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子の心、親知らずな里帰り。

どう考えても産後のブログが面白い。

と、過去の自己評価がぶっ飛びそうなほど高い私なので、時々むかしの記事やイラストを再投稿しようと思います。
(当時はほぼ仲間内しか見てないブログでやっていた)

壮絶な自分語りですが、面白いのでよかったらどうぞ。


******


少し前にやっていた産婦人科を舞台にしたドラマ『コウノドリ』でこんな台詞があった。


「うまくいかなくて当然だよ。親子になってまだ4日でしょ?」



たしか、産後すぐ育児ノイローゼになりかけた母親に助産師さんがかけた言葉だった。
当時私はまだ妊娠中の身だったけれど、この台詞は子育てのいろいろな不安をピューッと吹き飛ばしてくれた。


そう…
親子になりたての私たちが初めからうまくいくわけがないのだ…



なぜなら…



親子になって30年以上経った今でさえ、



腹が立つことが無数にあるのだから。(怒怒怒)





つい先日、里帰りから帰ってきた。
はじめ、産後は里帰りせずに、退院後すぐに自宅で育てようと思っていた。


なぜならうちの実家はかなり寒いし、
母親(婆)も仕事があるし、
なにより新生児より手のかかる父親(爺)がいる。


亭主関白の自己中を絵に描いたらうちの父が仕上がります☆それが、我が父なのだ。

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我が家は彼のタイムスケジュールに合わせて全てが動く。

少し変則的な事をする場合は、お伺いを立てないといけない。(例えば「急いでいるので先にご飯食べてもいい?」とか「先にお風呂入ってもいい?」とか。)




退院したては、文字通り体もボロボロで痛いとこだらけ、極度の貧血、出血もまだある、意識も朦朧、慣れない夜中の授乳で今よりも酷い寝不足、乱れまくるホルモンバランスの中、傍らにふにゃふにゃの新生児。




誰かに気を遣う余裕が0.001ミクロもない状態。




そんな時に
おかずの数がどうのだの
味噌汁がぬるいだの
ご飯の盛り方が悪いだの
スリッパが定位置に定数置いてないだの
体調が優れないから機嫌が悪いだの
姿勢が悪いだの(←もはや関係ない!!)えとせとらえとせとら。


加えて、


赤ちゃんと私の部屋にたまにふらりと現れて、

「抱き方が悪い」から始まり、「その服の着せ方は足元が寒い」「部屋の温度が悪い」「部屋が暗い」「よく寝てるのは(自分の入れてあげた)お風呂のおかげ」、泣いてる我が子をあやそうとすると「赤ちゃんは少しは泣かせんといけん、放っておけ」(結局大うんこしてた)だのほんっっっっっっっっっっっっっっとに


まじくっそうっせーーーーーよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


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と、何度キレそうになったことやら。



母親は、仕事から帰ると出来る限り一緒にいてくれて、毎日美味しくて健康的な手料理を作ってくれて、老体にむち打って夜中も一緒の部屋で寝て授乳に付き合ってくれて・・・・。

婆さんがいないと私と赤ちゃんは命が危なかったでしょう・・・
本当に里帰りして良かった!婆さんありがとう(T□T)と思うけれども、父は具合の悪さに拍車をかける存在であった・・・。



そんな父がある日、
おっぱいを飲んだ我が子を寝かしつけている私に向かってこう言った。



「たえちゃん、毎日そうやってたら退屈やろーが。
ちょっとは外を散歩してきたり、家の中片付けたりしたらええやん。」




と。



それは退院4日目の事だった・・・。






たっ、


たっ・・・・・・



退屈そうに見えてたんですね。わたし。(ーー;





子を産んだ事のある人なら分かってくれると思うが、産んで2週間足らずのその頃が退屈な訳が無い。退屈で横になっている訳ではないのだ。(どちらかというとひん死状態だ。)


