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(9) アクロバット飛行は、報復に当るのか


チリ大統領は、メキシコ入りしたモリとメキシコ大統領の親しげな表情に驚いた。

「釘を刺しにメキシコへ行った訳ではないのか・・」昼のニュース番組でベネズエラ大統領のメキシコ入りの模様を伝えていた。お互い初対面なのに、この打ち解けたような雰囲気は何なのか・・
予想もしていなかった映像を見て、チリ大統領は呆然としてしまう。まさか、メキシコは全ての責任を我が国になすりつけようとしているのか・・ゾッとした、その時だった。

ドン!と衝撃波のような振動の直後、建物が揺れ、サッシのガラスがビリビリと音を立てた。執務室に慌てて護衛が入ってくる「なんだ?なにがあった!」

「戦闘機です。突然、現れました! 大統領を保護します!」と言って近寄って来る。しかし戦闘機ならば、この程度では無意味だろう・・

爆音が上空に響いている。「どこの国だ!どこの戦闘機だ!空軍は飛んだのか!レーダーには映らなかったのか!」そこまで言った時、「ジエイタイ」という日本語が頭に浮かんだ。
・・まさか・・
大統領は窓に近寄ってゆく。「駄目です、部屋の中央部に居てください!」
何処に居ても一緒だ、そう思いながら護衛を無視してドアを開けて、庭へ出た。上空を3機の戦闘機が飛び回っている。それも見事な連携を見せていた。思わず見入ってしまう。主翼に赤い丸が見えた・・
「ジエイタイ・・」大統領はその場でへたり込んだ。

・・一体、我が軍はどこに居るんだ・・

ーーーー

プレゼンを終えてから、PCのメモリにある音声を流す。
メキシコ大統領の会話内容が部屋に響く。度々、大統領府上空にドローンを飛ばしていたのはやはりベネズエラだ。やはり盗聴していたのか・・大統領の顔が蒼白になる。メスティンの割には白人よりの顔なので、蒼白の具合が非常に解りやすい。

「私は、あなた方が私の自宅でドローンを飛ばした理由を考えてみました。なぜチリに委託したんだろうと考えてみたのですが、どうしても理解できませんでした。それでドローンを使って盗聴させていただいたのが、この音声の数々です・・」

実際は大統領と側近たちのスマホから盗聴しているのだが、物理的にドローンを飛ばして盗聴していたと説明する。大してコストの掛からないドローンを飛ばして、事前にメキシコの防衛能力を把握していたと言う方が正解なのだが。相手には「盗聴目的だった」と信じ込ませる。

「米国共和党からの依頼を、なぜチリに委託したのか、理由をお聞かせいただけますでしょうか? これはどなたのアイディアなのでしょう? チリに責任を押し付けるという発想自体が、私には全く理解できないのです」

「お待ち下さい。チリ政府に押し付けるつもりは毛頭なかったのです・・」

「しかし、あなたはここで何度もはっきりとおっしゃってるではありませんか?この声はあなたではないのですか?盗聴対象の電話番号を申し上げます。XXXX-XXXXです。あなたの携帯電話に間違いないですよね?」

グゥの音も出せない状態になる。自分の携帯が盗聴機となっていて、ドローンがその会話を傍受していたというイメージが相手の中で広がってゆく。煙幕に見事に引っ掛かる・・

「私共のドローンがこの建物の上空を度々飛んだことで、貴国の防空網を突破可能だとご理解いただけたかと思います。従って、自衛隊を侵入させることも容易に出来ると考えております。15秒後に、上空に我が自衛隊機が現れて、メキシコシティの皆さんに航空ショーをご覧いただきます」

「なっ・・あなたは、我々を恫喝されるのですか?」

「チリを使って領空侵犯を侵したのは、あなた方だ。ベネズエラという国を預かっている立場として、これは黙っている訳にはいかない問題なのです。あなた方には、こんな国に手を出したのだと、よくよくご理解いただかなければならない。何しろ折角の首脳会談です。腹を割って話をした方がいいと思うのです。さぁ、お待たせ致しました。到着したようですよ・・」

