(小説)うぐいすの館からホーホケキョ②「睡眠薬代わりに読む本#2(冨子、梅子の場合)」
(金田 冨子の場合)
「ところで冨子さんは、どんな本を読んでいるの?」
と武子が訊く。
「もっぱら推理小説ね。松本清張、内田康夫と手当たり次第に読んだわ。バリバリ働いていた頃の話だけど」
「今は?」
と梅子。
「新聞の連載小説を楽しみにしているわ。切り抜いて冊子にして保存しているの」
「読み返すの?」
「切り抜きのツンドク」
思い出したように冨子は,作家・内田康夫について語り出した。
「作者と勝負する面白さがあったと思うの」
「勝負って、どういうこと」」と、梅子と武子