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これから冬季練習を迎えるみなさんへ

 まだまだ昼間は暑いですが、日が陰ると少しだけ涼しくなって過ごしやすくなってきましたね。少しずつ秋の気候になってきたのかな、と食欲がそそられますね。笑
 高校野球は、秋季大会が各地で行われていますが、結果はいかがでしょうか。来春への課題が見えてきたり、案外よくできていたり…。秋季大会の敗退が決まると、徐々に冬の練習にシフトしていくのではないでしょうか。
 冬の練習は、「冬練」と言われますが、体力的にも精神的にもしんどい日々が続くのではないかと思います。笑
 僕も、冬練には、いろんな思い出がありますね。ちなみに、今回の記事のサムネは僕の大学1年生のときの1月?だった気がします。地道にゴロ捕球の練習を繰り返していました。一方で、ウインタースポーツのように、これまでオフシーズンを過ごし、ようやくシーズンインしていく競技もありますね。今回もいつものごとく、メインは、野球の話になりますが、ぜひ最後まで読んでみてください。


「冬練」とは?

 さて、冬練というと、どんなイメージをするでしょうか。走り込み?トレーニング?それとも、ドリル練習でしょうか?多くの方は、この辺りだと思います。
 今回は、そんなメニューの話ではなくて、実際にこんな捉え方はいかがですか?というお話をしたいと思っています。とすると、どうでしょう?
 「つらい!」ですか?「いわれたから仕方ないな」でしょうか。はたまた「自分の成長が楽しみ!」でしょうか。実にいろいろな意見があることと思います。受験勉強でも、これは同じようなことがいえるかもしれません。
 私が、選手だった当時考えていたことは2つです。それは、「つらい!」と「どれだけ成長ができるかな」でした。野球はずっと大好きでしたし、今もそうですが、ボールを使った練習をする時間が減ったり、もう嫌と思うほど走りまくったりする練習は今思い返すだけでもよく頑張ったなぁ、なんて思います。一方で、そういう練習を乗り越えた自分の姿はきっと自分が今見えないものを見えるようになっているはずだと思っていたのも確かです。日頃の練習もそうですが、上手くなるためにやる訳で。内容や時期が変わろうと、その本質的な部分は、何も変わらないと思います。

冬練に突入する前にやっておきたいこと

 さも、当たり前のようにやっておきたいことなんて書きましたが、自分自身、アナリストになって初めて大学の野球部で実現したことでしたし、高校生の時なんて、考えもしなかった、という前提です。笑
 自分の選手時代に今となって立ち返ると、なんと効率の悪い、中身の薄い練習をしていたんだろうと思ってしまいますが、当時はその時できるなりのことをしていたなとも思います。ですから、決して後悔はありませんが、今からお伝えする内容を少しでも考えていたらどうなっていただろうと思うことは無きにしも非ずです。
 ここからは、久々に「アナリスト」としてお伝えします。

①現状を数字で把握する

 冬練に入るとき、何からやろうというときに、とにかくがむしゃらにやってみようというのは、高校生なら高校1年生でも残り2年を切っていますし、大学生なら大学1年生でも残り3年ほどという限られた時間の中の3~4か月を割くわけですから少しもったいないかなと思います。
 そこで、一番はじめにすべきことは、現状を適切に把握することです。つまり、数値でとっておくことが何よりも大事です。いくつか例を挙げましょう。
 今回は、バッティングを例に挙げてみましょう!
 バッティングに関連する数字というと何があるでしょう…?思いつきますか?スイングスピード、打球速度あたりが代表でしょうか。少し前からは、BLAST BASEBALL(ミズノ社)が出ていたり、Rapsodo HITTING 2.0(Rapsodo社)が出ていたりするので、数字で可視化できる範囲も大きく広がったように思います。少し高価ですが、TRACKMAN(TRACKMAN社)を使うと、実戦さながらの場面の数字も取れますよね。

 収集できるデータはこれだけではありません。ほかにも体重等の測定であったり、走る時間の測定であったり、方法もさまざまあれば目を向けることのできる先もさまざまあります。特に高校野球や中学野球では、チームとして方針を定めてそれに沿って測定項目を決めていくとよいですが、大学野球やそれ以上であれば課題はここにある場合もありますよね。そういう時は、個人で何を知りたいのか明確にしたうえで測定をすることができるとよいでしょう。
 可能であれば一通りすべてをなでることのできるくらい、数字をとれるとよいかと思いますが、確保できる時間もまちまちだと思いますので、そこは時間とも要相談ですね。

