画面越しこその青春だった『僕等のラストフェスティバル』
謎解きで有名な「リアル脱出ゲーム」を作っているSCRAPが、オンライン参加型演劇(イマーシブシアター)をやっていて、面白そうだったので参加してきました。
たまらなく、青春でした!
※ストーリーのネタバレはありませんが、感想や世界観に関する話題を含みます。ゼロからフラットに楽しみたい方はご注意くださいね。
舞台は、高校の文化祭。
観客はZoom越しに自宅から「文化祭の来場客」として参加します。
生っぽさ、本物感がいい
あくまで設定……なんだけど、画面の向こうに映るのは、本物の学校。
いろんなブースにいる学生も、テンションが高校生のそれです。
序盤は、「ライブ配信に参加してる!」みたいな空気感で進んでいきます。
(ブースによって雰囲気は違うでしょうけれど)
WebカメラをONにするので、こちらは恥ずかしさもありながら。
でも、画面の向こうから「ひとりの来場客」として迎えてもらえて、彼らと仲良くなれそうな気がしてきます。
演者さん(学生)がほんとに楽しんでいて、ちょうどいい感じ。
こちらが動揺してもブレないし、無理させない。
自然と笑えて、応援したくなって、呼びかけに応じるうち……気づけば一緒に楽しんでる感じです。
「白々しいんでしょ?」って、遠くから眺めるお客さんもいると思うんですが、ほんのちょっぴりの用意さえあれば、結構楽しめるはず。
まずはWebカメラと、それをONにするワンクリックの勇気くらい。
お好みで、お茶やお酒でも飲みながら参加すると吉。
オンライン演劇ならではの気楽さだと思います。
エンタメ作品は"没入感"が大切、ってよく言われますが、序盤から気軽に、がっつり一緒に楽しめるスタイルっていいですね。
小さな選択と、ちょっとした勇気
どのブースを回るかは、来場客それぞれ。自由に選べます。
途中で他所に移動するのも自由,。
でも、その裏で物語は静かに進行していて、自分の何気ない選択があとで効いてきたりします。
劇中で知ったことが、物語のカギを握っていることもあります。
それをZoomのチャットに書いて、学生や他の来場客に教えてあげる……そんなアクションが大きな意味を持つことに。
あるいは、来場客同士のほんの小さな協力が、物語を大きく進行させることもあります。
来場客の中には積極的な方もたくさんいます。
その流れに乗っかって自分もちょっとだけ!のつもりでやってみたら、思った以上に感謝されて、うれしかったな。
SCRAP作品って、いつも自分の選択と勇気が試されるんですよね。
「間違ってたらどうしよう」みたいな気持ちになることもあります。
でも、その小さな一歩が、物語世界に影響して、それもハッピーエンドに向かうためのものになることがあって。
「世界を変えられた!」って気持ち、なかなかの快感です。
いまこの瞬間の、懐かしい青春
オンライン演劇なので、もちろん物語は収束して、終幕を迎えます。
学生たちの姿は、まさに"青春"。
「彼ら、頑張ったんだな」みたいな気持ちで、自分の学生時代を重ねたりして、懐かしくなって。
でも、画面の向こうに見える"青春"は、この時代、この瞬間だからこそ。
彼らと一緒に、この時間を過ごせた!なんて思えました。
終演後、燃えました。もっと青春したいー!
オンラインだからこそできること
以上、『僕等のラストフェスティバル』に参加した感想でした。
オンライン演劇と聞くと、劇場で見るものの代替品みたいに思っちゃいますよね。
でもこの作品には、オンラインならではの体験がたくさん詰まっていました。
こんな時代にこそ、いま作りたいものを諦めない。
逆に、様々な制約の下だからこそできる形、新しいことを探す。
それを熱く教えてくれた文化祭、作品だと思います。楽しかった!