人と人の編み目の手触り(私たちにできること) /「文化の脱走兵」 奈倉有里
今日、ご紹介する本は、奈倉有里さんの「文化の脱走兵」(講談社 / 2024年出版)です。
ロシア文学研究者で翻訳家の奈倉さんが、ロシア留学やロシア文学を通して知り合った仲間たちの今、戦時下で起かれている状況について、彼らに寄り添いながら、出せない声も取りこぼすことのないよう、繊細に伝えてくれる本です。報道されないロシア市民の内実も垣間見ることができ、どの国も一色ではない、一人一人の人が心を持って暮らしているのだと生々しく思い知らされます。映像とはまた別の、細い糸で作ったよう