![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/100197391/rectangle_large_type_2_ceef227b04d4f8509abde10e2b4df451.png?width=1200)
砂人
遠く
サハラの
ゴビの
タクラマカンの
陽射しに灼けた
砂漠から
今
立ち上がりたるは
砂人
数え切れぬほどの砂粒が
彼を形作っている
今この時にも
その指先から
ぽろぽろと溺れ落ちる 彼だった砂
今はもう
砂漠に紛れた
ただの一粒
僕はそれを
大事に拾って
ポケットにしまった
そこに向き直ると
もう彼はいない
砂時計が落ちきるみたいに
さらさらと溢れて消えた
どこに彼が立っていたのかも
もうわからない
見渡す限り砂だから
彼という奇跡を証明するものも
もはやなにも無い
僕はポケットから
あの砂粒を握り出した
もう意味がないから
砂漠に蒔いた
さようなら
あなたを見て 僕は感動できたよ