モリがニヤリと笑うと、ドン!とソニックブーム音がすると同時に、建物全体が振動する。ガラスが何枚か割れると、割れた箇所から轟音が入ってきた。ビリビリと全てのサッシが音を立ててると飛び去っていった。3機のA-1戦闘機がV字になって飛んでいく。キッチリ2分半、轟音が大統領府の上空で鳴り響いた。規定演技を済ませた自衛隊機は再び領空侵犯をしながら、隣国国境目指して飛び去っていった。
メキシコ軍のレーダーにも、航空管制のレーダーにも全く反応せずに、首都のど真ん中まで侵入して、上空で曲芸飛行をして帰っていった。メキシコの人達はベネズエラ大統領が日本のブルーインパルスを連れて来たとでも思っているだろう。

「さぁ、真実をお聞かせください。この余興だけで済ませたいと、私は心から願っております」

モリは、メキシコの閣僚達を前に立ったまま両手を拡げて、ニヤリと笑いながら思った。

・・これが「日本のマフィア」と呼ばれている男だ・・

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チリとメキシコの時差は1時間だが、全く同じ時間で1秒も狂わずにサンチャゴの大統領府の上空で3機のA-1戦闘機が曲芸飛行をしていた。
チリの首都上空を2分半旋回したA-1 3機は、太平洋沖へ帰投していった。

このアクロバット飛行の模様は、メキシコの放送局、チリの放送局は元より、多数のメキシコシティ市民とサンチャゴ市民がスマホで撮影し、動画に投稿していた。
「#日本のブルーインパルス!」とハッシュタグが立った。実際はブルーインパルスよりもエグい飛行が出来、アクロバット飛行のレベルも極めて高い。この動画を見た戦闘機パイロットは度肝を抜かれたはずだ。「なんだ、こりゃあ」と。

メキシコとチリの2箇所で行われたアクロバット飛行が、寸分変わらぬ内容であることが世界の軍隊で直ぐに理解された。日本、ベネズエラ、そして彼らの同盟国は複数箇所に戦闘機を同タイミングで飛ばして、首都大統領居住地まで侵入し、攻撃を加えて離脱する事が可能だと、証明して見せた。モリの逆鱗に触れた理由までは分からないが、メキシコとチリはこの日、総司令官である大統領の命を奪われたに等しい 大敗北を喫した。
更に追跡はおろか、機体を捕捉する事すら出来なかったというのだから。

A-1の主翼と尾翼には日の丸がくっきりとプリントされているので、どこの国の戦闘機なのか良く分かる。また、スモークの掛かっていない透明な強化ガラスのコクピットには、誰も座っていなかった。更にこの日本の戦闘機には、明らかにステルス機能が付いているようには見えない。ボディは流線型でも、UFO型でもないからだ。塗装もステルス塗料などは塗られていない。ジュラルミンが剝き出しで、リベット跡が目視できる無塗装機だった。
そこに赤い丸だけくっきりと目立つ。

メキシコ隣国のアメリカ、ベリーズと、チリ隣国のウルグアイ、パラグアイのレーダーには、この自衛隊機3機の姿は全く映らなかった。おそらく、メキシコ空軍とチリ空軍にスクランブル発進しようとした形跡が見られないことから、全く気付かれないまま首都上空を旋回したのだろう・・

「やはり政府専用機だけではない。日本は独自ステルス技術を持っている」米軍のアナリスト達はそう結論づけた。このA-1戦闘機は日本の量産型でサブ機に過ぎない。B-1タイプはどうなのか?主力戦闘機F3はどうなのだろうか?・・いずれにしても200機のA-1戦闘機を日本は配備している。ベネズエラには30機ある事が確認されていた。

