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【レポ】やっぱり好き 映画「オペラ座の怪人(4Kデジタルリマスター)」

久々に映画館で映画を観ました。2003年公開の映画、「オペラ座の怪人」のデジタルリマスター版

オペラ座の怪人と言えば、世界4大ミュージカルのひとつであり、僕の好きなミュージカル四天王が一に位置づけられる至高の作品。

この映画は、ミュージカル版を踏襲し、音楽もミュージカルと同じくロイド・ウェバーさんが担当。一部映画用に見せ方やストーリーが異なる部分はありますが、いわゆるブロードウェイ版(日本では劇団四季版)のものと同じテイストになっています。
(ガストン・ルルーの原作小説を題材にした作品は他にも「ファントム」「ケン・ヒル版オペラ座の怪人」など、結構色々ありますが、一番有名なのはこのブロードウェイ版)

僕は高校時代、レンタル屋さんで借りて観たのが最初で、以降は劇団四季のミュージカルとして親しんでいました。約10年ぶりに観て、映画版もやっぱり素敵やなぁと改めて感じました。

僕のレポなんかより、黙って全人類映画館で観てほしい。

以下ネタバレを含むので気を付けてくださいませ。

ミュージカル版にない要素

ミュージカル版は、あれはあれで完成されていると思っているのですが、映画版では少しずつ見せ方が異なっていて、よりミュージカル版のストーリーや世界、キャラクターの理解に深みが増すように思います。

例えば

・冒頭のオークションで「25フラン」を出した婦人はマダム・ジリー(ミュージカルでは名言されず)
・老いたラウルとマダム・ジリーがシーンの合間に挟まる
・「ハンニバル」でピアンジが象に登れずに終わる
・カルロッタの歌声を嫌がる人が描かれる
・支配人交代の際、ラウルも来てそのラウルにクリスティーヌが気付く
・スィンク・オブ・ミーでクリスティーヌの衣装がエリッサではなくエリザベート風になっている
・メグが鏡の裏の隠し通路に気付く(そしてマダムが途中で止める)
・カルロッタのカエル声が腹話術でなく変な薬のせいになっている
・マダム・ジリーとファントムの過去が語られる
・墓場のシーンでラウルとファントムが直接剣で戦う
・「ドン・ファンの勝利」にやや戸惑う観客が描かれる
・シャンデリアが落ちるのが「イル・ムート」ではなく「ドン・ファンの勝利」に変更されている
・全体を通してマダム・ジリーがやや怪しく見えるようになっている
・ラストにラウルがクリスティーヌの墓参りに訪れるシーンが描かれ、そこに(おそらくファントムが置いた)バラが1輪

and more

ね?楽しいでしょう?

大きなインパクトのあるものから、細かいものまで、オペラ座の怪人ファンとしてはたまらんのですよ、こういうマニアックな話が。

演出面では、ミュージカルでも人気の「マスカレード」のシーン、高校時代から大好きで、扇子と首を傾けて大階段で踊るフィナーレが堪らなく好き。よく家でひとり真似してました(?)
ミュージカル版は衣装の華やかさ、彩り豊かさがあるのですが、映画版はより現実に近い、白黒金銀でまとめられて高貴な華やかさがある。

「All I Asl Of You」では、雪の演出も加えられてよりしっとりとしていて、そしてミュージカル版では「天使像のファントム」として有名なファントムの慟哭シーンでは、クリスティーヌに捨てられたバラを散らせ、空に向かって叫ぶファントムが映画ならではの構図から観れます。
何よりこのシーン、ミュージカルの時は完全にファントムに心寄せる僕が、ラウルとクリスティーヌのロマンスに涙するほど美しい。

そしてオペラ座の怪人の代名詞とも言えるシャンデリア落下のシーンでは、ミュージカル版は1幕フィナーレを飾りますが、映画版では終盤(ドン・ファンの勝利上演〜ファントムがクリスティーヌを連れ去るところ)になっていて、錯乱する観客と燃え盛る炎、天井が勢いよく崩壊、ド派手な絶望シーンとなっています。

