ちょこっと解説
『笑著回家』は黄明志が2021年に発表したニューイヤーソング。毎年旧正月が近づくと新年を祝う曲を発表するのが彼の恒例となっているが、コロナ禍真っ只中の2021年は例年とはかなりテイストの異なる作品となった。
故郷を離れ都会で懸命に生きる人々が年末、様々な想いを胸に南へ帰省するという物語で、MVではコロナ禍で閉店に追い込まれたレストランのオーナーと従業員たちの失意の年の瀬をそれぞれの視点で追っている。どれだけ辛い現実を突きつけられても故郷には笑顔で帰ろうというメッセージが感動を誘う一曲。
コメントでは真に迫る歌詞に共感する声や役者の演技を称賛する声とともに、故郷を離れ都会へ旅立つ姿を描きヒットした『飄向北方』と比較して「これは『飄向北方』のアンサーソングだ」と評価するコメントも見られた。
メイキング
MVの撮影風景や出演者の感想が聞けるメイキング映像がこちら↓ 台北駅でのシーンはエキストラを使わずに撮影してたんですね。
和訳・ピンイン付き歌詞
笑著回家 Return With A Smile
作詞・作曲/黃明志
リリース/2021年
収録アルバム/鬼才做音樂 Ghosician
上段:中文歌詞
下段:日本語訳
今晚睡不著 明天就要返鄉
今夜は眠れない 明日は里帰り
太多的東西塞滿了行李箱 都裝不完
たくさん鞄に詰め込みすぎて 入りきらない
到銀行領了現鈔 準備好要派的紅包
銀行で現金おろして 渡す紅包準備して
反覆檢查皮夾和背包 帶上胃藥車票和口罩
財布とリュックを何度も確認 胃薬 切符 マスク入れたっけ
看 這城市滿目瘡痍 飽受著重創
ほら この街は傷だらけ ぼろぼろだ
看似光鮮亮麗的背後 多少人遍體鱗傷
一見煌びやかな背後で 多くの人が傷ついている
面對太多人情冷暖 不想多談只能去習慣
何度も人に振り回され 語り合う気力もなくただ慣れるだけ
情緒塞滿 在菸灰缸 借酒撫慰著惆悵
気持ちは灰皿に押し込んで 酒で憂いを晴らしてく
就算面對再多的碰撞 也得要體面風光
どんなに壁にぶつかっても 立派な姿を見せないと
就算經歷再多的風霜 也要替換新冬裝
どんなに風当たりが強くても 冬服に着替えて進まないと
想起了遠方的爹娘 絕不能讓他們失望
遠くの両親思い出す 絶対失望させるものか
把皮鞋擦亮 挺起胸膛 笑著回家
靴を磨いて 胸を張って 笑顔で帰ろう
我要笑著回家 回到最初的地方
笑顔で帰るんだ 最初の場所に
收起了落寞難堪勉強 儘量不讓自己多想
辛さや寂しさはしまい込んで なるべく考えないように
抬頭笑著回家 回到了我的故鄉
上を向いて笑顔で帰るんだ 私の故郷に
那裏有最天真的浪漫 還有等待著的一桌 年夜飯
そこには何より純粋なロマンと 団らんの食事が待っている
微笑著回家 喔
笑顔で帰ろう Oh
曾經並肩的戰友 多少人已經遠走
かつての戦友の多くは 遠くへ去っていった
為何對人善良 換來的卻是背叛和利用
人に優しくして どうしてその報いが裏切りなのか
真心被玩弄 被他嘲諷 最親的人反而被掏空
心は弄ばれ 馬鹿にされ 親しい人にまで傷つけられ
我 只能將自己武裝 收起了笑容
自分に蓋をして 笑顔を引っ込めるしかなかった
看 有人相互攻擊 有人背信忘義
ほら 攻撃しあったり 裏切ったり
平時跟你稱兄道弟 當你困難卻不再有連繫
普段は"兄弟"の仲でも 困っている時は助けてくれない
這社會太擁擠 壓得我快喘不過氣
この社会は苦しすぎて 息が詰まりそうだ
該後退 還是前進 下一步我該如何繼續
退くべきか 進むべきか 次はどうすればいい?
原本想說的話 已經不敢多講
言いたかったことも 言えなくなってしまった
原本在心中的理想 不敢再想 只好健忘
描いていた理想も 思い出さなくなってしまった
回家的路上 人來人往 拖著疲憊 背著遺憾
帰省の道は人でいっぱい みな疲労と無念を抱え込んでいる
將 自己都隱藏 只想一路奔向南方
本当の自分は胸にしまって 今はただ南へ向かいたい
我要笑著回家 回到最初的地方
笑顔で帰るんだ 最初の場所に
收起了落寞難堪勉強 儘量不讓自己多想
辛さや寂しさはしまい込んで なるべく考えないように
抬頭笑著回家 回到了我的故鄉
上を向いて笑顔で帰るんだ 私の故郷に
那裏有最天真的浪漫 還有等待著的一桌
そこには何より純粋なロマンと 団らんの食事が待っている
一路往南 我的故鄉 鳥語花香 對我召喚
南へ向かう 私の故郷へ のどかな景色が 私を呼んでいる
歷經磨難 椎心的傷 會讓我更堅強
辛く苦しい経験と 心を抉る傷が 私をもっと強くする
我要笑著回家 回到最初的地方
笑顔で帰るんだ 最初の場所に
收起了落寞難堪勉強 儘量不讓自己多想
辛さや寂しさはしまい込んで なるべく考えないように
抬頭笑著回家 回到了我的故鄉
上を向いて笑顔で帰るんだ 私の故郷に
那裏有最天真的浪漫 還有等待著的一桌 年夜飯
そこには何より純粋なロマンと 団らんの食事が待っている
沿途的風景依舊 仰望熟悉的天空
変わらぬ街並み 見上げればいつもの青空
親戚朋友 好久不見 新人來舊人已走
親戚友人 久方の再会 生まれる者あれば去る者もあり
對著天公 列祖列宗 獻上供品默默地說 著
神様ご先祖様に 供物を捧げて唱える
保佑爸爸和媽媽 天天都健康珍重
どうか父と母が 毎日健康でありますように
這是我選擇的路 我會好好走
これは自分で選んだ道 しっかり歩んでいく
我明白人生的旅途上 有起當然也有落
人生山があれば谷があるのも分かっている
難免會受挫 痛苦難過 我會學習如何去掙脫
挫折もするし苦労もするけど 乗り越え方も学んでいくから
我 家鄉是旅途的盡頭和我所有的寄託
故郷は旅のゴールであり 私のすべてなんだ
ここまでお読みいただきありがとうございました。
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