ブルーインパルスだと喜んで動画投稿していた市民の中で、軍事オタクが投稿する。これは戦闘行為であり、侵略だ。浮かれている場合じゃない、と。
そして、2つの空を舞った空自機の分析を紹介し始めると、大衆の何割かはエライ事だと理解するようになる。隣国グァテマラで自衛隊の駐屯が決定したばかりと知るメキシコの人々は、何時でも自衛隊機がメキシコを領空侵犯出来ると知る。チリもそうだが、周辺国も理解した。ベネズエラ空軍は、ひょっとして無敵なのではないか?と。

そして、世界中の軍事オタクと各軍の軍事アナリスト達は軍事分析を始めて行った。得てして、この手の分析は軍事オタクの中に、有力な仮説が含まれていたりするものだ。「このステルス機能が、ミサイルに搭載されたらゲームセットではないか? 迎撃する術が無い!」と。
実はそうなのだ。日本の自衛隊は中距離弾道ミサイルまで所有しており、日本の宇宙ロケット技術は世界一と言われている。この宇宙ロケットは直ぐに大陸弾道ミサイルとして使える優れものだ。

「日本は平和憲法の元で、核の所有は認められておらず、先制攻撃もタブーだ。あくまでも報復攻撃に限られる。しかし今回の件で、核に頼らずとも何時でも先制攻撃が可能で、確実に相手を無力化する能力を有するのが分かった。もし、自衛隊が所有する千機を超える戦闘機全機に、このステルス機能が備わっていたなら、もし、戦艦や戦車までもがこの機能を装備できたら、世界中のどの国も自衛隊には勝てずに、気づいたときには瞬時に破壊されているだろう」
フランスの学生の投稿が、世界中に拡散していった。彼はフランス軍に軍事アナリストとして入隊すべきかもしれない。

一夜にして、ベネズエラ大統領は恐怖の大魔王並の扱いを受けるようになる。世界最強かもしれない自衛隊の、軍事演習と大兵站作戦が、まさに北朝鮮で始まろうとしていた。注目が自然と集まってゆく。モリは、世界の目が朝鮮半島に注がれるのを狙っていた。最高のCM活動をメキシコとチリで行ってみせた。

ーーーー

アメリカ政府と国防総省は、メキシコとチリが揃いも揃って、軍事大国ベネズエラに一体何をしでかしたのか?と調査に入った。当然ながら大統領の優先事項となる。

アメリカ政府の諜報活動を常に行っている自衛隊のカラカス司令部では、このアメリカ政府の動きを追っていた。アメリカが怖くて怖くて従う両国は、当然ながらありのままに答えた。チリは、メキシコから委託され、その金額に目が眩んだが、最大級の後悔をしていると答えた。メキシコはアメリカ共和党の議員達から要請されたとバカ正直に答えた。
アメリカ政府と国防総省は、ここに至って頭を抱える。薄っすらと想定していたとはいえ、やはり黒幕は共和党だったかと。モリも、それが分かっていたから、この2箇所でデモンストレーションをしたのだろう。
「何時でも、アメリカ本土を攻撃できる!」と、モリが思っているのか 迄は分からないが。

大統領は、共和党の両院議長に会談を申し入れる。実際に他国の軍を第三国で使った事実が判明すれば、議員失職に値する。1人や2人ではないだろう。モリもアメリカ政府の真相解明に注目しているだろう。そして最低でも5名の議員が関与していれば、民主党が議会を握る事になる。アメリカの政局が大きく変わるかもしれない。大統領と国務長官はガッチリと握手しあった。民主党の時代が続くのは確実となった。

メキシコとチリの大統領にしても、議会で追求されるのは必至だ。リベラル寄りの野党には追い風となる。「大統領、辞職」となっても可笑しくない。
中南米でアメリカ共和党寄りだった2つの政権が、一気に無くなる可能性が出てきた。

