TAIZO

内部監査のプロとして国内外で20年以上の実務を経験(CIA、CFEを保持)、内部監査の…

TAIZO

内部監査のプロとして国内外で20年以上の実務を経験(CIA、CFEを保持)、内部監査の品質向上を軸に、社会的影響、AI活用、リスクアプローチ、人財育成などのテーマに関心あり:読者の皆様と共に学び、成長していくことを目指しています。ご意見やご質問、リクエストを歓迎します!

最近の記事

  • 固定された記事

【内部監査Tips】「事実」を正しく扱う:中立的な記録から公正な解釈へ

はじめに内部監査において何らかの不備事象を発見した際には、次のステップとして、「なぜそのような事象が生じたか」と、その原因を探ります。 「根本原因分析」に関する他の投稿記事(※)の中で、私は「事実をありのままに表現すること」の重要性に言及しました。しかし、この点については、より深い解説が必要と考え、本稿のテーマとして取り上げます。 1. 内部監査における「事実」の扱い:二段階アプローチ内部監査プロセスにおける事実の扱いは、以下の二段階に分けて考えることが有効です。 1.

    • 【新任内部監査人「必見!」】インタビューの質問力で結果を変える方法

      はじめに内部監査の現場では、インタビューの質問一つで得られる情報の質が大きく変わることを何度も経験しました。特に、新任監査人として最初に挑んだインタビューでは、質問が的外れになり、業務プロセスに関し十分に理解しないまま監査を進めてしまい、レビュー時などに上司や先輩にフォローをしてもらったこともありました。 本稿では、私自身の失敗談も交えながら、新任の内部監査人の皆さんが効果的にインタビューを行うための実践的なポイントを紹介します。 1. インタビューでの私の失敗談インタビ

      • 【新任内部監査人「必見!」】プロセスフロー分析の基本とリスク特定のコツ

        はじめに2004年に米国子会社の内部監査部門に派遣された私は、言語の壁だけでなく、仕事の進め方の違いに直面し、毎日が試練の連続でした。特に内部監査の手法は、それまでの日本での経験とは全く異なるものでした。 特に印象的だったのは、クライアント(監査対象部門)に対する業務プロセスをヒアリングする際の、監査人によるメモの取り方でした。クライアントへのヒアリングが始まると、監査人たちはいとも簡単にプロセスフロー図を描き始めるのです。 そして、プロセスフロー図上に描いた「ひし形(=

        • 【内部監査Tips】原点に立ち返る:アシュアランスの強化

          はじめに:原点に立ち返る AIなどの新しいテクノロジーの普及や社会的責任の要請の影響が高まる中、企業・組織は、新たなリスクに日々直面しています。こうした中、内部監査部門の監査対象範囲(オーディット・ユニバース)は拡大し、その役割の進化も求められています。 やらなければならないことは次々と増え、時にはどこから手をつけるべきか途方に暮れることもあります。 ただ、このような状況だからこそ、内部監査の原点に立ち返ることが重要です。その原点とは、「アシュアランス(合理的保証)」に他

        • 固定された記事

        【内部監査Tips】「事実」を正しく扱う:中立的な記録から公正な解釈へ

        • 【新任内部監査人「必見!」】インタビューの質問力で結果を変える方法

        • 【新任内部監査人「必見!」】プロセスフロー分析の基本とリスク特定のコツ

        • 【内部監査Tips】原点に立ち返る:アシュアランスの強化

          【内部監査Tips】効果的な内部監査とは? 個別監査の独立性と監査対象部門からの協力のバランスを考える

          はじめに私たちは、往々にして物事を二項対立で捉えがちです。たとえば、「独立性」か「協力」か、といった選択を迫られることがあります。しかし、どちらか一方に偏ると、核心に迫れない可能性があります。 特に、内部監査においては、独立性と監査対象部門からの協力のバランスが重要であり、その両立こそが効果的な監査を実現するための鍵となります。 1.内部監査の独立性には二つの側面がある内部監査の「独立性」には、二つの異なる側面があります。一つは個別の監査業務を行う際の独立性で、もう一つは

          【内部監査Tips】効果的な内部監査とは? 個別監査の独立性と監査対象部門からの協力のバランスを考える

          【内部監査(進化モデル)】アプローチ比較:コンプライアンス/内部統制 vs リスクベース(適用例)

          はじめに内部監査の役割は段階的に進化しており、多くの組織が従来のコンプライアンスや内部統制評価中心のアプローチから、リスクベースアプローチへの移行を進めています。 (※他のアプローチを含む、内部監査機能の進化モデルの詳細は、以下の投稿をご参照ください。) 【Thought leadership】内部監査機能の進化・拡大:社会への貢献に向けて|TAIZO (note.com) 本稿では、コンプライアンス/内部統制とリスクベースの各アプローチの違いについて、より具体的に理解でき

          【内部監査(進化モデル)】アプローチ比較:コンプライアンス/内部統制 vs リスクベース(適用例)

          【演習付き(難易度:高)】内部監査の成否:レビューの質が部門の価値を決める

          はじめに:レビューの重要性皆さんが所属されている内部監査部門では、監査活動の品質を保証するためのレビューが定着していますか? これまでに、私は内部監査の品質評価に係る外部評価などの業務を通じて、さまざまな企業や組織における内部監査活動をレビューする機会がありました。その中で、多くの日本企業において見受けられる特徴的な課題の一つは以下の点です。 「レビューが十分に行われていない」 「レビューが行われていることが十分に記録されていない」 レビューが不十分であったり、その記

