マーケティングはこれだけ!その4 : 4Pをベースに戦略を立てる!
こんにちは! Tak@外資系マーケティングです。
今回は販売戦略を組み立てる上で肝になる4Pをベースに具体的なプランニングの段取りについて解説したいと思います。
新製品の上市や既存製品でもポジショニングを確認する上でも必要な考察プロセスになります。
では、4Pとは何かですが、
Price(価格)
Product(製品)
Promotion(販促)
Place(販売エリア・チャネル)
となります。
新規製品であれば、先ずはプライスとプロダクトの設計から入ることがほとんどです。そこで3C分析などを絡めてバリュープロポジションを検討しつつそれに合わせたプロモーションやチャネル戦略を考えていくというのが大枠の流れです。
自社製品のバリュープロポジションは以前に紹介した通り、顧客価値=総ベネフィット ー 総コストです。つまり、顧客は競合他社製品に対して自社へいくら余計に払えるかです。またはその逆もあります。バリューベースドプライシングと呼びます。
もし、薄利多売の低利益商売だったらこのようなプライシングを考える必要はありません。
価値を売る、利益を出すマーケッターが取るべきプライシング戦略として、4Pをベースに必要十分なプロセスをお伝えしたいと思います。
新製品の4Pをベースにした戦略策定プロセス
1)Price : 市場価格を比較し、販売単価を仮決めする
バリュープロポジションに合ったプライシングになっているかを確認することがここでの目的です。
これぐらいの価格帯で当社の製品価値なら市場のなかでXX%は取れるだろうという試算をしていきますが、競合価格や類似する製品価値の比較は必ず行います。
大事なことはセグメンテーション、ターゲッティングした市場での考察となります。市場の中で意思決定者となる顧客レイヤーにおける価格を調査することになります。
BtoB の場合は販売流通レイヤーが存在し、様々な価格情報を得ることになりますが、混同させてしまうとブレてしまうのでぜひ注意してください。
価格調査については営業と共に情報を集める必要がありますのでマーケティングが対象期間や対象顧客を設定して推進する必要があります。その上で製品やサービス価格を仮決めします。同時に製品コストやサービスコストを踏まえた粗利も確認しましょう。プライシングが正しいかどうかは検討しながら追って調整しています。
2) Product: 自社製品、サービスの強み、弱みを再確認する
バリュープロポジションを定義した際に認識していた製品価値を満たす製品設計になっているかが重要なポイントです。付帯するコストも比較が必要です。
陥りがちな罠としては、当社製品は強度が高く、どの他社製品より優れているとか製品性能にフォーカスしがちですが、それは価値ではありません。ここでお伝えしている価値とは顧客視点での価値となります。言い替えれば、「顧客が嬉しいと感じること」は何かというところを一言で書き出せるようにしなくてはなりません。オーバースペックであったり、何でもかんでも良いものを作ろうとするあまりにコスト高になってしまうことは避けなくてはなりません。
3) Place : 販売チャネルの強み、弱みを確認する
販売チャネルは流通業パートナー、オンラインであればWebコンテンツ、店舗であれば立地などについて自社と他者を比較見当してこちらも横並びで評価します。
販売チャネルは、価値にもなりうる要素であり、コストにもなる要素です。顧客目線で如何に自社商品を入手しやすい状態になっているかどうかがポイントになります。
例えばBtoBにおいて、販売流通が長く商社、問屋、販売店などで構成されている場合はコストが掛かっているとも考えられますが、一方、販売パートナーが多いとも言えますので総合的な評価が必要です。
4) Promotion: 営業を含む販促活動
競合を含む営業人員、広告宣伝、プロモーション活動についても現状を他社と比較します。営業について、他社は何名なのか、どのような活動をしているか、広告やプロモーション活動では何を売りにしているのか調べて比較します。
プロモーションプランとしてもバリュープロポジションに沿った展開が必要となります。
例えば、顧客の工場で加工され、最終製品となり消費者に届くようなビジネスにおいて、自社はその原材料を販売する場合で考えてみましょう。
バリュープロポジションが『原料の精度が高く、〇〇を製造する工場歩留まりを他社品比較で10%改善する』とした場合、対象となりうる顧客工場を明らかにできるのであれば営業計画を立てることが大事なアクションとなり、業界紙に広告を行うことまでは不要かもしれません。
