台北の内科に行ってみた
台北の街を歩いているとき、内科行き専用のバスをみつけた。
内科行きのバス?
外科には行くの?
眼科は?
耳鼻咽喉科は?
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいになってしまった。
次から次へとあふれ出すクエスチョンマークをポロポロ落としながら歩いていたため、通りがかりの人が心配そうに声をかけてくれた。
見知らぬ人に心配をかけてはいけない。
そこで、内科の正体を確認しに行くことにした。
内科行き専用のバスの時刻を調べてみると、平日しか走っていない。
休日にかぜをひいたらどうするんだ?
タクシーで行けというのか?
頭から再びクエスチョンマークがあふれ出てきた。
見知らむ人に心配される前にとりあえず近くまで行こうと、電車に飛び乗った。
内科の最寄り駅に到着した。
改札を出たが、内科へどのように行けばいいのかわからない。
とりあえず「内湖科技園区」と書かれた出口から出てみよう。
しばらく歩くと、オフィスビルが立ち並ぶ東京の丸の内をコンパクトにしたような街に出た。
全身ガラス張りの近代的なビルディングたちが、真夏の強烈な太陽を反射させ、お互い競争するようにまぶしく輝いている。
日中なのに、通りには人がまったくいない。
異次元の世界に迷い込んでしまったようで不安になってきた。
この場所でクエスチョンマークが頭からこぼれて来ても、心配してくれる人は誰もいない・・・
早くここから離れようと思い、近くのバス停に駆け寄った。
よく見ると、
内科通勤専車
と書かれたバス路線がたくさんある。
そうだったのか!
内科とは
「内湖科技園区(内湖テクノロジーパーク)」
を省略した言い方なんだ!
どうりで、外科行きも、眼科行きも、耳鼻咽喉科行きもないわけだ。
謎が解決してスッキリした。
もうこれで頭からクエスチョンマークがこぼれだし、知らない人に心配させてしまうようなこともない。
せっかくここまで来たのだから少し散策してみよう。
ここにはテレビ局がたくさんあり、新聞社もある。
マスコミも多く集まっているようだ。
真夏のゴーストタウンを歩き汗だくになっていたので、少し休もうと思って
いたら、おもしろい名前のカフェを見つけた。
不想上班 只好喝拿鐵(会社に行きたくないから、ラテを飲もう)
私の気持ちを代弁してくれているようなネーミングだ。
あした会社に行きたくない・・・
カフェラテを飲みながら、思わず本音がでてしまった。
気持ちを入れ替えて散策を続けよう。
しばらく歩くと、郭子儀紀念堂というのを見つけた。
台北の名の知れたスポットは、ほとんど行ったことがあるつもりだったが、ここは来たことがない。
まんまるのオリエンタル風情漂う門の奥に何があるのか、興味津々で入って行った。
見上げるような長い階段が、運動不足の私のことをあざ笑うかのように出迎えてくれた。
ここで引き返したら階段にバカにされそうなので、気合いを入れてなんとか登り切った。
息をハアハアさせながら前を見ると、西洋風の豪華なレンガつくりの建物が建っている。
思わずカメラのシャッターボタンを押しまくった。
現在は、郭さん一族の親族会の場所として使用されている。
郭ファミリーの資料も展示してあるが、覚えても試験に出ないことばかりなので、申し訳ないがすべてスルーした。
大通りに出てしばらく歩くと、大きな湖のある公園に着いた。
森林浴をかねて湖の周りを歩いてみよう。
大都会の台北にいるとは思えないような、自然の中の散策を満喫できる。
白いクネクネ曲がった橋は、見た目から「九曲橋」と名付けられている。
「九」は中国文化で縁起の良い数字だ。
曲がる部分を人生の困難にみたてている。曲がるたびに困難を乗り越え、橋を渡り終えるとすべての困難を克服して幸せになるという、縁起の良い言われがある。
私も無事に九曲橋を渡り終えた。
これからは、きっといいことがあるはずだ。
頭からクエスチョンマークがあふれ出し、周りの人に心配をかけるようなことはなくなる、と信じよう。
今日はたくさん歩いたので、冷たいデザートが食べたくなった。
近くにある737巷夜市で、年季の入った看板の氷屋でかき氷を食べて、クールダウンしよう。
ハックション、ハーーックション
くしゃみがとまらなくなった。
内科を散歩したら、かぜをひいたようだ。
あした内科に行って診てもらおう。
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