で優良顧客への対応を意識する等。)
『新規顧客』
訪問すると、まず『知らない』という方が約半数程度。興味がない方などは、渡した先からゴミ箱へ捨てる方もいらしました。
訪問からご来店まで繋がることは、本当に稀。訪問販売の難しさと似たようなものを感じました。
新規顧客に販売するコストは、既存顧客に販売するそれの5倍かかる、という『1:5の法則』があるようですが、そんな比ではありませんでしたね・・・体感で『1:20』くらい。そのくらい難しい。
じゃ、どうするか?
時間の有効活用とご来店へ繋げる率を上げるために・・・
既存顧客へ向けての来店頻度向上が奏功した一面もあったことから、
俄然力を入れたのが『店内名刺交換」。
そうです。店舗営業中に隙間時間ができようものなら、
『ちょっと遊んでくる』(お客様のところへ足を運んで名刺を交換する『営業』をしてくる、の意)
と従業員に告げ、お客様のいらっしゃるテーブルとテーブルの上を注視。タイミングを作り、ご挨拶へ・・・そして名刺交換。
『既存顧客』を増やすことへ注力し、行動成果に繋がりやすい訪問先を増やすようにしました。
同時にポイントカード会員にも入会してもらって来店回数、頻度、購買金額を確認できるようにしたり・・・
単体での販促活動ではなく、他のものとも繋げることで成果へと繋がったようです。
効果の出る時期
昨日、今日訪問をしたから、と言ってすぐにご来店まで繋がるわけではありませんでした。
ご来店までのスパン目安は、体感で1~2週間でした。
なので、逆算ができてくるわけで、行動計画が立てやすくなるのです。
カレンダー、曜日廻り、予算や前年の動きを確認し、その月のウィークポイントを考察することで、『給料日前だからどーっせ暇だし』とか諦めから入らない『営業』へ持っていくことができました。
地域や訪問先などの特徴から、効果の出る時期は異なってくると思います。
同封する割引券に事業所訪問からのものである、という特徴を付けたり、
いつに伺った方が、
いつ何名様でご来店され、
売上はいくらで、
割引券はどのくらい使用したのか、
割引率はどのくらいか、
など分析することで、費用対効果の算出もでき、次のPDCAへも繋がる(活かせる)と思います。