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デザインの実務家であり、教育者であり、研究者でもあるという生き方

2020年6月29日(月)武蔵野美術大学大学院 造形構想研究科の「クリエイティブリーダーシップ特論」という講義のゲストスピーカーとして、株式会社インフォバーン取締役京都支社長の井登友一さんのお話を聴講した。

株式会社インフォバーンおよびINFOBAHN DESIGN LAB.(IDL)は、デザインによって企業のイノベーションを支援する顧客企業にとってのシンク・アンド・メイクタンクであるという。

井登さんは、自身を修行途上のデザインの実務家であり、教育者であり、研究者であるという。それは、自身がインフォバーンでデザインの実務家として勤める傍ら、京都女子大学や同志社女子大学で講師を務め、京都大学の博士後期課程で研究者としてサービスイノベーション&デザイン研究をしているためである。

個人的には、実に羨ましいキャリア(生き方)であると感じている。デザインという自身の関心のある分野を起点に、実務家としても教育者としても研究者としても深掘りし、専門性を確固たるものにしている。単純化して、仮にそれぞれの立場の専門性を100人に1人とすると、100×100×100で100万人に1人のキャリアかもしれない。尖ったキャリアが評価される昨今のビジネス界においても突出している。また、教育者として後進の育成に携われるということも羨ましく思う。いつかはこのような生き方をしたい。

井登さんのお話のポイントをまとめると、単に効率的かつ便利な体験を提供するのではなく、人が本当に欲している良質な体験をデザインしていくことが大切であるという。例えば、高級寿司屋の職人が無口なことには意味があるという。高級寿司店において、職人がペラペラと顧客に語りかけてきては、顧客の高級寿司店の体験価値は低下するとのことである。

そして、これからのデザインがフォーカスすべき対象は「意味」であるという。それゆえ今重要なのは、単なる意味の問題ではなく、「意味のイノベーション」であると言い、ロベルト・ベルガンディの以下の言葉をご紹介されていた。

変わり続ける世界の中で、絶えず人々は変化する。よって、意味のあるモノゴトも変化する。永遠の愛を人々と築く唯一の方法は、企業が提案するモノゴトに「意味のイノベーション」を起こし続けることしかない。(「突破するデザイン,ベルガンディ,2017)

「意味のイノベーション」を実現していくために、これからのデザインは企業にとって、全体価値創出のための中長期視点の研究開発対象として扱う必要があるという。つまり、今後はますます経営者にはデザインリテラシーが、そして、デザイナーには経営リテラシーが求められてくるであろう。

しかしながら、これは私自身が経営コンサルタントとして実感していることではあるが、まだまだその両方が不足しているのが実態であると思う。経営戦略の一要素として、デザインを取り組み検討する必要があると感じている。こちらについては、私が今後のキャリアにおいて挑戦していきたい。

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