
【感想】実行力 結果を出す「仕組み」の作りかた
リーダーが成果を出していくための実践と結果にもとづいた仕事術。
選挙によって選ばれて、組織のトップに入るという民間企業ではないケースにおけるリーダーシップについて語っているが、民間企業の中でリーダという立ち位置の会社員にとっても十分活用できる知見が溢れているように思う。
ミドル層でしたら転職でリーダークラス・役職付きで入社するケースもあるでしょう。外部からいきなり部門のトップとしてポジションに就いて成果をすぐに求められる。
そんな状況下で如何に成果を出していくか。
まさに私は今その状況にいる。もしかしたら何度でも読み返したい名著になりそうだ。
所感
同書を読む限り、プレイング・マネージャーというのは現実的でないように思う。リーダーは、リーダーにしかできないことをやった方がいいからだ。現場でできることは現場に裁量とともに委ねればいい。
私は組織立ち上げを経験しビジョンを掲げて進めてきた。それなりの成果もあった。こういった経験がある状態で読んで良かったと思う。
もし経験がなかったなら同書は響かなかっただろう。
反省点が浮き彫りになった。もっとうまくできたはずだな・・・・と思うことがたくさんあった。
何ができたら良かったのか
ビジョンと現状の課題をつなげるWHYが弱かったように思う。
*明確・具体的なビジョン
*実行可能なプランづくり
*実現するための組織体制づくり
ビジョンは具体的でわかりやすく。
ビジョンと実行プランは分けて考える。
リーダーの役割
ビジョンを示すとともに、それを実行するための組織体制を作ることです。
方針・戦略・実行プランと組織体制のワンセットが必要
(方針はビジョンと言い換えられる)
実行力のあるリーダーになるためには、実行プロセスを考えることを重視するべき
物事を実現するためには、まずは大きな方針・ビジョンを立てることです。これは抽象的なものです。そしてこれを具体化して実行するプランを作ります。そのためには組織体制を整えなければなりません。具体的な実行プランを作成したら、今度はそのプランに基づいて実行していくことになりますが、そのときにも実行するための組織体制を整える必要があります。
組織作りや仕組みづくりには情報の流通設計も必要。リーダーからの情報を多くの人が同時に受け取ることで一次情報を受け取る人に権力を集まるような構造を排除できる。
プロジェクトに応じた実行力
大阪都構想プロジェクトの進め方を同書から読み解くと、ビジョンだけでなく具体的な実行プラン(数百ページに及ぶ!)が出来上がった状態になってから住民投票に挑んでいる。
対極の事例がBrexit。実行プランがない状態で国民投票を行い大混乱となった。
規模・影響範囲が小さければ途中でやめるにしてもリスクは小さい。走りながら考えて、考えながら走ることはできる。スタートアップではそのような姿勢を求められる。なぜなら廃業になったとしても影響範囲が小さい。すでにその事業をやるのは決まっており、先が見えないから走りながら考えるしかない。
大阪都構想プロジェクトは対極にある。
いや、むしろ新規事業を事前に詳細で具体的な事業計画を耳揃えて承認を得てから進めるようなイメージに近いかもしれない。
なぜなら、異次元の影響範囲。数百万人規模の住民の生活や既得権益企業の存続にも影響し国政にも影響する。そしてプロジェクトを推進する立場が内閣ではなく地方政治側。
大事なこと
一歩一歩前に進めるための実行力こそが、最後まで階段を上り切るためのただ一つの方法なのかもしれない。
ゴールにたどり着くためには1000段の階段を上らなければならないとします。そのときに、10段先にある階段が上がれないからといって、一段目を諦めてしまうのか。諦めてしまえば永久に1000段目には達しないのです。
たとえ10段目の階段を上がれるかどうか分からなくても、目の前の一段目を上ることに全力を尽くす。もしかすると、10段目にたどり着いても、やはりそれ以上は上がれずに結局ゴールに到達できないかもしれない。
しかし、まずは目の前の一段目を上り、そして次に10段目に挑戦する。その繰り返しによって、やっと1000段目にたどり着くのです。
P.106
道を拓くには行動しかありません。目の前の階段を上り続けるしかないのです。
P.109
結果的にはご自身では大阪都構想は実現できなかったため、実績という意味では批判的な意見もあるようだ。何よりも尊敬するのは一歩一歩前に進める実行力。周囲が不可能かつ猛反対し続けるプロジェクトを前に進め続けたこと自体が素晴らしいと思う。
この一歩一歩前に進める実行力の仕組みこそが以下なのだろう。
方針・戦略・実行プランと組織体制のワンセットが必要
メモ(引用)
比較優位の思考