②出てきた数字を解釈する

 このプロセスが肝です。データを取ることはできました、で終わってしまっては、せっかく時間を割いて測定した意味は皆無です。
 測定した数値について、何が足りないもしくは足りているのかを解釈しないといけません。ネットで調べれば、ちらほら見られますし、本にも測定結果がまとめられているものがあります。そういったものを参考にしながら、客観的にどの数字が低いのか、高いのかを知る必要があります。
 それだけではだめです。次が最も重要です。得られたデータの結果がみられた理由はどこにあるのか。その所在を明らかにすることが何よりも大切なことです。簡単な例を挙げますね。ベンチプレスの最大挙上重量(1RM)を測定しました。その数字が80kgだったとします。ベンチプレスをする際に、関連する筋肉は、主に大胸筋、三角筋(前部と中部)、上腕三頭筋が使われるので、その筋力にフォーカスしましょうということです。
 要するに、出てきた数字の理由を可能な限りで細分化してみることが重要です。

冬練中にやりたいこと

①練習を完遂した後の自分を鮮明にイメージする

 決して精神論ではなくて、データに基づいてイメージしなければいけません。これまでのステップで現状把握にたくさんの時間を費やすことになったと思います。冬練に突入する前に実施したことは何一つ無駄ではなくて、ここに活かすためにおこなったことです。
 現状を把握したうえで、その項目のどれを伸ばしたいという具体的な内容が見えているはずです。そこで、その項目を伸ばすためにメニューを組んで自主練習をはじめ様々な取り組みをすることになるでしょう。すると、目標としていた数字に達することになるはずです。では、その時の自分のプレーしている姿を想像してみてください。何ができるようになっていますか?今より成長していることは何ですか?それでもまだ足りない部分は何ですか?つまり、客観的に自分を見つめ、イメージすることに大きな意味があります。

②定期的に数字で確認する

 冬練中は、それでもモチベーションを保つことが難しいですよね。そこで、定期的に数字を見つめてみましょう。はじめに測定をして現状把握をしました。例えば、冬練が始まって1か月。数字は変わったのか。はたまた同じなのか。ただ、この時に覚えていてほしいことは、そこでとったデータで一喜一憂することに意味はないということです。その時々の状況を把握すること、その数字が出た理由を適切に理解することが大事です。例えば、冬練に入って本格的に筋トレを始め、1か月で除脂肪体重が変わらないとします。それは当たり前です。一般的に、体に変化が出るまで3か月といわれていますから。明らかに軽い重量で毎回トレーニングを行っているとか、サボってしまってとかいうことがなければ、それは根気強く続けるしかありません。ただ、まだまだ変わらないな、よし頑張るぞとモチベーションにつながるきっかけとしては非常に有効的なものだと考えています。

データを使えるかな?と不安な方へ

 データを使いましょう、適切に読みましょうと書きましたが、不安な方も一定数いることは重々承知の上です。そんな方に、ご紹介したいと思います!

 宣伝のようで、恐縮ですが、ここでは学生限定のコミュニティとなっています。様々なことについて、学生同士でコミュニケーションをとりながら、お互いに勉強できるプラットフォームを作成しました。私をはじめ、学生さんに向けた限定情報の提供もしています。興味がありましたら、ぜひ私のSNSやこの記事のコメントまで。

指導者が冬の間にやること

 おそらく、この記事を読んでくださっている方々は、学生野球の指導者の方やスタッフの方がいらっしゃると思いますので、あえて、この項目で書かせていただきますね。参考までにご一読ください。

