【地域のいいところを知る 体験するプログラムC1】多賀町の意外と知らない植物
地域のいいところを知る体験するプログラムはじまりました。
多賀町では令和5年度から3年計画で、町内の歴史文化自然の調査を実施しています。
これからのまちづくりやひとづくりのために、
地域の特色を調査・記録して、地域の課題とも関係づけ、
新たな価値を創出します。
11月28日は、「多賀町の意外と知らない植物」のお話を、
多賀植物の会、中川信子氏にお話いただきました。
本日の内容概要を紹介いたします。
多賀町の意外と知らない植物
滋賀県多賀町の位置です。岐阜県と三重県に接する場所です。
石灰岩地域の植物は、伊吹山の植物の例にも見られるように、魅力的な植物が多くあります。
また、石灰岩地の芹谷地区にはモウセンゴケはありませんが、酸性の高取山の方に行くとあり、両方の魅力が楽しめる地です。
多賀町に多種多様な植物が多くある理由は、気候と地質にあります。
多賀町は、裏日本植物区系と表日本植物区系の境界になります。
鈴鹿山系の好石灰岩植物と、湖東流紋岩の酸性立地に依存する植物がある地域です。
今まで観察に行った多賀町内の集落に〇印が付いています。
芹谷上流のちょっと行きにくい山の地域以外はほとんど制覇されています。
平野部から山地まで様々な立地と気候と地質で多様な植物が見られます。
多賀町をA~Eの5つの地域に分けて植生の特徴を見ていきます。
A 芹川上流の植物
葉っぱがボタンの葉に似ています。鹿が食べますので、守るためには囲いが必要です。
牧野富太郎が最初に命名したそうです。
山地性で、花が咲くと大変美しいです。街路樹になっているのは、マロニエ、セイヨウマロニエです。
マツムシソウの仲間。二年草。鹿があまり食べない植物で、多く残っていますが、河川工事などで、よく根こそぎ無くなってしまいます。
B 芹川中流の植物
花がピンク色で、外来種のオオイヌノフグリが咲く前の3月頃に開花します。草むしりなどで消えてしまっているのが残念です。
よく見るのは、外来種のヒメオドリコソウ。
セリ科の植物。花が咲く前にお浸しで食べると美味しい。
アネモネの原種。八重は種を付けません。原産地では絶えてしまったそうですが、多賀町中川原集落では多くお庭で咲いています。
花が多く早く咲くのがエドヒガン、大島桜は花が大きい。それらを掛け合わせたのがソメイヨシノ。
レンゲは、近江商人が種を売っていました。それが岐阜県に広がり、岐阜が産地になっていますが、もともとは近江で栽培されていたようです。多賀町久徳集落で栽培されていました。
2007年には一面にレンゲ畑が広がり、田んぼに漉き込んで緑肥にしていたそうです。今は、耕運機に絡まるからと植えられなくなったそうです・
多賀そばの実が11月中旬から収穫されています。新そばの解禁は12月1日だそうです。
C 犬上川中流の植物
お正月飾にも欠かせない縁起ものです。青龍山に群生しています。
ウバユリ、オオキツネノカミソリ、ヒガンバナ、ツルボは、きれいに草刈りされるところに生育しています。草刈りのタイミングも難しく、茎が伸びたころに刈り取られると花が咲きません。
犬上川土手のヒガンバナは見事です。ヒガンバナの根元に一緒に咲いているのがツルボ。
つる植物で、古事記にも出てきます。少彦名神が「アメノカガミブネ」に乗って海からやってきた、このアメノカガミブネがガガイモの実を指しているそうです。
近江鉄道の線路沿いに咲いています。
D 犬上川南谷の植物
黒文字の枝はお菓子の楊枝。枝が黒い文字を書いたように見えるから黒文字とも。多賀町にはたくさん生育しています。葉っぱの香りは良い香りで、クロモジ茶はとても爽やかなハーブティー。多賀町に新しく出来た国生み醸造所のビールもクロモジで香りづけされているそうです。
和紙の材料です。
ヘビが居そうな湿地に咲くそうです。可愛らしい赤い実がつきます。
多賀町の町花。昔はササユリがたくさん咲いていて、花が咲き始めるととても良い香りが漂ってきたそうです。種から花が咲くまで8年もかかります。
きれいな水質のため池に咲きます。
環境をあらわす大切な植物です。他から栄養をもらって生きています。
千回煎じても苦い、胃薬になる。山の集落の人は、これを軒下に干して薬にしたそうです。
古事記に出てくる植物。アメノウズメノミコトがこれを体に巻いて踊った。
シダの仲間。
E 犬上川北谷の植物
和紙の原料で植えられた植物。杉を伐採して日当たりが良くなり、瞬く間にミツマタ群生地として有名になってしまいました。
ツルでのびる、好石灰岩の植物。
珍しい構造の木。御池林道にある。
昔は山にたくさんあった。みんな持って帰っていくので、山には少なくなってしまった。ありすぎて当たり前の植物だった。