モリが先を読んで起こしたアクションだったと、後で冷静になってから誰もが理解する。
アメリカ民主党政権への間接的な擁護射撃であり、はたまた、中南米連合の誕生への大きな前進に繋がるかもしれない。

ーーーー

首相官邸では、柳井治郎副官房が「メキシコ・チリ襲撃事件」とマスコミが呼んでいる事件の説明を行っていた。問題点が幾つかあるとマスコミから指摘を受けていた。

・ベネズエラが自衛隊を防衛能力として利用している。金森政権ではベネズエラは自衛隊を利用する際には、日本同様に日本国憲法に準じた対応に限定すると言及していた。今回は「先制攻撃」に当たるのではないか?

・他国の領土に不法に侵入し、メキシコでは大統領府のガラスを爆風で何枚か割ったと聞いている。今の所メキシコとチリからはクレームとして声は上がっていないが、日本の過失であるように思える。両国から反論が出ないのは、自衛隊が怖いからではないか?

・そもそも、何故にメキシコとチリに戦闘機を侵入させたのか?相応の理由があるはずで、それを世界に対して示して頂きたい。

柳井治郎は日本のエセ・リベラル新聞社数社の要請を受けて、記者会見に臨んだ。憲法解釈上、自衛隊は違憲だと考えているような連中とそもそも会話が成立しない。
こういう時は理詰めで対応することにしていた。理想論と机上の空論を論じ続け、自己満足に浸っていた消滅政党とまさに同じだ。このエセリベラル紙2紙も発行部数が減少し、広告収入も激減している。
なぜ、日本政府が海外メディアを優先するようになったのか、社としても、記者としても真剣に考えたほうがいい。日本のメディアも、残念ながらガラパゴス化しているのが実情だ。世界に出ても勝てる訳がない・・

「まず、先制攻撃に当たるのではないかというご指摘ですが、実際は某国による領空侵犯が先行しまして、それに対する「お返し」となります。某国という表現をしましたが、本件に関しては複数の国が関与している可能性があります。各国で捜査、内偵中です。詳細はお話できませんが、ベネズエラ政府は脅威と感じまして、自衛隊機を発進させました」

「領空侵犯をされたから、仕返したと言うことですか?」

「捜査中ですので内容自体はお答えできません。まず、はっきり申し上げておきますが、今回は自衛隊員は搭乗しておりません。飛んでいったのは確かに自衛隊機ですが、ベネズエラに雇われた国連軍機です。今回の場合、日本政府がお答えできる範囲も狭まりますことご了承願います」

「国連軍の扱いであっても、日本国憲法を遵守するというのが政府の方針ですよね?」

「勿論です。専守防衛に則って今回も発進しています。武器は非搭載です。またメキシコ政府の建物のガラスを何枚か割ってしまった件については、モリ大統領が弁償したと聞いています。まさか、割れると思っていなかったようです。人的被害に及ばず安堵しています」

「副官房長官、あなたは自衛隊員が乗っていないと言いましたが、AI戦闘機の操作は自衛隊がやっているのではないでしょうか。例え遠隔地からの操作であっても自衛隊が操作していれば、関与したことになるのではないですか?」

「確かに、自衛隊が操作すれば、自衛隊が関わる話になります。そこはモリ大統領も認識をされていまして、今回の戦闘機はプルシアンブルー社から自衛隊に提供される前の機体を利用しました。所有権がプルシアンブルー社にあるため、自衛隊は操作が出来ません。安全上の観点から、機密の暗号化処理が施されていますので。今回の飛行プログラム自体をモリ大統領自身が作成しています。要は、13年前のモリ議員が、ミャンマー空爆をしたのと同じ環境を使われたようです」

「所有権がどこにあろうとも、侵入された国は自衛隊機だと見なしますよね。報復攻撃されたらどうされるつもりですか、それこそ戦争突入でしょう!」鬼の首を取ったように勝ち誇っている、まぁ、いいか、機密事項だが言ってしまえ・・