マダム・ジリーと怪物

ミュージカル版でも、ほんの少し怪しい雰囲気があるマダム・ジリーですが、映画版では深掘りされ、かつてファントムを助けた過去が明らかに。だからなんとなく、ファントムと通じている感が醸し出される。

同時にファントムが過去、見世物小屋でどんな扱いを受け、どのようにして「オペラ座の怪人」となったのかも語られます。別のミュージカル作品「ファントム」と同様、よりファントムの人間としての側面が付け加えられているように思います。

マダム・ジリーが黒幕では?と思わせるような見せ方が、ミュージカル版より顕著で、事件から約50年後のシーンでは、老いたラウルになんとも言えない眼差しを向けています。というか、約50年経って存命ってことは事件当時はのダム・ジリーってそこそこお若いのかしら。娘もいるのに。

明言はされないけど、2人はお互いに余計な手出しはしない・できない関係(マダム→ファントムは恐怖と憐れみ、ファントム→マダムは一応の恩義)になったのかなというのが僕の解釈です。

原語のよさ

この映画は英語上演・日本語字幕なのですが、改めて英語版の歌詞を聴くと、訳詞のときに削らざるを得ない要素やニュアンスが感じられて、これまたファンとしてドーパミンが大放出。※日本語訳詞がだめ、ということではないです。

英語が全部聞き取れるわけではなく、字幕も直訳・逐語訳ではないんですが、字幕を読んでいてもそれは感じることができて、それは「訳詞」は音符も意識しないといけないですが、「字幕」はその制約はないというのが理由かと思います。日本語に訳すとき、1音に乗せられる言葉が少なくなるのはミュージカル界の有名なジレンマ。

そしてその裏返しで、日本語訳詞に立ち返ると、できるだけ原版のニュアンスを変えずに、それでいて日本人の耳や感覚に合わせるにはどうすればいいかを考え抜かれた詞なんだということも噛みしめることができます。
原語至上主義の方もいると思いますが、言葉の違いを面白いものとして捉えたほうが楽しいと、個人的には思います。文句はバベルの塔を崩した神様に言いましょう。

ファントムが超ハンサムな件

ミュージカルのファントムも大好きなんですが、映画版は大画面でお顔を拝見するということもあり、あまりにファントム(ジェラルド・バトラー)のお顔が整いすぎて嘆息する。もちろん仮面の下は特殊メイクで崩れてるのですが。

ファントムがハンサムでいいのか、というのは置いておいて、そこはまあ映画ですから。ジェラルド・バトラーを観に行くだけでも見る価値があると思います。

クリスティーヌは、ファントム(音楽の天使)の歌声に惹かれ、守られ、縛られるのですが、歌声以前にこんなハンサム前にしたらそらまあ…年頃の女の子ですものぉ…ねぇ?

はい、全員観て

とどのつまり、全員観てほしい。いますぐこのnoteを閉じて、映画館のサイトをチェック。はい、いますぐ。

2000年代初頭の作品ですが、4Kリマスターされていることもあり、全く古さを感じないのが不思議。しかも、本編は色鮮やかに描かれるのに、その未来であるラウルとマダム・ジリーらの後日談(約50年後)はモノクロというのがまた粋というかなんというか。

ミュージカル版は、2024年夏までは横浜で劇団四季が公演しています。ミュージカルは(劇団四季は良心的な価格設定とはいえ)ハードルが高いというそこのあなた、映画なら2000円!まあお安い!
お勤めの方は企業の福利厚生とかで安く行けたりするのもあるんじゃないでしょうか。学生さんなら学割があるんじゃない?つまりですね、劇団四季なら最低でも3000〜4000円くらいで観れるものが、大画面でこのお値段!まあ!なんてこと!

そして映画を観ていいなと思ったら、ぜひミュージカル版もご覧になって。

♪心赴くままーーーーーーーーーーーー!!…にね。

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