シェア
くらうぇい
2017年11月28日 00:47
「ハッハー! ざまあみやがれ!」ゼウドの放った矢は馬上という悪条件にもかかわらず、<黒襤褸>の馬の額を過たず射抜いていた。咄嗟に<黒襤褸>は砂へと飛び降り、派手に転げる馬に巻き込まれる事を逃れる。その脇を<灰襤褸>と<茶襤褸>の馬が駆け抜けるが、<黒襤褸>の姿は見る見る内に小さくなって消えていった。 並び駆ける灰襤褸と茶襤褸の二者は馬に鞭打ち、徐々にであるが確実に距離を詰めつつある。既に彼ら共
2017年11月27日 00:28
静かに衣を纏ったゼウドは、最後に未だに眠る彼女に歩み寄り、肌蹴た毛布を掛け直してから部屋を後にした。物音を立てず、立ち止まることもなくゼウドは宿の戸を開いて、表通りに向かって歩き出す。通りへ出てすぐ、道端に浮浪者めいて蹲る隻腕剣士の姿を認めた。「……よぉ、グリンジ。来てたのかよ」彼が歩み寄ると隻腕剣士は立ち上がり、脇に置いていたゼウドの麻袋を放って背を向け、 振り返ることもなく歩み出した。「