楽天のViber買収理由と来年ロシアでの楽天コイン発行までの一連の流れ
急にこいつ何言い出してんだとのツッコミはさておき、2019年からロシアでViberを通して楽天コインが発行される予定というニュースがあったので、何となく記事にしてみました。
大学時代にロシアに行って、昨年に仮想通貨・ブロックチェーンに一時どっぷりハマり、先月までイスラエルに行っていた私からするとめちゃくちゃ興味深いニュースだったのでまとめてみました。
まずは2014年の楽天による「Viber」の買収からです。
ViberはイスラエルのスタートアップであるViber Mediaが開発したメッセージングサービスです。日本だと圧倒的にLINEがシェアを持っているところですね。また調べてみるとViberの本社は実はキプロスにあり、開発拠点はベラルーシにあるという会社でした。
楽天はこのViberを9億ドルで買収したのですが、主な理由としては以下の3点があったようです。
① 驚異的なグローバルプロダクト開発
マーケティングコスト0円で世界中に6億人(買収時)にアプローチし、何年間も毎月2ケタのユーザー増加率を維持していました。とてつもない成長力です。
② 突破力
当時の規制が厳しい業界で、しかもSkypeという巨大なライバルがいた中で、なんとわずか4人の創業メンバーで飛込み市場を切り開いたのです。勇敢過ぎますよね。
③ 開発体制
ベラルーシとイスラエルでの共同開発体制を構築しており、開発部門の300人中100人がベラルーシだったとのこと。Viberの創業メンバーは10年かけてベラルーシをIT国家に変えたのです。
そんなViberを楽天は9億ドルで2014年頭に買収しました。当時のコメントではViberは電話番号をIDとしている点がユニークで、それらを楽天IDに統合することで楽天経済圏の拡大に寄与できるとの見方でした。
買収額が妥当だったのかに関しては色々な意見がありますが、Facebookは後にWhatsAppを190億ドルで買収しています。規模がすごい。
そして次は2016年、楽天はイギリスに「楽天ブロックチェーンラボ」を設立します。
どうしてまたイギリスにと思い調べてみたところ、同時期にイギリスにある「BitNet」というビットコインのデジタル決済プラットフォームを提供する会社に出資していました。
どうやら楽天は今から2年前から本格的に仮想通貨及びブロックチェーン事業に参入しようと考えており、ブロックチェーン技術をネットショッピングとフィンテックで応用できるかを研究していた模様です。
さらにその後今年に入り、2018年2月にスペインのバルセロナで開催された世界最大級の携帯端末見本市「モバイル・ワールド・コングレス」での講演で、「楽天コイン」をつくる構想を明らかにしました。
ところで、楽天の代表である三木谷氏はこのタイミングでスペインのバルセロナに行っていたのですが、これは偶然なのでしょうか。この時、頭の片隅にはイニエスタの買収が入っていたのかどうかが気になります。笑
そして2018年7月、楽天は子会社が運営するメッセージアプリViberを使って、ロシアで独自の仮想通貨「楽天コイン」を2019年に発行する計画を発表しました。
ロシアには現在、Viberの月間アクティブユーザー数は5000万人弱程いるとのことであり、Viberを通じてなかなかの人数にアプローチできるようです。
とまあここまでが一連の流れになります。
最初はなんでロシア?と思いましたが、Viberのユーザー数の多さを考慮すると納得できるものがありました。ただ仮想通貨に対する規制等を考慮すると、ベラルーシは非常に良い環境なので、まずはベラルーシで展開するのも面白いのではと思いますが、Viberの開発拠点もあるようですし。ただ全人口が1000万人もいませんが。
おそらくこの楽天コインは世界的な展開を狙っているはずで、今までポイントとして使えていたものが世界中の楽天サービスで使える通貨になるイメージではないでしょうか。
もしこれが普及すれば国境を越えた1つの国家のようなものができあがるはずですので、結構すごそうです。
関係無いですが、最近イスラエルのスタートアップでは特にブロックチェーン関連のものが多くなっており、今後さらに世の中にはブロックチェーン絡みのものが増えていくのではと思います。
楽天は携帯キャリアにも参入しますし、なかなか攻めている印象。
今後の動向にもちょくちょく注目していきたいです。
まずはイニエスタの初ゴールに期待。