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VS. しんぶんやさん〈後編〉

電話を切った後、激しく後悔した・・・・

電話に出たのは事務員だった
しかも新聞屋さん、子どもの学校の学区内にある。もしかしたらその事務員は、子どもの学校の保護者かもしれない

「3丁目の夕日(苗字)さん、母親クレーマーだよ」
なんて変な噂がたったらどうしよう。子どもに迷惑が掛かってしまう

涙が止まらなかった・・・・
だって「いやだ」って言ってるのにも関わらず、ちっとも辞めてくれないし、話するときも絶対バイクから降りないし(降りたら死んじゃうの?)、いつもへらへら笑いながら生返事なんだもの

その日のうちに店長と、その上の人らしい人がやってきた
大変申し訳ございませんでした

「いいえ、こちらこそ、すみません。もっと言い方があったと思います」

「そんなことはございません。なんどもお電話いただいたのに」

あ~やっぱりクレーマー決定だよ・・・・
ブラックリストの仲間入り

「ところで奥様。他になにかございませんでしたか?」
「え? どういうことですか?」
「無理なことを言ったり、触られたりとかしませんでしたか?」

触られたり・・・・

「いえ、そういうことは。いつもバイクからおりもせずに話していたので」

え? 触られるような要件あるの?

え? 触られた人がいるってことですか」

スーツを着た二人は無言でした。

ということは・・・・?
「ほかにも苦情が?」

「はい。他にも何件か苦情が出ておりまして…来月から移動が決定しているんです」

のわ~~~~~Σ(・ω・ノ)ノ!
クレーマーわたしだけじゃなかった
いやむしろ、
クレーマーじゃないんじゃないの?

「ご連絡いただきありがとうございました。詳しくお聞かせください」
偉い人が一歩前にでる

聞けばその配達員。たびたびよその敷地内に入り「厳重注意」を受けていたのだという。調子よく誤魔化し、なんだかんだと理由をつけ、手を握ったり肩に手を触れたりなんてこともあったらしい

よかった…
我が家ではバイクから降りない礼儀知らずのままで

「今後このようのなことのないよう対応したいと思います。誠に申し訳ございませんでした」
そう言ってふたりは深々と頭を下げ、去って行きました


田舎では新聞屋さんが競争することもないので、こちらから連絡しない限り「勧誘」してくることすらないのが現状。新聞屋さんに触れ、初めて自分が都会に来たのだと認識した一番の出来事だった

後日談:息子
「おかあさん、ものすごい勢いで電話してんだもん。『3丁目の夕日ですけど?』って、偉い勢いで…挙句に電話切ったら泣き出すし、何事かあったのかと思ったよ。…苦情ね、あれは苦情だったわけね…」
その後、ことあるごと、わたしが怒りをあらわにすると『3目の夕日ですけど?』って口真似されるようになりました





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ひらさわ たゆ
まだまだ未熟者ですが、夢に向かって邁進します