改訂版!ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか①|なつかしさの仕組み
前回、同じタイトルの記事を書いてからだいぶ経ちました。調べ始めたらどんどん面白くなって深みにはまってしまい、まとめるのに時間がかかってしまいました。すみません。
記憶となつかしさ感情(ノスタルジア)は、やはり奥深く、これからますます研究が発展していくことでしょう。興味は尽きません。
さて、「なつかしさ」が喚起されるタイミングは、連続性の急激な変化(続いてきていたものが急に変わった)が起こった時と言われています。まさに、今とも言えます。最近、なつかしさを扱った番組や情報が多い気がしますが、もしかしたら人々が求めているからかもしれません。
そこで、今回は、あらためて改訂版を書き直すことにしました。前回の記事はいったん脇に置いておきます(のちにまた説明します)。
主に以下の文献を基に、「ふいになつかしい曲を聞くと、なぜグッとくるのか」を、考えていきたいと思います。
「なつかしい」という感情は、記憶を思い出した時に起こる「複合的な感情」と言われています。つまり、複数の感情が入り混じった、喜怒哀楽だけでは分けられない複雑な気持ちと言う意味です。
では、なつかしさとは、ネガティブなものでしょうか。ポジティブなものでしょうか。この記事を読んでいるみなさんもぜひ想像してみてください。
多くの人は、「あたたかい・安心する(ポジ)」「切ない(ポジ/ネガ)」「後悔・寂しい(ネガ)」などではないかなと思います。共通しているのは、もう戻らない過去であるという感覚と、それに焦がれる気持ちです。
逆に言うと、今でも忘れられない覆いかぶさるような辛い記憶は、その時から今も続いている感情ということですから、まだ過去になっておらず、また焦がれることもありませんので、なつかしいとは表現しえないと考えられます。
そして、もうひとつ重要なことは、なつかしさを感じるためには、何か手がかりとなるきっかけがあったはずだという事です。もしかしたら、「ふっと思い出した」と感じる方もいらっしゃると思いますが、それは恐らく、内面的な手がかり(その頃と同じような気分や感覚を、無意識に感じていたなど)があったと考えられます。
ここまで書いて、記憶・回想(思い出す/手がかり)・感情というキーワードが出てきましたが、これらを使うことで、なつかしさの仕組みが大体分かってきます。
では、まず基本の基本「記憶」について。人は記憶というシステムがあることで、認知したり学習したり、作業できたりします。また、未来の行動も記憶のおかげです。
記憶のシステムについて
記憶の種類は、大体、以下の様に分けられます。※色々な呼び方があります。
1)感覚記憶(数秒)
注意を向けられた情報のみ、短期記憶へ送られる。それ以外は、消える。
2)短期記憶(15~30秒程度)
注意を向けた情報を一時的に留めておく。これをリハーサルすると、維持されたり長期記憶へ送られたりする。
また、会話や計算など情報処理のためにも使われる(ワーキングメモリー)
3)長期記憶(半永久)
この記憶は、半永久的で容量にも限界がないと言われているが、思い出す手がかりがなければ、思い出せずに失敗することがある。
長期記憶は以下の種類があります。
言葉で表せるか、表せないかの違いです。
(1)宣言的記憶(顕在記憶)※表せる
①エピソード記憶 ②意味記憶
(2)非宣言的記憶(潜在記憶) ※表せない
想起しているという意識が伴わない。
例えば、特定の行動に対する手順が滑らかにできたり、経験自体は忘れているが、無意識の内に親しみやすさや好感を引きおこす現象。
これらを踏まえて、では、
「なつかしさ感情」は、どの記憶からくるのか?
「グッとくる」っていうのは、どの様に説明できるのか?
次回へ。