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表象とはイメージの集合体のこと『 メンタライゼーションでガイドする外傷的育ちの克服』⑤

こちらの記事の続きです。

前回の内容は「外傷的育ちの困難を表す三つの概念と、重なり」でした。
今回は第3章の内容「メンタライゼーションとは」。『表象』という言葉の説明をしなければなりません。この本でも一番難しいところと書かれています。

健康なメンタライズ能力の発達

メンタライゼーションとは「自己・他者の行為を、心理状態(欲求・感情・信念)に基づいた意味のあるものとして理解すること」でしたね。
メンタライズする mentalize、メンタライジングmentalizing などの形で使います。大人のメンタライズ力を育てていくアプローチがMBT(メンタライゼーションに基づく治療)です。

  • メンタライジングは、心の中に「心理状態の表象=心のジオラマ」を持つことで可能になる。

  • この「心理状態の表象」のことを「自分の心のイメージ像」、「心理的自己」またはまとまりある「自己表象」と呼ぶ。

  • 表象とは「イメージの集合体」のこと。「心の見取り図」「心のジオラマ」

「表象」の説明は後ほどします。とりあえずそういう言葉があるんだなと思いながら今のところは読んでいただければと思います。

生まれたての乳児には「心理的自己」心のイメージはまだない
推測する母の心の中には「乳児の心理状態の表象」が作られる
表象を元に返していくうちに【母の心の「乳児の心理状態の表象」】が【「自分の心理状態の表象」】として乳児に取り込まれていく。
青丸のところが表象

さて表象について以下で詳しく解説します。

表象

上記の写真はジオラマ、下の写真は本物の城(という設定でご覧ください)
ジオラマはあくまで城を見渡すためのもので本物の城ではない
心を見渡せる人として例えられているノブナガ君
  • ノブナガ君は心のジオラマを持っているのでそれに照らしあわせて実際の城でのトラブルに対処できる。

  • ヒデヨリ君は持ってないので対処できない。時にパニック。

心のジオラマを持っているノブナガ君
心のジオラマの隅までわかっているのでそれを参照に実際の城のことを対処できる
対処できる「快」が芽生えたノブナガ君はもっともっとメンタライズできるようになっていく。このように対処できるようになった状態を行動主体自己と呼んでいく。

メンタライゼーション理論では子どものメンタライズの発達は「行動主体の感覚」の獲得・成長と密接に関わるとされています。

  • 行動主体=人が考え行動するときの主体

  • 行動主体自己=心を見渡せる「私」

さて、表象のことが少しわかりやすくなったと思うので以下同じ図を見ていただきます。

身体の苦痛だけの自己しかない状態。下図の青丸です。非言語的な表現でそれを伝達するのみ。
共鳴してリフレクトする。乳児の心のジオラマを養育者自身の心に作る



①ズバリ一致ではなく程々に。②乳児の感情なのか養育者の感情なのか混乱しないよう、わかるように示す。この2点が治療の基本となる。

このようにうまくミラーリングしてもらうと子どもの身体の苦痛は徐々に低下していきます。なぜかと言うとうまいミラーリングは乳児に「行動主体の感覚」や「自己コントロールの感覚」という本質的な「快」を生み出すためです。すると子供は「自分の心の状態の表象」を持つようになります。これがしっかりした「お城のジオラマ」である心理的自己です。これを持ち、育てることによって行動的主体自己へと成長していくのです(ジオラマはジオラマと理解し、ジオラマを通して現実に活かすことが大事だと理解している状態になっている)。そういう状態だと苦痛が起きるたびに身体的苦痛に光を当てて見渡し、メンタライズ力を身につけていくことが可能なのです。

上図で言う「象徴的につながる」=健康なメンタライジングが育つ、です。健康なメンタライジングが育つまでにはいくつかのステップがあります。このステップについては次回といたします。

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