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雪の降る砂漠

なんとなくこんな所に来てみた
車であてもなく走り続けたらたどり着いた場所
観光名所っぽいけど人はまばら
昔の風俗ふうぞくの再現?
時代劇のセットには使えそうな感じ
閑散かんさんとした雰囲気
いつつぶれてもおかしくないというような

全然興味がかない

ポケットに手を入れて周囲を見渡しながらさっそく俺はタバコを吸える場所を探している
タバコがあって本当によかったと思う
それらしいよくわからない竹で出来た灰皿?を見つける
側にあるベンチも竹で出来ていてよくわからないけどとりあえず助かったとは思った

一緒に来た友達はタバコを吸わないので少しイラついた目で俺を見る
明らかにタバコを毛嫌けぎらいしている
タバコを吸わないのは素晴らしいとは思うけど吸わないでいられるのが俺は不思議でしょうがない
こんな嗜癖しへき的なものをどうして回避できるのかと思う
結局タバコを吸う吸わないが俺たちを決定的にへだてているような気がする

子供の頃はこうじゃなかったよな
それがなんだかイマイチな感じで盛り上がれない
決意が中途半端な感じ
距離も人も時期も何もかもが中途半端で煮え切らない
こっち側の人間とあっち側の人間がいるとすれば今は間違いなくこっち側の人間
それが不満というよりはあこがれみたいなものは全くないということ
進歩のしようがない

こんな所に何をしに来たんだろうと冷めた気持ちになる
結局たいして興味が持てないまま早々に引き上げる

車に戻って一段落つく
少し気まずい空気
タメ息でもつきたい気分
運転するのは友達で俺は助手席に座る
ここまで一言も言葉を交わさない

シートベルトを締める動作が静かにカサカサと音を立てる
エンジンをかけると同時にCDがかかる
例によってJ-POP
決して俺の趣味ではない

流れてくるヒット曲は冬で雪が降るという場面
それは全然寒くなくてロマンティックな夜で君といればというような歌詞

帰り道が砂漠に見える

工事中の道が多くて盛られた土が砂漠みたいに感じる

無理をすればそう見えるということだけど来た道よりはさみしい気持ちになっている

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