一方で、現場で施工されるような建築材料で、『住まいの省エネ性能が10%改善する』という場合はこれから家を建てる消費者へ向けた専門誌での広告も有効かも知れません。
いずれにせよ誰にとってどんなバリューかというバリュープロポジションが明確になっていればプロモーション戦術も決め易くなります。
5) バリュープロポジションで絶対に外せない要素を決める
上記1)〜4)を見渡して、自社バリュープロポジションを色濃く表している要素はどこなのかが明確になっているかを確認します。多くの場合で製品と販売価格のバランスで苦労するところです。コストが高く値上げすると製品価値に対して高すぎるなどの問題が発生してきます。
そこがもっとも大事なポイントでMust Have(絶対必要) となる要素です。一方でNice to Have (あったらいいな)という要素についても明らかにして、何かを捨てて、何かは残すということが必要になってきます。
6)販売価格の再確認
仮決めしていた販売単価が正しいかどうかを再確認しましょう。上記プロセスの過程でバリュープロポジションを確固たるものにするため、絶対に外せないMust Have を明らかにしましたがそれを維持するには実は想定よりコストが掛かることが判明したり、流通施策としてもコストアップ要素があったりすることが多々あります。それにより想定利益率を維持できなくなり事業の魅力も低下し、社内で賛同が得られずに頓挫してしまう可能性が出てきます。
そこで 改めてNice to Have 要素の確認します。その部分はバリュープロポジションに大きな影響を与えない要素であり、コストカットして販売価格を維持することが可能かもしれませ ん。一方で販売価格を引き上げることも検討可能ですが、その際は競合価格と比較して改めて価値がそれだけあるかどうか検討しましょう。
7)パイロットテストをする
セグメンテーション、ターゲッティングした顧客層に対して実際にプロトタイプで販売してみてください。ここで重要なことは『ターゲットした客層で』というのがポイントです。
ここを外してしまうとせっかく得られた情報はターゲット外の顧客からのフィードバックとなります。そうなると想定していたビジネスサイズにならない可能性があること、スケールアップした際に想定していた顧客価値=価格と利益が得られないことがありビジネスが失敗するリスクが高まりますので要注意です。
BtoB も場合、ターゲット層において出来るだけ大口ユーザーになり得るところもアプローチしましょう。もし上手くいけば、スタートアップ時に固定費を稼ぐドライバーになり、マーケティングプランの妥当性についても一気に信頼度が高まります。必ずマーケティングと営業が一緒になって対象エリア対象顧客を選定するようにしましょう。
8)4P 戦略を再確認する
上記7)のパイロットテストを通じて、顧客は自社が想定していた価値を評価してくれているのかを確認し、4Pの設計が正しいかどうかを再検証しましょう。もし想定と異なる要素があれば4P設計を見直す必要があります。
最初のポイントに戻りますが、顧客価値=総ベネフィット ー 総コストとし、ターゲットした顧客が得られる価値と顧客が購入価格が釣り合っているか、マーケッターとしてこの計算式に自信を持てるかどうかが勝負の分れ道です。
ここを無視して進めてしまうとビジネス失敗のリスクは高まります。一方で、完全に答えが見いだせるものでありません
。上記調べられる限りは調べ検証し、自信を持つことも大切です。分からないポイントは分からないところとしてプランのなかの前提条件で記しておけば良いです。それを含めてやりながら修正させていく気持ちで進めましょう。
■プランは常に見直すこと
やってみると想定外のことばかりで、プラン通りにならないことが沢山出てくると思います。「貴社製品の良い点は分かるがそれ以上に既存製品に慣れているので面倒だ」「思ったより製品性能が出なかった」「輸入コストが上昇して値上げしなくてはならなくなった。」「やってみたら歩留まりが悪く製造コストが高かった。」など色々あります。できるだけ後からサプライズが出てくるようなことを避けるために、また最悪の場合に撤退もしやすいよう、スモールスタートで検証することが必要です。
いかがでしょうか。4P戦略も一度やって終わりではなく、常に見直して既存製品でもやりなおして現状確認して再設計していくというプランが必要になります。
お読みいただきありがとうございました!