絵が苦手だと、ずっと思ってきたあなたへ 17
自由な発想といわれても
前回の手のスケッチの最後に、
「もっと自由な発想で描いても面白いですね」
「表現は自由です。常識にとらわれずに、想像の世界で遊んでみてくださいね」
とお伝えしました。でも・・・
「自由な発想と言われても・・・ 全然思い浮かばない・・・」
と思っている方も多いのではないでしょうか?
あなたもそうですか?
表現活動のもとになるものは感性です。
人は普段から何かを見たり、体験する中で無意識に様々なことを感じています。
そして、それを意識するしないに関わらず、そこからいろいろイメージしています。
ですから、人には本来豊かな想像力、イメージをする力が備わっていると思います。
幼いころ、空に浮かぶ雲を見て、食べ物や動物などを思い浮べたことありませんか?
葉っぱや木の枝を、何かに見立てて遊んだこともあると思います。
でも、いつしかそんな想像力豊かだった幼いころの自分を忘れて、自分には想像力は無いと思い込んでいる大人のなんと多いことか。
教える側としては、本来もっている豊かな想像力を引き出す指導を積極的に考えるべきだと思っています。
こんな経験がありました。
生徒は本来豊かな想像力をもっていると信じ、それを伸ばそうと指導を重ねていた時のことです。
それにもかかわらず、目の前の生徒たちからは「イメージが浮かばない」「どうしたらいいか分からない」という声をいくつも聞きました。
そのうちに、やはり生徒の発想力はそんなに豊かではないのか、とどこか無意識に思い込み悩んでいました。
しかし、紹介している手のスケッチを指導していたときのことです。
早く終わった生徒に「周りに筆記用具でも置いて描いてみましょう」とアドバイスしました。
机上に手を置いてスケッチしていたので、筆記用具を置けば構図的にも落ち着くという既成概念での発想でした。
ところが数人に同じアドバイスをしていくうちに、ふと気づくと、その私の既成概念を楽々と超えた豊かなイメージで周りを埋めている生徒がいることに気づいたのです。
それを見た瞬間、衝撃が走りました。
「今まで何を思い違いしていたのだろう!?」
やはり生徒には本来豊かな想像力やイメージ力が備わっているんだ。
それを引き出せないのは、こちらの指導方法の問題なんだと気づいたのです。
大きな思い込みが外れて、スッと心が軽くなるのを感じました。
そこから、長年かけて構築し、完成したと思っていた指導内容を、一気に見直しました。
今までのものを破壊して再構築することの、何と清々しく気持ちの良いものか、目の前が開けた感じでした。
さて、これで線の練習から手のスケッチまで、9回にわたってお伝えしてきました「大人のための美術教室」最初のステップ「目と手の訓練」が終わります。
これは、見ることと描くことをつなげるための方法の1つです。
ですからすべてのベースとなるものです。
でも、やり方が分かるということと、やれるようになるということは次元の違うことだということはお分かりだと思います。
ぜひ続けてみてください。きっと自分の中にできるという感覚が生まれると思います。
楽しく続けていきましょう。
「大人の美術教室」今日はここまでです。
「大人の美術教室」からお知らせ
ご近所で長年「川崎市多摩区にある木村ピアノ教室」を営まれていらっしゃる木村先生のご厚意で「KATO美術レッスン」として始めました。
「絵を描いてみたいけど、苦手だし・・・」「美術には興味があるけど難しそう・・・」
これまでお読みいただいた方でも、まだそう感じてる方は多いと思います。
「KATO美術レッスン」は、そういう方にこそ体験していただき、興味の扉を開いてほしいと思っています。
絵を描くって、表現するって、もっと自由でいいんだと気づいたら、そして自分にもそれができるんだと分かったら、もっと幸せが広がっていくと思いませんか。
「久しぶりに絵を描いてみたいな」「時間ができたので、絵を習ってみたいな」という方もぜひご参加ください。
「KATO美術レッスン」のホームページでは、参加されている方の作品や感想も載せています。ぜひお立ち寄りくださいね。
「木村ピアノ教室」は地域に愛され、20年も続けて通う方や、親子で通う方もいらっしゃる、とても雰囲気の良いピアノ教室です。
近所に菅ルームもあります。こちらで「KATO美術レッスン」を開設しています。
音楽と美術のコラボという新しい試みです。
どんな化学反応が起こるのか、軌道に乗ったら、そちらもお伝えしていきたいと思います。
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