雪の降る砂漠2
映画のセットみたいだ
それがありふれた感想
映画はあまり観ない方だけどたぶんそれで合ってる
古い町並みを再現したような建物が並んでいる
そこに実際店が入っていて土産物屋や食堂とかが営業している
店員は普通の格好でコスプレまではしていない
友達は特に興味もなさそうでそれは俺も同じだ
色々歩いてみるけれど特に賑わっているわけでもなくて閑散とした雰囲気
時間の進み方が遅いような感じ
スローモーションで緩慢な動き
いつまでも割れないシャボン玉を見ているような
あまりにも場違い
友達はタバコを吸い始めた
自然とタメ息がでる
俺はタバコを吸わないのでそうなるともうダルくなる一方だ
タバコを吸う意味がわからない、体に悪いしカッコつけているように見えて頭にくる
逆にそういうのがいいと思っているんだろうか
白い煙にタバコのニオイが付いて来る
この件についてはお互い守りたいものがあって歩み寄ることは出来そうにない
友達は吸い終わったタバコを灰皿かどうかわからない竹で出来た丸い入れ物に押し付けて消している
シャボン玉がパンッと弾ける
それが合図になって駐車場の車に戻る
何一つとして思い残すことはないという足取りで
車のドアを開閉するバンバンという音が響く
エンジンをかけるとCDが流れ始めて居住まいを正す
例によってJ-POP
流れてくるヒット曲は冬で雪が降るという内容
それは全然寒くなくてロマンティックな夜で君といればという感じ
友達はそのJ-POPに不満そうだ
自分が持ってきた洋楽のCDをかけたそうに見えるけど俺はそれを無視して車を出す
洋楽なんか聴いてられるか
カッコつけてるだけで中身がない
空が曇る
雨が降るわけではないけれど気分がもたない
お互い努力が足りない
明るくなりたいとは思うけれどしばらくはこのイメージを更新できそうにない
助手席の友達を見ると指で腿の辺りを触っている
人差し指と中指を二本の足に見立ててトコトコと歩くような遊びをしている
こことは違う世界を見ようとしているのかもしれない
その二本足で何処かへ飛んで行けるかのようなイメージで
でもそれは不可能だ
最初から不可能だと決まっている
それを見た俺はしっかりと前を見て運転しなければと思い心のなかではゾッとしている