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マルクス『資本論』覚書き part 1

マルクスの『資本論』を読みはじめる。ちくま学芸文庫版にて。これまで入門書は何冊か読んできたものの、原典にチャレンジするのは初めて。

あまりにも有名な本で解説書も無数に出ているので、ここで中途半端なまとめをつくってみても読者にとって資するところはないような気もするが、それでも個人的な頭の整理整頓のために思ったところをまとめる。

『資本論』は商品の分析からはじまる。商品は使用価値と交換価値を持つ。使用価値とはその名の通り、その商品を実際に使用する際に生じる価値。それに対して交換価値とは、例えば一キロの牛肉は五キロのじゃがいもと交換できる、というように、それぞれの商品の特性とは関係なく交換というフィールドにおいて決まってくる価値。交換価値は、その原初的な形式においては牛肉とじゃがいものように一対一の関係性の中で展開される。しかし、例えば一キロの牛肉は五キロのじゃがいもと交換され、二キロの豚肉も五キロのじゃがいもと交換され、四キロの人参も五キロのじゃがいもと交換され、となってくると、このじゃがいもという商品そのものが一つの尺度として採用されるようになる。上記の文脈におけるじゃがいもを金や銀に置き換えるとき、そこに貨幣が生まれる。

また、マルクスの特徴として、商品の価値の基盤を労働におく、労働価値説を採っていることが挙げられるだろう。その商品がどれだけの労働の末に完成したのか、ということがここでは重要な要素になる。この労働価値説のところが個人的にはいちばん引っかかる部分なのだが、つまりは商品の価値を単純に平均的な労働時間に還元してしまって良いのだろうかという疑問が湧くのだが、おそらくはこの部分がマルクスによる資本主義の分析の要になるのだろう。

まだ全体の10%も読み終えていないが、おそらくここから、商品としての労働力と資本家の搾取の関係性が明らかになるのだと思う。いずれにせよ、マルクスを読むことの必然を本能的に感じる昨今、できるだけ丁寧に読み進めていこうと思う。

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