選手の進む道を均してあげる

 釈迦に説法も甚だしいのですが、私が伝えたいのは、あえてこの時期にすることの意味の重要性をお伝えしたいと思います。
 なぜこの時期に、の理由は3点です。それは、指導者に比較的時間が生まれる、データがそろっている、選手が自分を見直す時期であるという3つです。一つずつ、説明します。
 指導者に比較的時間の余裕が生まれるという1つ目の理由。これは、試合があると、相手校の指導者の方との付き合いもあったり、大会が近くなればトップチームにコミットする時間が増えたりします。しかし、この時期は比較的全体に目を配ることができます。どこかに集中的にコミットすることも少ないはずですから、逆にこういうタイミングしかないですよね。
 2つ目のデータがそろっている。これは、調子の波を1年間というシーズンで標準化することができるという意味です。シーズン通して、ずっと調子がいい選手はいません。仮に1年間を通してみたときに、良かったのであればそれは好不調ではなく、実力と考えてもいいでしょう。逆もまた然りです。シーズンの中をもう少し細分化すると確かに好不調はあると思います。しかし、全選手に対して1シーズンをいう期間で標準化したものを数字で観察できるわけですからこれはいい時期であるといえるでしょう。
 最後に、選手が自分を見直す時期であるという点ですね。これは、冬練という地道な練習が始まり、退部してしまう選手も出やすい時期だともいえます。なんでこんなことしてるんだろうと思うのでしょうか。非常に高い身体能力に恵まれていても、あっさりやめてしまう選手もいますよね。一方、一冬を越えたときに大きく大きく成長する選手もいます。これが、選手個々の問題だといえば、それまでだと思います。実際その要因が大きいです。やるのは本人ですから。私自身も今でこそ、こういう日々を送ればこうなっていくだろうとなんとなくですが、わかります。ただ、自分が高校生の時、大学生の時を振り返ると自信はないですね。やはり、アナリストとなって、選手を見ていてもそうでした。そこで、その選手の目指す形を知ることから始めそれぞれの選手に寄り添いながら話すことのできる絶好の機会になると感じるのです。
 そして、選手の進む道を均すことと書いたのは、意図があります。指導者が率いるのではなく、道の上を歩かせるのでもないのではないかという考えのもとの表現であるということです。やはり、どうしようと、やるのは本人です。本人が納得した形で道を選択する、そうした以上、本人にその責任はあると考えています。自分もその覚悟をもって日々を過ごしています。しかし、高校生には難しいことだと思います、大学生でもどうでしょう。自力で道を切り拓いて進んでいくことは、非常につらく、大変なことだと実感しています。そこは人生を長く生きている先輩として、指導者の力添えが大きな効力を発揮するのではないでしょうか。あくまで選手の定めた目的地に対して道を提案し、歩み始めた道を均してあげる。そのくらいの力感が最も適切なのではないかと、一歩引いた眼で見ていて感じます。

チームのカタチ

 学生野球特有なのは、毎シーズン必ず選手が入れ替わることです。最上級生は夏もしくは秋の大会で引退し、春には新入生が入ってくる。これは、原則、普遍的な事実です。一方、監督やチームのカラーもあると思います。打って勝つんだ。守り勝つんだ。と。それは、決して悪いことではないと思います。特に選手をスカウティングしているチームは、リクルート段階でその取捨選択をすればいいですから余計にそれでいいと思います。
 一方、念頭に置いておきたいのは、毎年同じ選手がいるわけではないということです。つまり、そっくりそのまま同じスタイルの野球をすることはないはずだということです。それは、戦略だけではなくてチームとしての組織づくりやチームと指導者の関係もそうです。
 選手との個々に話す機会を作り、先述の「選手の進む道を均す」ということの意味はここにもあります。選手の進みたい方向が分かり、今後の選手一人ひとりの「1人の人間としての人生」が前提にあって、見えてくる部分もあると思います。そういう機会を元に、どんなチームのカタチにするべきなのか、ここが指導者ひいては監督の腕の見せ所です!
 勝ちたいなら余計に、自分たちのスタイルにこだわるのではなくて、それぞれの選手個人、その代の選手という集団に目を向けることの重要性が増すと考えています。

まとめ

 冬練を有意義なものにするためには、現状把握とゴールを明確にすること。それに従って、プロセスを選択しましょう。
 指導者の方にとっても、冬の期間は重要です。選手の進む道を均し、チームのカタチを見極めるのに最適です。

最後に

 最後までご覧いただきありがとうございました。何か参考になる部分があると嬉しいです。
 今回は、冬練に限定して書きましたが、季節に関係なく、競技にも関係なく、スポーツに限らず日常生活にも通じる部分があると思います。ふとした時に、こんなこと言ってたななんて思い出していただけると幸いです。
 次回は、、、と言いたいところですが、最近は研究の勉強に就職活動に、自分の仕事に、とありがたいことに充実した日々を送らせていただいておりますので、いつになるかわかりません。笑
 また記事をアップしたときにご覧ください!!では、このへんで。


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