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【まとめ】戦略の本質 第1章
近代以降の戦争における戦略について限定して考察している。そのため近代以前の戦争については考察していない。戦争、戦略などの理論についての系譜を紹介しつつどのように発展してきたかを知ることができる。
戦略とは?
まえがきから・・・
戦略とは、何かを分析することではない、本質を洞察しそれを実践すること、認識と実践を組織的に綜合することであるはずだ。
グレー(C.S. Gray)によると・・・
要するに戦略は、何らかの政治目的を達成するための力の行使であるので、対立する意思を持つ敵との相互作用がダイナミックに展開される。それゆえ、戦略の各レベルでは逆説的論理が水平的かつ垂直的に作用する。さらに戦略はいくつかの位相から成る複雑系の性質を有し、その位相間の相互関係の変化に応じて、具体的な表れ方が異なってくる。
戦争や戦略の本質は、どんなに軍事技術が進歩しても、いかに社会が複雑化しても、変わらない。しかし、その位相の変化、位相間の相互関係の変化によって、戦争の様相、戦略の方法や具体的応用は、それぞれの位相が変化すれば、常に変わる可能性がある。
戦略の位相
グレーによると、17もの戦略の位相を挙げている。3つに分類している
1. 国民と政治
2. 戦争の準備
3. 戦争そのもの
これらが複雑系の個別要素と定義できる。
1. 要素同士が相互に作用する
2. 形成される全体が個別の要素と相互に作用する
逆説的論理とは・・・
「戦争は兵力(物量)だけで勝敗が決するわけではない」ことを示唆している論理のようだ。
逆説的論理を調べるとエドワード・ルトワックの戦略論が出てくる。
(リデルハートの間接的アプローチ)
兵の数では到底敵わない少ない兵力であっても知恵を使えば勝機はある。少ないリスク(被害など)で高い成果をあげられるという論理のようだ。
リデルハードの間接的アプローチは、第一次世界大戦で甚大な被害が出た正攻法による戦争に批判的な主張として出てきたようだ。
こういった戦略は近代になって登場したわけではなさそうだ。孫氏などの著名な先人達が同じようなことを唱えており、近代の戦略家は、先人の知恵を元に近代の戦略を考えているようだ。
そういえば、戦国時代でも少ない勢力で巨大な兵力に勝利したことがあったような??・・・調べてみてもいいかもしれない。
調べると出てくるワード
汝平和を欲さば、戦への備えをせよ
兵は脆道なり(孫氏)
凡そ戦いは、正を以て合い、奇を以て勝つ(孫氏)
兵の形は実を避けて虚を撃つ(孫氏)
まとめると・・・
戦争の本質とは(なぜ戦争なのか)
政策目的を実現するための手段
「政治の道具」にすぎない
戦略とは何か
目的達成のための手段である。
* 政策目的を実現するための力の行使の術(アート)
* 多数の位相(構成要素)があり、複雑系の性質を持っている。
* 対立する意思を持つ敵との相互作用がダイナミックに展開される(Not静的)
単純に兵力が多い方が必ず勝つわけではない。
さまざまな位相が相互に影響しあっており刻々と状況は変化している複雑な状況にある。そういったダイナミックな環境の中で、最適な判断をしていくための術(アート)なのだろう。
所感
戦略を戦争に勝つための方法論であると同時にアート(術)であろう。
「戦略は複雑系の性質を持っている」ことを理解すると、非常に難しいテーマであることがわかる。
多数の位相が複雑に相互作用し合う状況下での最適解はロジカルシンキングによる要素還元的な手法では対応しきれない。状況は静的なものではない。刻々とダイナミックに変化し続ける。
VUCA時代と言われる現在において、こういった状況は類似しているように見受けられる。先人の知恵を学ぶことにって、今生きる我々がどのように活かしていけばいいのかを知りたい。
言うは易く行うは難し
戦略がどんなものかイメージはわいた。では、こういった状況の中でリーダーはどのように実践していったのだろう・・。
以降の章のケーススタディにおいて明らかになる。
以上。