待っていた日々
「お父さん。それでも私、だいぶ解脱したよね。ここ最近ずっと、もう結構長いこと、フラッシュバックがないもの」
「あなたは、あなたは相当 努力したよ。見ていて凄まじいものがあった。あなたは、自分の意思の力で、過去を乗り越えたんだよ。ヘタにほじくり返さない方がいいかもしれないな」
お父さんが、真剣な顔でそう言った。
私は、PTSD によるフラッシュバックが、お父さんが倒れたあの時から、だいぶ治っている。
出るとしても、片手で数えるぐらいだ。
平成31年3月3日、お父さんが倒れた。
現在、令和5年。
フラッシュバックが出たことは、3回ぐらいしかない。
それもすべて、お父さんとの理性的なやり取りで、解消されたのだった。
お父さんは、いつもどっしりと、真っ正面から、私のフラッシュバックに対峙してくれた。
深く聞かず、私が言うたどたどしい、断片 断片のみを聞き、私を抱きしめ、必ずこう言った。
「もう、あなたを脅かす者は、どこにもいないんだ。周りを見ろ。愛のある友人に溢れてるじゃないか」
そして必ず、
「安心していいんだ。泣きたければ泣けばいいんだ。だけどそんな涙はもういらない。愉快な話を聞かせてやろう!」
そう言って、いつもの気の利いた 冗談を飛ばした。
そんなお父さんとの時間に癒され、私は、「これが平穏というものなんだ」と、肌身で知っていき、苦しみは喉から落ちるように、だんだんと、現実のこの暮らし、そこに埋まるように、愛のある人たちに囲まれて、過去を過去として、切り分けられるようになっていった。
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