「今回の戦闘機ですが、プルシアンブルー社の最新機です。なぜ、他国の領土へ飛んでいけるのかについてはネットに憶測記事が多数出ていますが、その通りです。世の中に存在するレーダーでは捕捉することが出来ないのです。それ故に現行の追跡ミサイルでは当たりません。この戦闘機を撃墜する方法は、戦闘機や戦車で目視して、弾を当てるか、突っ込んでいくしか方法はありません。
しかしそれも現実的には不可能です。発射と同時にAIが感知するので、今までAI兵器は撃墜されたことがありません。リモート操作して高速ドローンを体当たりさせようとしても、旋回能力と加速度で相手になりませんので、躱してしまいます。
勿論、将来はどんな兵器が登場するか分かりませんが、少なくともメキシコとチリは、今回の戦闘機を撃墜できる兵器は所有しておりません」

相手の記者の目を睨みつけながら、事実を突きつける。世の中は常に変化し続けている。あなたの様な太平洋戦争止まりの思考能力ではないのだと。
我々の自衛隊は、大日本帝国の軍隊を研究し尽くした別個の組織だ。その楽観主義者と精神論を嫌悪し、テクノロジーで他国軍隊を圧倒する事を掲げた組織だ。
「負けないためにどうすれば良いか」追求し続けて、実践している。
「そんじょそこらの軍隊と一緒にすんな!」と言いたかったが、柳井治郎次期官房長官はグッと堪えて、ニヤリと笑った。

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柳井首相と阪本北韓総督と金森ベネズエラ首相は、柳井治郎服官房の記者会見内容を話のタネにしてネット会談していた。

「なんか、息子さん、モリみたいな言い方ね・・」

「あ、首相もそう思いました?」

「ちょっと、首相は柳井さんでしょ!」

「まぁまぁ、この3人ならいいじゃないですか」柳井首相が笑う。

治郎の会見に満足している表情だ。3人ともそう思っているから敢えて触れない。ただ、次期官房長官としては合格だった。一切プロンプターは見ないし、何を話すか決めている。
何よりも治郎の知識量に安堵する。どんな質問が来ても物怖じする必要がない。この新官房長官をギャフンと言わせる記者がわんさか出て来るようでないと、日本のメディアは滅びる。

少なくとも今回の会見場に居た記者達は、治郎の生贄となるだろう。何の役にも立たないからだ。

「さて、新しいメディアですけど・・」鮎が話を変えた。

「アイヌと台湾の高砂族、それにアメリカ先住民の記者達が新会社を東京に作ります。全員、欧米のメディアで記者活動をしてきた人達です。著名な人も居ますので話題になるでしょう」

「やっと出来るのね・・ここまで長かったな〜」

「そうね、10年掛かったものね」柳井と阪本が起案して、ここまで掛かった。最後の仕上げは柳井首相自らが携わった。

ネット配信主体の新聞社と、ネット放送局がスタートする。スポンサー広告は一切載せずに当初の収入源は無い。当面はプルシアンブルー社がスポンサー代わりになって資金提供する。表向きはプルシアンブルー社提供だが、実際の財源はモリの食品包装、太陽光パネル、海洋フロート、AI技術等の特許収入だ。これが年間で800億となり、今も増え続けていた。
ゆくゆくはどこかのテレビ局や新聞社、美術館、博物館を買おうと3人は考えていた。

モリが海外生活を始めて日本に税金を収めなくなって12年が経った。どれも政治家になってからの特許なので政党がらみの特許になるのだが、政党がメディアに供与するのは好ましくない。それで、プルシアンブルー社経由とした。

12年間溜め込んでいた特許費用がようやく使われる日がやってきた。阪本の実感は会社そのものではなく、こちらの消費の方にあった。このプール金を日本政府も「機密費」として活用していくことになる。

(つづく)

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