          【演習付き(難易度:高)】内部監査の成否:レビューの質が部門の価値を決める

          【Thought leadership】内部監査機能の進化・拡大:社会貢献に向けて

          はじめに:「社会的影響アプローチ」の意義を考える内部監査の役割は、ビジネス環境と社会の期待の変化を反映し、大きく進化しています。 本稿では、内部監査の進化を体系的に整理し、昨今の社会の期待を踏まえて設定した「社会的影響アプローチ」の意義を議論します。この進化を理解することは、組織が複雑なリスクに対応し、持続可能な価値を創造する上でとても重要です。 内部監査人、経営者、そしてステークホルダー全てが、この変化を理解し適応することで、組織の持続的成長と社会への貢献を実現できるで

          【Thought leadership】内部監査機能の進化・拡大:社会貢献に向けて

          【内部監査Tips】T字型人財への進化:日米の視点で探る内部監査人の理想像

          はじめに 内部監査の世界では、日米間で興味深い以下のような対比(※)が存在します。 この違いは、単なる文化の差異ではなく、内部監査人の理想像を探る上で重要な示唆を与えてくれます。 (※)本稿では日米間の比較を例示していますが、これは筆者の直接的な経験に基づくものです。他の国や地域との比較でも、類似の洞察が得られる可能性があると考えています。 日米の内部監査人の特徴比較 2004年に米国子会社の内部監査部門に派遣された経験から、私はこの違いを肌で感じ、その後も米国の内部監

          【内部監査Tips】T字型人財への進化:日米の視点で探る内部監査人の理想像

          【内部監査Tips】リスクアプローチ監査の鍵を握るのは、重要リスクの特定

          はじめに:リスクの特定の重要性以下の投稿で紹介した「リスクアプローチ監査」では、監査対象部門が直面している重要リスクを特定できることが前提でした。 「リスクアプローチで監査リスクを抑え、内部監査の付加価値を最大化する|TAIZO (note.com)」 つまり、そもそも適切に「リスクの特定」ができなければ、リスクアプローチ監査は成り立たないのです。 では、適切に「リスクの特定」を行うには、いったいどのようにすればよいのでしょうか? 本稿では、この手順を簡潔に解説します。

          【内部監査Tips】リスクアプローチ監査の鍵を握るのは、重要リスクの特定

          【内部監査Tips】どこまで掘り下げるのか:根本原因分析の"ちょうどいい深さ"を探る

          1. はじめに:目的は効果的な再発防止策の導出 内部監査において、根本原因分析は問題の本質を理解し、効果的な再発防止策を提案するための鍵となるプロセスです。しかし、多くの内部監査人が「いったい、どこまで掘り下げる?」「なぜは5回で十分?」といった疑問を抱えています。 そもそも、根本原因分析の目的は何でしょうか? それは、効果的な再発防止策を導き出すことです。 本稿では、根本原因分析の適切な深さを見極めるための実践的なアプローチを提供し、いかに効果的な再発防止策を導き出す

          【内部監査Tips】どこまで掘り下げるのか:根本原因分析の"ちょうどいい深さ"を探る

          【内部監査Tips】内部監査の"当たり前"を疑う:経験がもたらす 思わぬ"落とし穴"

          はじめに:「経験バイアス」のリスク 経験は内部監査人にとって貴重な財産です。様々な監査業務の経験を重ねることで、効率的に監査プロセスを進めながら、監査品質の向上にも寄与するでしょう。しかしながら、経験に頼りすぎることで陥る「経験バイアス」のリスクにも注意が必要です。 本稿では、内部監査人が有する経験を最大限に活かしつつ、自らの経験を活かしつつ客観性を保つアプローチについて紹介します。 また、「経験バイアス」のリスクを低減するための取り組みとして、内部監査部門での効果的なレ

          【内部監査Tips】内部監査の"当たり前"を疑う:経験がもたらす 思わぬ"落とし穴"

          5/5【COSO:5回シリーズ(第5回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          本稿は、5 回シリーズの最終回です!かなり力が入りました。 第1回:はじめに(健康診断のメタファー) 1/5【COSO:5回シリーズ(第1回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第2回:COSOの特徴と内部監査人にとっての重要性 2/5【COSO:5回シリーズ(第2回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第3回:リスク管理と内部統制の違い 3/5

          5/5【COSO:5回シリーズ(第5回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          4/5【COSO:5回シリーズ(第4回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          第1~3回まで、COSOの重要性や、リスク管理と内部統制の違いについて解説してきました。第4回では、そもそも「COSOとは何か?」について、内部監査人として、押さえるべき重要ポイントを解説します。 第1回:はじめに(健康診断のメタファー) 1/5【COSO:5回シリーズ(第1回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第2回:COSOの特徴と内部監査人にとっての重要性 2/5【COSO:5回シリーズ(第2回)】

          4/5【COSO:5回シリーズ(第4回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          3/5【COSO:5回シリーズ(第3回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          ※本稿「リスク管理と内部統制の違い」は、今回のシリーズで最もお伝えしたい論点です! 第1回:はじめに(健康診断のメタファー) 1/5【COSO:5回シリーズ(第1回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第2回:COSOの特徴と内部監査人にとっての重要性 2/5【COSO:5回シリーズ(第2回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第3回:リスク管理と

          3/5【COSO:5回シリーズ(第3回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          2/5【COSO:5回シリーズ(第2回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか

          第1回:はじめに(健康診断のメタファー) 1/5【COSO:5回シリーズ(第1回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか|TAIZO (note.com) 第2回:COSOの特徴と内部監査人にとっての重要性 COSO内部統制の統合的フレームワークには、以下のような3つの特徴があります。また、これらの特徴は、内部監査人にとっても重要となります。 1.内部統制に係る、世界標準のフレームワーク・基準(共通言語) COSOは、組織の内部統制システムを評価

          2/5【COSO:5回シリーズ(第2回)】 内部監査人は、なぜCOSOを理解・習得する必要があるのか