ちなみに病院等でもらう産後の過ごし方の本には

「2週間まではなるべく家事等は家族に協力してもらい、赤ちゃんのお世話以外は布団に横になって過ごしましょう。2週間経ったら【床上げ】(敷いていた布団をあげて活動し始める事)を行い、少しずつ軽い家事から始めましょう。1ヶ月以内は車の運転等は控え、無理をせずに過ごしましょう。」


と書いてある。


もちろん、様々な事情で出来ない人もいるとは思うが・・・
私はこれをさせてもらうために里帰りを選択したのだ・・・散歩をしたり家の片付けをしたり、爺さんの昼ご飯の準備をするためではないのだ・・・・ぎぎぎぎぎぎぎぎ〜〜〜〜〜〜・・・・!!!!!




しかし、この発言で「はっ!」とした。



男の人には(少なくとも父には)全く悪気がないのだ。

産後のしんどさや、体の変化、新生児と24時間付き添って世話をするという事がどういうことなのか、もちろん本で読んだ事もないだろうし、自分の子育て時代は仕事でそれどころでなかっただろうし、想像もしないことなのだ。



だから平気で無神経なことがバンバン言えるのか!(もちろん天性の性格もある)



と、それまでの父に対するストレスの根本的な原因が見えた気がした。。。


それからは「父さんや、わたしゃ退屈なんて全くしてないよ・・・。病院でもらった本にはこう書いてあるよ。」と冷静に説明し、父も「あ、そうなん」と少し理解をしてくれたようで、そんな事を言うようなことは少なくなった。


それでも度々イライラすることはあったが、細い目をさらに細くして孫を眺めながら、「あなたそんな高い声が出るんですね・・・」と思わずにはいられない声であやす姿を見ていると、ひどい事は言えない。




悪気は無いし、きっと私と孫がいてくれる事が嬉しいんだろうし、心配もしてくれているのだ。






刺してやろうか!と思う気持ちを、ギリギリの所でとめるのは、そういう気持ちだ。





思いやりとか、労りとか、理解とか、想像力とか。





子どもを育てるという事は、体や頭だけではなく、そういう気持ちを育んでやるということなのだろう。(じゃないと刺されちゃうし・・・)




決して奇麗ごとだけじゃなく、ムカついたり、うっとおしかったり、ぐちゃぐちゃなまま、でもなんとなく構成されているのが「家族」なんだろうなぁ。






そんなこんなで2週間の里帰りが終了した。



私たちが帰る時間帯には、母も父も外出していた。




ふすまを開けると小さいのにすごい存在感だったベビー布団も、
甘い乳の香りをさせふがふがと転がっていた赤ん坊も、
風呂場を占領していたベビーバスも、
老人の薬だらけの台所に置かれたピカピカの哺乳瓶やミルクも、
全て撤退された、元通りのうちの実家。


老人二人が暮らす、春なのに肌寒い家に戻ってしまった。






父はまた、時間を持て余す昼間を過ごし、一人で昼ご飯を食べるのだろうか。
夕方は沐浴という任務から解放され、また暇な時間が増えるのかなぁ。






私は赤ん坊を抱え、これからてんてこまいの新生活が始まる立場なのに、まるで恋人との同棲を解消するような物悲しい気持ちで実家を後にした。





帰って電話で

「しんどい!と思ったらまた(実家に)帰るね〜」

と言ったら

「おう。鍵締めちょくけーの。」

と可愛くない父。ぜったい来てほしいくせに。





親子の関係は死ぬまで完成しない気がする。
もちろん心の底から感謝している、かなり大きめの尊敬もしているが、幾度となく耳を疑うような発言をされて腹が立ったり、顔も見たくないと思った事もある。30年以上それを繰り返している。





よその家はどうなのだろうか。


そして、


親からの目線は、また違うものなのか。








うちはどんな家族になっていくのかなぁ・・・。

そう思いながら、世界一可愛い我が子の寝顔を眺める。





小さな鼻の穴に詰まった鼻くそが気になって仕方ない。そんな親心・・・子は知らず・・・爆睡中・・・・・・・・。


2016年3月20日のブログより再掲

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