野球マンガを読むなんて【サンキューピッチ】
スポーツ漫画が苦手だ。
小中高と帰宅部だった僕にとって、ああいう作品で描写される青春は眩しすぎる。
どいつもこいつもかけがえのない仲間たちと共に苦難を乗り越え、スポーツを通して技術面はもちろん人間的にも成長しやがって。
みんなもっと薄暗い部屋で電脳空間に浸ってろよ。
いいじゃん、
ネット掲示板でコピペ漁って、
痛いコテハン付けて叩かれまくる青春漫画があっても。
そんな生まれついてのド陰キャな僕に、転機となる作品との出会いが訪れた。
ジャンプ+で連載中の野球漫画、『サンキューピッチ』である。
普段なら野球漫画などに手を出さない僕が「一話だけでも読んでみよう」と思ったのは、この作品の作者である『住吉九』先生の手腕を既に目の当たりにしていたからだ。
住吉先生の前作にして出世作、『ハイパーインフレーション』は聞いたことのある人も多いだろう。
キャチフレーズは「言い値で買おうこの世界。」
圧倒的経済力を持つ帝国に搾取されるガブール人の少年ルークが、ひょんなことから贋札を生成する能力に覚醒し、国民の救世主となる…という物語である。
今回はサンキューピッチの話がしたいので詳細は省くが、この作者さんはとにかく頭脳戦を描くのが上手い。
ルークが持つ、強力でありながら制限の多い能力をどう活かして大国と渡り合うかのドラマには毎回ドキドキさせられたし、その度に期待以上の展開でカタルシスをもたらしてくれるのだ。
そんなハイパーインフレーションの完結から一年あまり、
新たに始まったのが舞台も時代も打って変わって現代日本の高校野球漫画。
そりゃ気になるだろ。
サンキューピッチでも、制限付きの強い能力を持ったキャラクターが主人公として据えられている。
県立横浜霜葩高校3年、桐山不折。
「野球の神様に愛されている」と言われるほどのピッチャーだったが、肘の負傷をきっかけとするイップスによって1日3球しか全力投球ができない。
ざっと調べてみたところ、高校野球のピッチャーは一度の試合で通常80~100球ほどを投げることになるらしい。
確かに全ての回で三者三振、完全試合を達成したとしても1回で9球、9回で81球。
絶対止められるだろうが、2人のバッターをデッドボールで出塁させ3人目に打たせてトリプルプレーという(野球エアプの僕が考えた)最短ルートを9回繰り返しても27球は必要になる。
こう改めて考えると、1日3球ってかなり絶望的だな。
そんな桐山の能力を逆に活かし、ここぞという場面で絶対に抑えるべき一打席だけマウンドに立つワンポイントリリーフとしてチームに迎え入れる…
というのが第1話の大筋だ。
この漫画の素晴らしいところは、ほとんど野球知識のない僕みたいな万年帰宅部人間にも分かりやすい説明がちゃんと入り、その上テンポがいいことだ。
その点、霜葩高校野球部のキャプテンである小堀がめちゃくちゃいい仕事をしている。
先ほどのワンポイントリリーフなんて言葉、この漫画を読むまで一回も聞いたことなかったのに小堀くんの説明が分かりやすすぎて1発でスッと入ってくる。
スポーツ漫画でありがちな (ごめん、ほとんどスポーツ漫画読んでないので本当にありがちなのかは分からないが) 読者への解説パートが長過ぎてテンポがダレる・説明セリフすぎて萎えるみたいなシーンが全然ない。
あと随所に挟まるギャグがいいし伏線回収スゴいしみんなキャラ立ってるしビジュも推せるし…
ってかもう本編を読んでくれ。
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現在第7話。
まだ全然「連載初期から追ってた」って言える圏内だ。
小堀くんも三馬くんも、なんなら桐山も可愛く見えてくるんだよな…
住吉先生、キャラを魅力的に描くのが上手すぎる。
ちなみに僕は伊能商人推しです。