2020年6月の記事一覧
小説『エッグタルト』第六章
翌週のある日、生物の小テストで散々な点を取ってしまったので、放課後、補習を受けていた。
丁度部活がオフだったのでよかったが、勉強をしてもこんな結果になってしまうというのは、さすがに悲しい。
「おい太田、なんでお前、小テストに全然答えていなかったんだ。四問しか解答していなかったじゃないか。お前英語の成績はいいんだろう? 加藤先生から聞いたぞ」
「すみません、興味のないことがどうしても覚えられない
小説『エッグタルト』第五章
生物の小テストの前日になり、その日の昼休みに、テストに向けて勉強をしようと教科書を持って図書室へと向かった。
川野さんはいないかなと思い見渡してみると、先週と同じ窓際の席に、やはり何か本を読みながら座っていた。
「川野さん、本当にいつもここにいるの?」
今日の川野さんは何やらオーロラのかかった夜空の写真が載っている本を読んでいた。
「ええ、大体ね。この席が空いてたら。ここ、私のお気に入りの席
小説『エッグタルト』第四章
翌日の昼休みに、山田は疲れ切っていた昨日とは打って変わって爽やかな表情をしながら弁当を持ってやってきた。
「お前、努力家なのはいいけど、あんまり練習やりすぎんなよ。もうちょっとほら、メリハリをつけろよ」
「そうかな? 俺はこんくらいが丁度いいんだけど」
そう言うと山田は、
「この席借りるね」
と、いつもどおりに隣の席の椅子を引っこ抜いて弁当を俺の机の上に置いた。
「一昨日かな、サッカー部の練